2024年12月22日日曜日

プラモデル 90式艦上戦闘機

 




本当に久しぶりにプロモデルを作った。最後に作ったのは確かタミヤから出ていたイギリス機、ソードフィシュを買った時だから2007年、17年前となる。このプラモデルも途中から作らなくなり、娘が通っていた和徳小学校のバザーに提供したため、最後まで作っていない。

 

以前にも紹介したが、矯正用のワイヤーを使ってミニチュア自転車を作ったが、その際に、飾りとして1/24のタミヤの「キャンパスフレンズセット」を購入した。これは製作というよりは塗装が中心のもので本格的なプラモデルとは言えない。ただその際に多くの塗装を買ったので、一度使うだけではもったいないと思い、近所の萬屋に行くと、古いプラモデルが安く売っていた。ファインモールドの90式艦上戦闘機で、ややマニアックなものである。確か1000円くらいであったと思う。複葉機で、これは厄介たが、これくらいは作れるかと思い、診療所の片隅に置いて少しずつ作っていった。これが今年の3月。

複葉機を作ったのは中学生以来で、当時の苦々しい記憶が蘇る。上下翼の固定が難しく、また張り線が面倒である。実際に作ってみると、上下の翼を支える4つの翼柱が微妙に合わず、瞬間接着剤を使ってもうまく固定できない。結局、一本の柱の長さが足らずパテで延長して固定した。さらに中学生の頃の作った時は、母親の裁縫箱から黒の絹糸を取り出し、ピンバイスで穴を開けて、そこに糸を通して固定したが、これがなかなか引っ付かず、結局、接着剤だらけで完成した。その後、プラモデル雑誌だけは作らなくても買っていたので、そこに小さな金属製フックをでつけると簡単に張り線ができると書いてあったのを思い出した。ワイヤでフックを作るのはお手のものなので、0.4mm線で10本くらいフックをこしらえ、機体、翼の必要箇所につけていった。さらにホワイトメタル製の機銃があるはずだが、どこを探してもない。仕方なく0.5mm0.4mmの矯正用ワイヤーをろう着して自作した。

 

塗装、汚しも終わり、ようやく張り線に挑戦したが、ここで老眼の問題、前後の距離感がわかりにくい、小さな穴に糸を通し、それを結んでいくのであるが、1mm以内の距離感が掴めない。それでもなんとか30分ほどで完成し、瞬間接着剤で固定し完成した。

写真を撮ると、なんだかこの張り線用のフックがひどく大きい。1mm径の穴を持つフックでも、1/72サイズなので、大きさは72mmとなる。こんな大きな固定具はない。これが1/48なら48mm1/32なら32mmとなり、それほど違和感はない。やはり1/72では大きすぎる。さらに2mm径のフックもあり、不自然である。少なくと1/72のフックを使った張り線は、やめた方が良い。

 

Wikipedeaに載っている90式艦上戦闘機の写真をみると、どこかの草原の基地に機体が置かれている。下は芝生のような場所なので、一応、ジオラマ風に仕上げようと、100均でそれっぽいものを買ってきた、少し着色し、プラスティック板に糊付けし、さらに割り箸で作った留め具をつけた。

 

結局、1000円で買ったのに、新たな塗装、張り線、接着剤などでかなりの出費となってしまった。ICMというウクライナの会社の作った1/72の最後の複葉機、95式戦闘機、が990円という安値でアマゾンで売っていたので買ってしまった。コメントを読むと初心者が作るには難しいキットと紹介されており、またまた完成には期間がかかるだろう。矯正治療という細かな治療の合間に張り線作業をしているのを従業員は呆れた目で見ている。老後はプラモデルでも作ろうと思うが、最近のプラモデルはすごく高いし、エッチングパーツをつける作業は年寄りには向いていない。






2024年12月19日木曜日

第三大臼歯の抜歯

 


最近、大学病院で第三大臼歯の抜歯を紹介したところ、検査、処置、投薬全てが保険扱いにならず、自費扱いになり、患者から泣きつかれた。領収書を見せてもらうと、毎回の支払いが、やれCT撮影で?万円、処置で?円、投薬で?万円、かなり生活に困っている家庭で気の毒であった。顎変形症の患者で、下顎骨の後退の際に埋伏している第三大臼歯があると、切断、プレート接合に邪魔になるために前もって抜歯してもらっている。調べると、保険扱いしている患者もいれば、そうでない患者もいる。青森県歯科医師会の担当理事に連絡し、厚生局の担当者に聞いてもらったが、保険扱いできるということで、大学病院の担当医に連絡したが、歯根未完成で歯胚扱いになるので、保険適用できないとのことであった。いわゆる歯胚摘出(Enucleation)である。鹿児島大学にいた頃も、歯胚段階であれば簡単に摘出できるということで、年間、それこそ数十例の手術を、矯正歯科で行っていた。将来ほとんどの第三大臼歯が埋伏するからである。この時も10歳くらいの小児に対する歯胚摘出術は保険適用になるかという議論があり、その時はギリギリ保険適用になった記憶がある。

