2025年2月7日金曜日

高額医療制度の改悪




石破首相のあの顔は好きになれないが、とうとう世界に誇る日本の医療制度の支柱である高額医療制度の見直しに言及した。現役世代の保険料負担を少なくするために負担額を引き上げるという試算らしい。年収所得層の多い370万円から770万円では現行の月額8万円から13万9千円に上がるという。たとえば、年収500万円の人では、手取りは30万円くらいになるが、このうちの139千円を取られては、ほぼ生活できないレベルとなる。

 

日本の医療制度が世界一と断言できる。世界各国から日本に住む外国人が口を揃えて褒めるのが日本の安全とこの医療制度である。日本に英語を教えにくるALTという語学教師の中には、アメリカでの手術は莫大な費用がかかるために、日本で就職する人もいるくらいである。たとえば、歯科矯正の分野でも、顎変形症の治療がある、これをアメリカでするとなると矯正治療は日本と同じくらい100万円程度であるが、手術費が1500万円くらいかかり、入院も2日くらいとなる。翻って日本では、まず矯正治療費も健康保険が効くので、実際の窓口の支払いは総額で20-30万円、毎月の支払いは3000-10000円くらいとなる。さらに保険の手術費の点数が低く、一週間の入院費も含めて30-50万円くらい、そして高額医療制度による実際の支払いは80000円程度となる。民間の健康保険に入っていると、さらに入院1日あたり8000円の7日で、実際の支払いは2.5万円程度となる。これががん治療などもっと入院期間が長くな

り、治療費もかかるようになるとこの高額医療制度の恩恵は極めて大きい。

 

昔、外資系の健康保険会社が日本に進出しようとした際の一番大きな障壁が、この高額医療制度であった。こんな素晴らしい、いくら医療費がかかっても支払いがこれほど少ない医療制度があれば、誰も民間の生命保険に入らないと。その後、実際にアフラックなどの外資系生命保険会社が参入したが、日本の医療制度に対応した内容となっている。すなわち高額医療制度の前提の上、入院時に必要な自己負担金を援助すべき、安い保険料で、売るという方法である。自国では、保険料に多少による受けられる医療サービスは違っており、安い掛け金であれば、高度の医療は受けられない仕組みとなっている。これはアメリカだけではなく、隣国の社会主義国の中国でもそうである。逆に日本のような高額医療制度は世界でもない素晴らしい制度である。

 

もし自民党政権が、この世界に誇れる医療制度を改悪するなら、私は48年間応援してきた自民党政権を見限るつもりである。この制度は日本の宝物の制度であり、すべての国民が近所の病院を、安い費用で、最高の医療を受けられる権利は日本における根幹の制度である。確かに医療費の増大に伴う財政悪化はわかるが、それでもそれを理由にこの高額医療の負担金を一気に上昇させるのは、アメリカの保険会社を喜ばせるだけである。最初に述べたような、手取り30万円の人が病気になり入院すると、月に139千円払いとなると、残りは約16万円、家族4人いて、家のローンなどがあればとても生活できない。それを危惧すると、高い生命保険に入らないといけなくなり、それがまた家計を圧迫することになる。さらに石破首相は若い人の負担を減らすというが、病気は全世代に起こるし、80歳以上になると逆にそれほど高額になる手術や治療法は行われない。むしろ高額医療制度の恩恵を受けるのは若い世代、まあ60歳以下で、ガンにかかり、何とかして命を助けたいというようなケースであろう。たとえば、40歳で乳がんになり、子供がまだ小さい場合は、高い薬や治療でも最高の治療を受けたいと望むのは当たり前のことである。それが自己負担金が高くなると、そうした高度の医療を受けられない場合も出てくる。これまで保険適用でない高額な治療を受ける場合の問題点が議論されてきたが、今回の石破首相の案は保険適用の治療を受けられないことであり、全く次元の違う話となる。

 

日本の医療制度については、ほとんど国民はあたかも水道水のようにその恩恵をそれほど感じていないかもしれないが、これこそが日本が世界に誇る制度である。これに真っ先に手をつけようとする石破首相は相当なバカであり、もし財務省の口車に乗り、この試案を実行するなら、自民党は野党に転落するかもしれない。それもほとんど議論せずに、試案を通そうとしているが、国の根幹に関わる問題なので十分に議論してほしい。一方、いくら高額医療制度があるからと言って、認知症薬「レカネマブ」のように年間の薬価費用が300万円を超えるようなものについては、保険適用にするには対費用効果からの検討も必要であろうし、また開発費の回収のためにありえないほど高い薬価を要求する製薬会社についても、国民やマスコミからのもう少しきつい突き上げがあっても良さそうである。異梁性白質ジストロフィ向けの薬「Lenmeldy」の価格は63750万円というが、生涯賃金の3倍という薬価はどうだろうか。

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