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リサ・ラーソンの自宅リビング 壁には絵を
「渡辺篤史の建もの探訪」や「となりのスゴイ家」などの建物を紹介する番組は好きで、よく見る。多くは建築家の自宅で、宣伝も兼ねて番組出演しているようだが、どうも気になる点がある。つまりあんまり生活感がないのである。夫婦二人の子ども二人いれば、相当生活感があるはずであるが、番組で紹介されている住宅には物がほとんどない。確かに番組の取材にくるのだから綺麗に片付けたといわれれば、その通りであるが、それでも何だかモデルルームのような家が多い。
これは建物を扱った番組だけではなく、雑誌「モダンリブング」やインテリア雑誌をみても、本当に何にもない家が多い。シンプル、何もない家に憧れがあるのか。真っ白な壁、黒のソファー、床も大理石、大型のテレビ、こんな感じか。なかなか緊張する部屋だし、寝っ転がってポテトチップスも食べられない。ましてや子どもがいる場合、彼らは遊びまわるし、汚し回る、これから白い壁、床をどう守るか、お母さんとのけんかが絶えないだろう。こうしたすべて、新品に囲まれたシンプルな家、日本人が好きな家である。
一方、欧米の雑誌をみると、リビングの雰囲気は全く違う。いかに生活しやすい、くつろぎやすいを主体として、温かい、少し雑然とした家が多い。多くのものがあり、それらを見ると住む人の趣味や好みがわかる。
日本の家、といっても雑誌などで紹介する理想の家は、基本的には何もない家であるのに対して、欧米のこれも理想の家は、住む人がくつろげる空間となっている。すなわち日本の家は外から見られるモデルルームのような新品の家が好まれるが、欧米では、外からどうみられるよりは住む人が快適な家をめざしている。具体的にいえば、欧米の家では床に絨毯などを敷くことが多い。何種類も、大きさや柄の異なった絨毯がいたるところに置いている。和室であれば畳自体が快適であるが、洋間のフローリングは寒いし、温かみ欠けるため、絨毯などラグで覆う。さらに日本では白い壁であれば、そのままであるが、欧米ではここに絵や写真を飾ることが多い。また壁に大きな棚を作り、そこに趣味の人形や陶器を飾っている。そして新品というよりは使い込まれたインテリアで部屋をまとめている。
こうしてみると日本の家は何もない新品の家に対して欧米の家は、モノ囲まれた中古の家と言ってもいいのかもしれない。実際、日本では新築の需要が70%以上なのに対して、欧米は逆に中古住宅の需要が80%を超えていて、そうしたことも部屋の内装に違いが出ているのかもしれない。エコの観点からも、そろそろ日本人も新品嗜好から足を洗い、好きなものに囲まれた気の休まる家に回帰する時代になってきたのではなかろうか。そうした意味でも、新しい家ばかり取り上げる建物番組から古くてもいいが、おしゃれなくつろぎやすい建物も取り上げてほしいものである。新しく家、建築予算いくらというものではなく、古い家をリフォームし、絨毯をしいて、家具を入れ、絵を飾るとこうなったといった番組もありかと思う。
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