 

現在、第三大臼歯の抜歯に対しては、“智歯周囲炎”の診断名で保険適用され、さらに将来的に問題を起こす可能性があるという理由で“埋伏”の診断名でも保険適用されていると思われる。それに対して歯胚摘出については埋伏予防の処置であり、これに対しては必ずしも認められたものではない。10歳の子供に対して“埋伏”の診断名で抜歯するのは、一般的でなく、自費扱いと考える先生もいるだろう。ただ歯根の完成まで歯胚としてしまうと大人になっても、18歳でもまだ完成していない場合があり、その場合は自費ということになる。これは一般的でない。

 

顎変形症患者の抜歯については、手術に必要な抜歯は保険適用となり、術前矯正のために抜歯される上顎第一小臼歯の抜歯も保険適用されるようになった。ところが手術の邪魔になるため抜歯される第三大臼歯の抜歯が歯根未完成なために抜歯できないのは、どうしてもおかしいと思い、いろんな施設に問い合わせたが、どこも保険適用であった。もう一度、大学病院に抗議し、ようやく何とかなりそうになった。

 

ただアメリカで第三大臼歯を抜歯するとなると、口腔外科医に紹介され、一本の抜歯で1220万円くらいする。日本の保険制度では難抜歯(埋伏)でも処置点数で言えば1080点、つまり一万円くらいで、検査、投薬費用も含めて患者負担は5000-10000円程度で、アメリカの1/20程度となり、極めて安い。口腔外科医からすれば、抜歯、特に埋伏歯の抜歯は、神経を傷つけ、術後障害を残すリスクもあり、こうした安い点数ではやりたくないというのはわかる。実際に、第三大臼歯が何か問題を起こすとなると、最初に述べた智歯周囲炎による痛みくらいで、完全埋伏している第三大臼歯はそれほど症状を引き起こすことは少ない。矯正の先生の中には、矯正治療後の後戻り防止のために、全ての患者に第三大臼歯の抜歯を勧める先生がいるが、論文的に第三大臼歯の有無による矯正治療後の後戻りには差は見られない。

 

そのため、埋伏している第三大臼歯を抜歯するかどうかについては、私自身否定的で、Enucleationのように簡単に抜歯できるなら予防的に抜いておくのはいいが、成人になって骨を削除して、下歯槽管神経損傷のリスク、術後の腫れを考えると、あまり勧めたくない。第三大臼歯については、他の永久歯のように完全に萌出し、咬合に参加する可能性は極めて低く(90%以上は埋伏あるいは半埋伏)、それを考えれば日本人には基本的に第三大臼歯は必要ないものとして、学童期の歯胚摘出について新たな処置項目として保険適用にしてほしい。


2024年12月14日土曜日

アークテリックスのベーターLTジャケット、 カイヤナイトジャケット

ベーターLTジャケット



カイヤナイトジャケット





細かい糸くずが大量発生(腕内側)


擦れない腕の外側はきれい


23年前からカナダのアークテリックスの服が若者に人気があり、製品によってはなかなか買えないようだ。値段の高く、アウトドアメーカーでいうと、LLビーンの2倍、パタゴニアより1.5倍といったところか。ということもあり、おじさんには関係ないと思っていたが、私の好きな、YouTubeチャンネル「わたぬき社長・アパレルの勝算」で、このアークテリクスのことが何度か紹介されていて、会社は比較的、きちんとした登山ツールメーカーということがわかり、格好いいだけでなく、機能も優れているのがわかった。そうなると急に欲しくなり、今年の9月に最初に買ったのは、ベータLTジャケットというもので、現行はSLジャケットになっている。ゴアテックスの最新のePEメンブレンを使った軽量タイプである。この生地は従来のゴアテックスの比べて軽いだけでなく、少しやわらなくなり、ゴワゴワ感が減っている。さらに環境汚染で問題になっているフッ素化合物を使っていないのが最大の特徴となっている。ゴアテックについては、モンペルのものを持っているが、それに比べてもかなり薄く、軽く、動きやすい。ただ耐久性はフッ素化合物を使って従来型よりは劣るという。まだこの生地を使っているメーカーは少なく、実際の登山での機能評価はわからない。少し涼しくなった10月頃からずっと使っているが、さすがに12月になり雪が降る季節になると、使う機会はあまりなくなり、ダウンの季節となる。

