アメリカ西部での大規模な森林火災がようやく落ち着いてきたと思うと、日本でも三陸地域で森林火災が頻発している。近年、世界各国で地球温暖化のよるものか大規模な森林火災が発生し、それがまた大量のCO2放出に繋がっている。
森林火災の消火方法については陸上からの消防車による消火では、水源確保が難しく、アメリカ西部、ロスの場合は、大量の消火用の飛行機が使われていた。多くは旅客機を改良したもので、ニュースを見る限りさまざまな機種が使われ、それも民間の会社のもののようだ。国あるいは州がそうした空中消火専門の会社と契約して消火作業をしているのだろう。日本の岩手県、大船度の森林火災では自衛隊のヘリコプーを使って消火を行っていたが、いつも思うのは、日本が誇る飛行艇US-2を使った消火はできないかということである。
US-2は、新明和が1967年に開発したUS-1の後継機で、世界でも最も優れた飛行艇として有名で、これまでも多くの救難運用を行ってきた。この飛行艇を用いて山林火災などの消火活動に用いようとする試みがあったが、効果は抜群との認定を受けながら、費用効果比が低いために見送られてきた。元々、一機100億円くらいであったが、最近では物価高騰により一機220億円、維持費が年間20億円という。さらに機材提供の三菱重工、川崎重工が供給を撤退したため、生産も不可能となっている。
今回の大船度の森林火災では、陸上自衛隊の大型ヘリ、CH47が使われたが、この機体の価格が176億円で、機体価格としてはUS-2よりはやや安いが、バケットによる水量は5トン、それに対してUS-2は一度に15トン以上の水を放出でき、さらに基地に戻らず、近くの海、湖で給水ができるという利点を持つ。もちろんCH47の主任務は輸送であり、消火活動はバケットを使った利用法の一つで、US-2より汎用性の高いことはいうまでもない。
それでも森林火災以外に、近年でも能登地震の際の火災など、天然災害に伴う大規模な火災が発生し、陸路により消火活動ができない事象も増えてきており、こうした消火専門の飛行艇の活躍の場は多いのではないだろうか。さらにカナダ、アメリカ、オーストラリアなど世界を見渡せば、大規模な森林火災が頻繁に起こるところがあり、消火用飛行艇の需要があり、生産数が増えれば、価格も安くなる。と同時に、戦前から続く、日本の飛行艇の技術を継承できる。
US-2の航続距離は4700kmで周辺を海で囲まれた日本では、どのような場所でも給水は可能で、さらに言えば琵琶湖などの大きな湖も給水箇所として使用できる。もちろん消火方法などはまだまだ改良の余地はあろうが、地震などのよる火災などで早急に消火ができるなら、それによる人命救助も増えるだろう。さらにフィリッピンなどで給油すれば、ほぼ東南アジア全体をカバーでき、そこで起こった災害、山火事などの消火活動に活用できる。
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