今、断捨離をしていて、これまで集めてきたものを整理している。もともと本に関してあまり執着はないので、読んだ本はすぐに売る。今回も500冊以上の本を処分したが、処分自体はそれほど気にならないが、それにしても買取り価格が安すぎて、これについては結構抵抗がある。たとえば、先月買ったヤマザキマリの「続テルマエロマエ」2冊と「坂道のアポロン」6冊で、いずれも帯付き、ほぼ新品、全部で350円。多分、坂道のアポロンが1冊20円、続テルマエロマエが230円くらいであろう。アポロンをセット売りで2000円くらい、儲けが1880円ということか。そんなこともあり、世界の傑作機シリーズ、90冊くらいを処分しようと思っていたが、一冊20-50円くらい、90冊でも3000円くらいなのでやめた。
前にも書いてが、大橋歩さんのイラスト原画、ピンクハウスの服紹介のイラストだが、これをネットの買取り業社に写真査定してもらった。査定額は掲載されている本と一緒で2000円ということだった。本はヤフオクで、2000円で買ったので、大橋歩さんのイラスト自体の評価は0円ということだ。さすがに失礼な評価である。同様に西宮のアートコアという絨毯専門店で買った20万円、100年前の絨毯とキリムを、これもおたからやなど写真査定してもらったところいずれも5000円だった。売れそうな古い絨毯の買取り価格が全て5000円なのだろう。たぶん1000万円以上する絨毯でも5000円なのだろう。そうして購入したものを専門家に査定してもらい、もし1000万円のものを5000円で購入できたら大儲けという仕組みである。
さらに掛け軸など、それでなくても今の住宅から床の間がなくなっており、需要は少ない。私の持っている掛け軸の買取り価格は500-1000円程度であろう。そんなこともあり、日本の美術館への寄贈も考えたが、有名作家ならいざ知らず、土屋嶺雪、香川芳園、田中蘭谷、山元春汀など明治から昭和の中堅画家の作品など見向きもされない。知人の美術館長に聞いても、まず美術館では引き取ってくれないという。そうしたこともあり、友人がキュレーターで働いているアメリカ、オハイオ州、シンシナティー美術館に連絡すると、喜んで引き取るということで、こちらも自分のコレクションの安住の地が見つかって嬉しい。ここには以前に3本ほど掛け軸を寄贈したことがあり、その時は自分で包装をして近所の郵便局から国際便で送ったが、今度は数も多いので、正式な手続きをして美術品専用輸送業者に依頼することになった。送料は博物館持ちなので、友人が館長を説得し、理事会の承諾を得た。先日、ヤマト運輸の美術品専門のチームが3人来て、2時間ほどかけて梱包した。驚くほど丁寧な梱包で、何千万円の絵であれば、そうだろうとは思うが、安い私のコレクションにはもったいない。さらに100年以上前の作品については重要文化財に該当しないか文化庁の許可を得なくてはいけないので、それに1ヶ月ほどかかり、許可が得られればシンシナティーに運ばれる。向こうで展覧会をしてくれるという。ありがたいことだ。
本当に一部の商品、ロレッククスの腕時計や金製品を除くと、古いものの買取り値段は驚くほど安い。娘に言わせればメルカリなどで売ればというが、面倒でやろうとは思わない。だいたい購入価格の1/10から1/100くらいが買取り価格で、もし売れれば儲けは莫大である。たとえば新刊本の場合は価格の20%、800円の漫画本であれば、本屋の儲けは160円であるが、その本を古書店が100円で買取り、500円で売れば400円の儲けとなり、新刊本2冊以上の儲けとなる。これが古着や家具、さらに絵となると、売れればもっと儲けは多い。
最近、おたからやなど買取り店が多くできているのは、もちろん金製品、ブランド製品の買取りがメインであるが、それ以外のものでも、もし売れれば利益も大きいため、全国的に店が拡大している。よく知らないが、買い取ったものはヤフオクやメルカリ、あるいは東南アジア、タイなどでうまく売り捌けば大きな利益となる。一方、ニトリやイケヤの家具は、おたからや、やセカンドストリートでは買い取ってくれないこともある。特に昔はやった結婚家具5点セットなどの洋ダンスなどは買取してくれないどころか、撤去費がかかる。こうした中古品を査定して買い取る店が非常に多くなったは、お客さんが持ち込んだ商品の写真を撮り、その場で、インターネットで会社の査定担当者に見せて買取価格を決めるからだ。ただこの査定担当者も絵や絨毯については全く素人なのでわからないし、安く買い取っても、それほど高く売っていない場合もあり、探せば中古店にもお宝は眠っているかもしれない。
“物の値段とは何だろう”というのが実感で、結局欲しい人が多いと値段が高いというのに尽きる。ただこの欲しいというのも時代や国によって変わっていく。断捨離は物欲を捨てる行為に他ならないが、逆に物欲は老化を防ぐスパイスのようなものかもしれない。