 

中間着としては、ここ10年ほどずっとパタゴニアのR2を中心にR1、R3を使ってきたが、アークテリックスのものとしては、カイヤナイト、デルタ、コパートなどのフリースがある。このうち、実店舗でポーラテックの Power Stretch Proを使ったカイヤナイトジャケットが動きやすそうなので、どんなものか買ってみた。

 

結論からいうと、非常に着心地がよく、それでいて暖かい。R2は起毛したフリースで少し厚みがあるが、カイヤナイトはそれよりはるかに薄いにも関わらず、暖かさはそれほど変わらない。軽くて動きやすく、暖かい。冬の中間着、室内着としては理想的である。見た目は通常のコットンのスポーツジャージであるが、機能は全く違い、高い製品であるが、十分に価値がある。

 

ただ耐久性が高いといっているが、買ってわずか3日、実質数時間で、右腕の内側に毛玉がたくさんできた。3万円近いものなので、さすがに3日で、毛玉はできるのはどうかと、買った店に相談すると、アークテリックの会社に送って調べてみるということになった。二週間後に連絡があり、取りに行くと、生地の性格上、毛玉になるのは仕方がないとのことであった。会社の方で少し毛玉は取ったようだが、すぐにまた毛玉が発生した。その後、毎日使っていると左腕の内側にもできてきたが、黒のジャケットを買ったので、それほど目立たないので、最近は全く気にならなくなった。何らかの耐久性を高める加工ができ、毛玉が発生しなければ、星5つの製品である。

 

アークテリックの製品を2つ買ったが、いずれもかっこよく、若者に人気があるのは頷ける。ただ私のような年寄りが着ると、そうならないのが不思議で、ほぼくたびれたジャージを着ているおじさんである。












 

2024年12月11日水曜日

映画「冬物語」 ネタバレあります


冬の弘前を舞台にした「冬物語」をみてきた。平日の9時という上映時間だったが、そこそこのお客さんが来ていた。ただ年配の方が多く、できれば若い人にみてもらい、おしゃれな弘前の街を映画から感じてほしい。

 

映画自体は1時間くらいのショートムービーで、弘前のPR映画のような感じがした。地元民にとっては馴染みのある店が出ているというと微妙で、例えば、カレーのかわしまや喫茶店ひまわり、戸田のうちわ餅は皆知っているだろうが、中古レコード店のJOY-POPというと私も存在はよく知っているが行ったことはないし、Slow-Porkも知人からはよく話は聞くが行ったことはない。また活版印刷をしている「Sunday Seaside」という店もネットで見たことがあり、名刺を作ってもらおうと思ったこともあるが、それほど知られてはいないし、またジャズ喫茶の「SUGA」も昔からある店で一度は行きたいと思っている店だが、ここも一部のジャズファンしか知らない名店である。おそらく今の弘前と昔の弘前の両方を知っているブレーンがいて、その人の選択でこうした店がロケ地に選ばれたのかもしれない。いずれもおしゃれな感じで、まるで東京の下北沢のお店のように撮影されている。

 

普通、津軽、弘前を舞台の映画というと、寺山修司の映画に見られるように、貧しい、暗い、津軽弁、ましてや冬となると、じっと暗い家に閉じこもるといったイメージで描かれることが多い。ところがこの映画では、津軽を舞台にした映画として、初めて津軽らしさを前面に押し出さない映画であり、あたかも東京郊外の普通の街にように扱っている。実際、津軽弁が話されるのは、津軽塗りの職人に所でのシーンだけで、他のシーンに、津軽らしさは全くない。主人公もその彼女も津軽人ではない。一種の他県民サイドでの津軽映画とみなすこともできよう。

 

内容的には、最初の半分くらいは非常にテンポのいい雰囲気で、特にかわしまでカレーを食べているシーンは、観客にもあの女性は誰だという不思議な感覚、まるで幽霊写真を見ているような感覚を覚え、楽しかった。実店舗を映画の舞台に使うのは難しいが、本映画ではどのシーンも見事に決まっていた。空間的な制約もあり、カメラアングルなど難しかったであろうが、SUGAの奥行きのあるカウンターのシーンもうまく撮っていた。

