中国による西沙諸島(パラセル)への挑発活動が活発化し、ベトナムと交戦寸前の状態となっている。中国の戦略は、まず漁船、商船などの民間船による侵入、その後、軍隊でない巡視艇による威嚇、そして海軍、空軍の進出の順番となる。現在、永輿島(ウッディー島)には島をはみ出す2400mの滑走路をもつ基地が建設されている。ただこの基地は島自体があまりに小さく、かつ攻撃に対して非常に弱いため、中継基地の性格を持ち、基本的には海南島が中国空軍、海軍の主要基地であろう。
戦力的には中国軍がベトナム軍を圧倒しており、海上での交戦、海軍と空軍の戦いでは、ベトナムには勝ち目はない。第二次世界大戦後、大国同士の戦争はなく、小国に対する弱い者いじめ戦争のルールに合致する。アメリカ、ロシアもそうである。必ず自分より弱い相手ででないと戦わない。現実の国家ルールとしては当然なのであろう。今回の場合も、ベトナム側から先に手を出し、中国軍が反撃し、ベトナム海軍、空軍を壊滅させるシナリオが中国にとっても望ましい。
民主党政権になった折、中国、ロシアとも日本周辺領域に航空機を出して、活発に活動し、新しい政権を試すような行動をとった。今回も、本来なら中国戦力が南に移動している隙をみて、日本も日本海での偵察、訓練などの活発な軍事活動をとり、牽制すべきだ。アメリカは民主党政権だからか、あまり表立った活動はない。本来なら第七艦隊の動きがあってよさそうだが。本日、原子力空母ジョージ・ワシントンが横須賀を出港したが(15:22)、行き先に興味が持たれる。
中国海軍は近年、大幅な増強を行い、数年後には本格的な空母が登場しそうである。ただもともと中国は陸軍を主体とした大陸国家であり。外洋海軍を作り出したのはここ10年ほどで歴史は浅い。日清戦争以来、海戦経験はない。果たして実戦で、どの程度の実力があるか未知数である。
一方、ロシアもしたたかで、最新型の戦闘機Su-34と対艦、対空ミサイルをベトナムに供給することになったが、中国には一世代前のJ-11あるいは Su-30を供給しているだけで、さらにそれは本国のそれより性能が劣る劣化コピーである。同様に潜水艦も最新型のディーゼル潜水艦キロ型をベトナムに供給しているが、中国にはそれより劣化コピーであり、あと数年すれば、ベトナムの方が数は少ないが、戦闘機、潜水艦性能は中国より高くなる。あれだけ中国の石油基地がベトナム近くだと、軍事力に差があっても防衛は難しい。
ここまでは現状であるが、中国の医療費、社会保障費の国家負担は世界でも最低に近く、一人っ子政策による今後の高齢化を考えると、国内の不満を解消するのは非常に厳しい。軍事費、保安費(治安費)の国家予算に対する比率は、公称で11%くらい、実体は20%を越えるが、教育、医療費、社会保障費の増大を考えると、これ以上の支出が難しい。今後、空母を持つ場合、西太平洋で覇権を築くには、最低3セット、できれば4セットの空母機動部隊を作らなければいけないが、3つの空母、それを防衛するイージス艦、攻撃用原潜、航空機などを考えると、膨大な費用がかかる。ソビエト崩壊の直接の原因は軍備費の膨大であり、中華帝国化を目指す現状の政策は中国国民の不満、それに続く崩壊を招きかねない。
今回の西沙諸島問題についても、中国自身強引なやり方はわかっているが、一番の関心はアメリカの動きである。アメリカ経済、マスコミへの親中派の浸透がどの程度なのか、それを探るための紛争であり、アメリカの介入がなければ、次はフィリピンか日本、とりわけ尖閣列島への手出しに対するアメリカの反応が一番見たい。口だけで、軍事介入がなければ、アジアでの中国の優勢は一気に高まる。ただ本気で軍事介入されると、さすがの中国軍も惨憺たる結果を招きかねないので躊躇している。そこで昔、アメリカと戦い軍事介入しにくいベトナムなのである。介入意志がないことがわかっただけでも大きな収穫である。
朝貢外交とは、かつて中国周辺の国々が 定期的に中国へ使節を送り、貢物を納める代わりに中国から安全を保障され、貿易を行ってきた古代の国際関係を指す。アジアのアメリカ支配から中華帝国化(朝貢外交)、大アジア主義が中国の最終目標である。すでに韓国は、その馬鹿げた反日政策をうまく利用され、朝貢国家になり、アメリカも手を引きつつある。アジア諸国の中でも唯一、朝貢国家とならなかった日本が最後の目標である。
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