 

喫茶「ひまわり」、主人公は、自分は脚本家で、その脚本をその日初めて会った女性に見てほしいと頼む。それも強引に今すぐに見てほしいと頼む。ここから回想シーンとなるが、ここでの男女の会話が興味深かった。回想な中の美しい女性と主人公は、カレーライスを作りながら激しいキスをし、その後、一緒の布団に寝ている。女性の方が、「あなたは今、興奮している?」と聞くと、横にいた主人公はもちろん興奮していると答え、キスしていいかというと、女性は「さっきは興奮していたが、今はそうでないので、ごめん」と謝り、カレーのためのラッキョを買ってきてと頼み、帰ってみるとその女性はいないという設定であった。

 

私たちの世代、1970-80年代であれば、女性が男性のアパートに来て、一緒に布団に寝ていて、女性にまずキスしていいかなどとは絶対に聞かないし、仮に聞いたとしても女性は、今はしたくないとは言わないだろうし、さらに言ったところで、何もしないわけはない。今の若者は男女一緒に朝まで同じ部屋にいても、何もないのが普通であり、もし何か男性側がHをしようとするのは犯罪ということらしい。この映画はいわゆるラブストーリであるが、今風のラブストーリなのか、淡々として流れで、あまり激しさはない。

 

全体的には、非常によくできた映画であるが、エピソードの一つに、ローマの休日のグレゴリー・ペックが真実の口に手を入れるシーン、ああした魅力的なシーンがほしかった。私だったら、代官町の歩道が雪のために高さ1mくらいのスロープになっており、それを登るのは大変で転んだ、こんなシーンも入れたい。また禅林街の栄螺堂の迷路を二人で上り、ベンガラで靴下が赤く染まったようなシーン、弘南鉄道大鰐線からの冬の車窓、夜の雪の禅林街、デートコースとしてSUGAに行くなら、その前にあるまわりみち文庫もシーンに入れて欲しかった。旧杉山医院の家具屋、PPPもロケ地としては素晴らしい。撮影の三部正博さん、次回作では取り上げてください。できれば春物語、夏物語、秋物語の4部作を。

 

最近見た冬を扱った映画として、日台合作映画「青春18×2 君へと続く道」があり、この「冬物語」とは比較するべきではないのだろうが、藤井道人監督が描く、王道の恋愛映画の方が年寄りにはグッとくる。ただ弘前の冬の魅力を発信するツールとして、本作は非常に優れており、台湾やタイ、ベトナムでも、弘前市が広報の一環としてこの映画の使用許可費用を払い、ネットやテレビ、映画館などで公開したらどうだろうか。これを見て是非とも冬の弘前を観光したいという人はいる。台湾のデパートなどでの弘前観光物産展の一環としての上映会やベトナム、タイの旅行会社を招いての観光プロモーションなどにも使えそうである。

 

弘前市でもこうした観光宣伝のツールとして、計画と予算を立てて、本作を十分に活用すべきだと考える。さらにおしゃれな町というイメージを定着させることは、長い目で見ると、若者離れを防ぐ、あるいはUターンを増やすことに繋がり、衰退の激しい土手町に出店を増やす機会にもなる。映画に登場するかわしま、ひまわり、SUGASea Porkもほぼ土手町と言ってよかろう。若者が店を開こうとするのを行政でもサポートし、できれば中心地の活性化として土手町に出店する場合の改築費や家賃の補助あるいは金融機関の紹介など、簡単に他の地域より開業しやすくしてほしい。福岡生まれの監督、奥野俊作がいいと感じた弘前は、ほぼ土手町と言ってよく、やはり弘前の顔として残すところだと映画をみて、あらためて感じた。頑張れ土手町。


代官町の歩道 わかりにくいが1mくらいの段差がある。ほぼ山登り


 

2024年12月10日火曜日

矯正歯科におけるデジタル印象

 



近年、これまでの印象材を使った印象にかわって、デジタル印象が普及してきた。歯科医院に行って口の型を取った経験を持つ人も多いと思うが、あの吐き気がする型取りは何とかならないかという人は意外に多い。当院の患者さんの中にも、毎回印象のたびに激しい吐き気がしてトラウマになっている患者さんもいる。こうした患者さんにとって小さな口腔内スキャナーで口の型をとるデジタル印象は朗報である。まだスキャナー自体大きいものの、印象材を使った従来の印象に比べてはるかに楽である。

 

歯科医自身も模型を作らないで、技工に回わしたり、その場で咬合の確認、特に矯正歯科では舌側方向からの臼歯の咬合を確認したいが、これを使えば容易である。私も安くて小さく、いいものがあれば、買いたいと思っていたが、閉院予定のために、購入はギブアップした。

 

ただ矯正歯科でのデジタル印象については、デメリットも多い。まず日本矯正歯科学会の認定医、臨床指導医などの試験では、デジタル印象を使った模型は認められていない。なぜという声も多いが、受験者の中には、デジタル画像を加工して噛まなかった歯を咬ますようにしたりする先生もいるそうだ。特に舌側方向からの咬合は、試験の際に真っ先に確認する箇所であるが、これについては口腔内写真ではわからず、あくまで模型でしか確認できない。そのために、デジタル印象で噛ませるように加工されると評価ができないからである。ある程度、慣れると、口腔内写真から特に抜歯症例で、第二小臼歯が噛んでいるかわかるが。

 

そのため、専門医試験などでは、今のところデジタル印象とそれによる模型は認められておらず、初診時、動的治療終了時、保定2年後の印象は従来の印象材を用いた印象をしなくてはいけない。そのため、デジタル印象の設備を持っていても、試験のために使ってはいけないことになる。インビザラインのようにデジタル印象を基本にしている治療法は将来、試験で認められても、模型で引っかかることになる。

 

さすがにこうした流れの中で、デジタル印象を試験に使えるように改善していかなくてはいけないが、アメリカ矯正歯科専門医試験(AB0)でもまだデジタル印象よる模型は認められていない。まず模型を加工したなら即、試験は不合格にし、それ以降も提出できなくする。さらにデジタル情報を添付させ、オリジナルの加工されていない情報かチェックできないであろうか。デジタル印象からデータを加工して、模型を作って提出されると、それがオリジナルなものか、加工したものか判断できない。他の方法として思いつくのは、口腔内写真と模型が一致するか、AIで調べるようなソフトができないだろうか。加工するとすれば、大臼歯、小臼歯の傾斜あるいは形態修正だと思われる。デジタル印象のよる模型を試験に提出する場合は、切歯部の下からの写真、左右頬側の上下からの写真など何枚かの写真添付を義務付ければ、ある程度は視診で判断でき、疑われる症例については、こうしたソフトを使う手もある。また咬合紙を噛ませ、マークがついた時の上下顎の口腔内写真も参考になる。

 

基本的には受験者の良心を信じるべきであろうが、審査のほとんどが模型による現状を考えると、今のところデジタル印象は不正の可能性が高いだけに、より慎重な扱いが必要であろう。将来的には、デジタル印象のメーカーの協力が得られれば、最初のオリジナルデータであるか、どこかの暗号を仕込んでもらえれば、それを確認すれば良いので、審査自体を全てオンライン上でできるかもしれない。

 

現在、日本矯正歯科専門医機構による第三者による専門医制度が医科、歯科ともに始まっている。歯科では口腔外科、小児歯科、歯科麻酔、歯科放射線、補綴歯科、保存歯科、そして矯正歯科が広告可能な専門医として認められている。矯正歯科については、210名の専門医が今年の10月から認められているようになったが、一方、従来の日本矯正歯科学会の認定医、臨床指導医について広告は基本的にできなくなる。つまり認定医の更新に際してはホームページのチェックが行われるが、“日本矯正歯科学会 認定医”は限定解除要件を満たしたのみ掲載可能となる。現状では、この新しい矯正歯科専門医はあまりに少ない。

 

患者からすれば、歯科の専門医と言ってもあまり関心はないと思う。歯の根っ子の治療をするなら、歯科保存専門医で診てもらおうと思わない。とりわけ患者からすれば、おそらく歯科の専門医で少し参考になるのは、口腔外科、小児歯科、矯正歯科、そしてまだ認められていないが、インプラントくらいでなかろうか。それでも今後10年もすれば、大学の矯正歯科講座で研修し、日本矯正歯科学会の認定医を取って、開業し、そして5-10年くらいで、日本歯科専門医機構の矯正歯科専門医をとるというのが一般化していくのであろう。全国で2000名程度、どの県でも二名程度以上の専門医が必要と思われるし、少なくとも地方では、一般開業医で治療ができない、より難度の高い口蓋裂のような先天性疾患、あるいは口腔外科との連携の必要な顎変形症の治療ができなくてはいけない。


2024年12月8日日曜日

初代ボンダルI-Mac とI-Mac G4

 



古いパソコンが何台かあり、早く処分しなくてはいけない。診療所で使っていた最初のパソコンはApple LC630で、これも倉庫にまだある。二台目は美しいボンダルカラーの初代I-mac G3、そしてお椀型をした未来的なI-mac G4、さらに3代目、4代目、5代目、6代目と、新しくなるたびに購入しているが、古いパソコンは捨てられないで置いている。

 

初代I-macI -Mac G4はインテリアとしても人気があるので、近くにあるインテリアショップPPPに、動作しているようなら譲るよと言ったが、全く動かない。You tubeで調べると、I-mac G4については内臓電池切れの可能性もあるので、アマゾンで古い型の内蔵電池を購入し、分解して取り付けてみた。全く動かない。これは捨てるしかしょうがないと考えたが、付属している小型スピーカーは何とかならないか。このスピーカーは、有名なスピーカーメーカー、ハーマン・カードン製なのだが、このIMacしか使えない特殊なジャックとなっている。そこでYou-tubeで調べると、少し細工をして小型パワー・アンプを購入すれば、使えるとのことであった。

 

まず、スピーカから出ている線を切り離し、内部のリード線は出してきて、これを小型のパワーアンプにつけて鳴らす。早速、アマゾンで中国製の一番安いパワー・アンプ、3000円くらいのを買って、診療所にあるI-macにつないでみた。このアンプは、ブルーツース、USB、イヤホン端子で接続可能であるが、USBが一番音質がよい。今のI-macは以前のものに比べて格段に音質が良くなったものの、こうして小型のスピーカーに繋ぐと、さらに音質は良くなった。もちろん、20年も前の、それもパソコン付属のスピーカーなので、最新のスピーカーに比べると音質は劣るであろう。特に低音はあまり出ない。ただボーカルは素直な音で、パソコンの前で聴くならこれくらいで十分である。

 

パソコンの横におく小型スピーカーはあるようであまりなく、デスクの大きさを考えると、できるだけ小さいものが良い。IMac付属のスピーカーはそれこそ10cm足らずのものなので、あまり場所をとらないのでちょうど良い。他に良さそうな大きさのスピーカーというと、エレコムやバッファローのものなどがあるが、見た感じで良さそうなのはJBL PebblesCreative Pebbleが良さそうである。また音質を聞いたことがあるスピーカとしてはEclipse TD307がクリアな音質で最高である。現行のTD307MKは昔のものより大きくなったので、パソコン用のスピーカーとして旧式の3脚タイプのものが良い。ただパワー・アンプが必要である。

 

初代のIMacも何とかならないかと、You-tubeに解説に沿って分解してみたが、途中で、どうしてもネジが特殊ドライバ−でなければ外せないので、諦めた。少し前に韓国ドラマで、主人公がこの初代ボンダイI-macを使っていた。このI-macはブラウン管のモニターを使っているので、これを取り除けば、かなり大きな容量があるので、おそらく液晶モニターに変えて、中に例えば、アップルミニなどを入れれば、十分に使えそうである。

 

まだまだたくさんのパソコンがあるが、どんどん捨てていきたいが、廃棄するのは結構面倒である。




2024年12月5日木曜日

ヤコブセンのオイルランタン、インガー・パーソンのティポット

 





スウェーデンのMother Swedenという主として北欧陶器を扱うネットショップをよく利用する。これまで4回ほど利用したが、期待通りの良品が届けられ、満足している。ただスウェーデンからの発送のために3ヶ月くらい、忘れた頃に届く。ところが今回は11/24に注文して、12/4に届いた。ちょうど10日である。送料は3500円なので、急行便ではないが、早い。国際書留便だそうだ。

 

娘にやろうという口実で、以前から北欧陶器を買っているが、実際、二人の娘はそれほど欲しがっているようでもない。歳をとるとそろそろ断捨離も考えなくてはいけず、少しずつ整理しているが、それでも欲しいものが出てくる。今回は、Mother Swedenのネットを見ていると、ヤコブセンのオイルランプ、30000円のが、半額の15000円で売っていた。以前からオイルランプには憧れがあり、ゆらゆらした炎を見ると落ち着くなあと考えていたが、どうもキャンプをするわけでなく、屋内用のおしゃれなものを探していた。ヤコブセン、いいなあと思った。

 

ヤコブセンというと、デンマークのデザイナーのArne Jacobsenの名を浮かべる人が多いと思う。私も最初見た時、アルネ・ヤコブセンはこんなオイルランタンのデザインもしていたのかと思ったが、実はこのオイルランタンは、スウェーデンのHans agne Jakobssonのデザインしたものであった。彼は、照明デザイナーで、北欧産のパイン材を使った照明器具は日本でも人気がある。

 

少しオイルは入っている真鍮の容器が汚れているが、通常3-5万円くらいするので、安いと思う。せっかくスウェーデンまで注文するなら、送料は同じなので、他にも何かいいのがないかと探すと、インガー・パーソンのティーポットが9000円だった。小さなサイズのものはよくあるが、大きなサイズのものは珍しい。通常、これも3万円くらいするのでお買い得である。オイルランタンと一緒に注文した。

 

本日、届けられ、ティーポットはほぼ新品で、使われた形跡はない。日本茶のポットで言えば、5杯分くらいの大きさである。こうしたポットは日常的に使っていった方がいいのかもしれない。オイルランタンは火を使うので、屋内で使うのはちょっと怖い。そこでアマゾンで超小型のRED電球を3つ注文した。ランプの真ん中にあるガラス筒の中に入れれば、REDランプになると考えたからである。同時に、オイルとチャッカーも注文して、怖いが外でランタンに火をつけてみたい。

 

どうも大阪人は、安くなると一気に購買欲が出る本性があるようで、オイルランタンも半額でなければ購入しなかっただろう。こうして荷物は増えていくのだが、やめられない。ただデザイナーものは丁寧に使えば、欲しがる人がいて、ゴミにはならないと信じている。それにしても中古家具、あるは中古雑貨、陶器を扱うお店は大変である。以前は、スウェーデンのネットショップに日本語でオーダーでき、10日で着くなんてありえなかった。日本の業者はわざわざ北欧に行き、あちらのショップに行って商品を仕入れ、コンテナ船便で日本に送る。2、3ヶ月はかかるだろう。商品を購入してもすぐに売れるものではないため、仕入れ値の少なくと2、3倍の価格をつけなくてはいけないが、あまり仕入れ値が高いと、売れない。どれだけ安く、売れそうなものを仕入れるかにかかっている。ところが最近では、このMother Sweden以外にも日本語で注文できる海外のネットショップがあり、E-bayなどでも買える。そうかといって実店舗で商品を見てもらってから買ってもらうためには、上客が多い、いい場所で店を日本にもつ必要があり、家賃も高い。逆にこれだけ円安であれば、日本の陶器や雑貨などを英語、フランス語、ドイツ語で、ネットで欧米で売れば、そこそこ儲かるかもしれない。古伊万里の200年以上前にものでも、100ドルでは売れるだろう。23千円で仕入れれば、儲けが出る。


パラフィンオイル


小型LED3個











2024年12月1日日曜日

大鰐線廃止

 



1127日の報道で、弘前と大鰐を結ぶ弘南鉄道大鰐線が2027年度末で廃止を前提として休止にするということになった。ピーク時は390万人の利用者がいたが今では30万人しかおらず、経営的にも限界にきたためだとしている。会社側はずっと廃止を考えていたが、沿線の自治体から継続を請願され、支援も受けていたので、何とか続けていた。ところがコロナ禍による乗客の減少や脱線事故で、もはや継続できないと決意したわけで、さすがに弘前市側も民間の経営にこれ以上口だすわけにいかず今回ようやく認めたのであろう。

 

最近は、こんな話ばかりで、おそらく大鰐線が廃止される2027年になると残念がる市民が増え、急に乗客が増え、大混雑になるのだろう。今泉書店、ホテルニューキャッスル、紀伊国屋書店、弘前食品中央市場、開雲堂、イトーヨーカドー、毎度である。あまり利用しないくせに、なくなると、寂しいという。大鰐線といっても車のある人からすれば、ほとんど利用しないだろう。私は車を持っていないので、年間、4、5回は利用する。特に大鰐温泉に行くときは、弘前―大鰐の往復乗車券とワニカムの入浴券とお買い物券がついて1000円という“さっパス”というセットをよく利用した。季節ごとに変わる車窓の景色を見ての鉄道は、ちょっとした旅行気分に浸れる。

 

大鰐線が廃止されると、通学に支障が出るため、代替わりのバス運行になるかというと、これも、そもそも弘南バス自体の経営は厳しく、また運転手不足から、厳しい状況である。さらにいうならもう一つの私鉄、黒石までの弘南線は存続するといっても、ここも年間9600万円程度の赤字であり、補助金で何とかやっている状況である。大鰐線がいらないというのと同じ論理で、弘南線も必要ないと言える。

 

駅前、土手町にまず映画館がなくなり、スーパー、デパートもなくなり、さらに本屋、鉄道もなくなり、駐車場だけがある。これは街というよりは空疎な空間というもので、人々は広い空間に散らばって住み、車で必要な店に行って買うという社会である。ドーナツ化現象と呼ばれるもので、基本は車社会を前提としており、車がない若年者、老人、病人には住みにくい社会である。さらにいうと、車も一家に一台では足りず、一人一台必要であり、結果的には五人家族で、5台車があるという家も珍しくない。さらにいうと完全な車社会となると、道路整備だけでなく、雪国の青森では除雪、排雪作業も必須となり、大きな出費となる。今後もガソリン価格や車の保険料は高くなる一方であり、車にかかる個人の負担も増えていく。一方では、国は高齢者の免許返納を訴えながら、唯一の移動手段の鉄道、バスもないとどうするのだろうか。

 

このブログでもこれまでも何度も大鰐線の廃止を反対してきた。それは車がなくなったらどうするのかということにつながる。弘前市会議員の中にも大鰐線を廃止しろと強く言う人もいるが、こうした人は一度、車のない生活をしたことがあるのか。昔と違い、土手町に行けば、弘前駅前に行けばと言う時代ではなく、何か欲しいと言えばその店に行かなくてはいけず、自分の家からそこまで車なしでどういくのかを考えてほしい。新しい冬用の靴を買おうとしよう。私が住む坂本町は市内の中心なので、便利は良い。まずヨーカドー、今はシーナシーナに歩いて行くか、ヒロロにいく。またビブレに行こうとするなら、まず弘前駅裏まで歩いて、そこから百円バスに乗り、ビブレに行く。あるいは自転車やタクシーで行くことになる。それでは中心から少し離れた弘前市新町から弘前駅に向かうとしよう。工業高校前のバス停から弘前駅に向かうバスは1日に12便だが、朝夕以外は2時間に一本、さらにビブレに向かうにはここから百円バスに乗り換えることになる。費用も片道300円となる。さらに遠方の高杉くらいになると、高杉南口から弘前駅までは3便しかない。このように駅に行くバスが10分おきに出ている東京や大阪とは、状況が全く異なり、地方ではバスによる移動は非常に制約される。これなら定刻運転される鉄道の方がよほど移動しやすい。バスによる移動は便数が多いと、便利であるが、地方にように1日に数便しかないと、日常的に利用するのはかなり困難となり、利用客は減る。実際に弘南バスを見ても百円バスはかろうじて乗客がいるが、その他の便は朝夕を除けばほとんど利用客がおらず、経営的に厳しく、将来的にはバス路線も赤字で便数を減らす、廃止されることは覚悟しておかなくては行けない。

 

つまり大鰐線の廃止は赤字によるものであれば、黒石までの弘南線も廃止されるし、これまで弘南バスがカバーしていたバス網もなくなることになる。車を持っていない人は、歩くか、自転車かタクシーしか使えないことになる。公共交通機関というのは、交通インフラの基本的なものであり、是非とも国県市町村が整備すべきものである。簡単に交通弱者を排除して良いものではない。少数の人々に対象に税金を使うのはもったいないという合理的な観点でいうなら、聴覚障碍者の音響式信号機は必要ないし、視覚障害者に対する点字ブロックも必要ないと言えるが、健康な人々でもいつ、こうした障害を持つかわからないので、こうした設備は必要なことになる。大鰐線で言えば、乗客が減ったとはいえ30万人の利用者がいる。大鰐線の廃止するのではなく、弘前市が買取り、費用がかからないBRTに変換できないだろうか。BRTとはBus Rapid Transitの略で、簡単に言えば線路を舗装道に、電車をバスの置き換えたもので、初期投資はかかるものの、維持費は安く、定時便、例えば15分おきの運行も可能となる。さらに通常道路の走行も可能なので、弘前駅から直接に乗ることも可能となる。専用道なので自動運転も可能かもしれない。またBRTといった大袈裟なものでなくても、バス専用道として、弘南バス、スクールバスや観光バスのみ利用できる道にするような方策はないのであろうか。廃止は仕方ないが、何らかの代案を検討してほしいし、国、県の補助など資金面も含めて、弘前市、市長の手腕が求められる。