2014年6月13日金曜日

中国機、自衛隊機の異常接近



 また中国空軍のSu-27が、航空自衛隊のYS11EB電子情報集機と海上自衛隊のP3C画像情報集機に異常接近を行った。30~45メートルまで接近したようだ。5月24日以来の2回目、実質的には3回目になる。

 自衛隊のYS11は、以前地方線でよく運行されていた旅客機のものと同じ機種のターボプロットエンジンの双発機、P3Cは対潜哨戒機で使われる4発機で、共に大型機種である。もちろん武装は全くない。

 前回2回は機種番号から同一パイロットのようだが、今回の2機のSu-27のパイロットは違うようだ。30-45メートルの距離は危険だという報道があるが、空中給油のケースを考えると距離としては必ずしも危険とはいえない。ただしお互いの緊密な連絡下での場面であればという前提がつく。

 2001年、海南島の東南110kmの南シナ海で、アメリカ軍の偵察機、EP-3Eと中国空軍のJ-8IIが接触し、中国機が墜落、アメリカ軍機が海南島飛行場に不時着してパイロットが拘束された事件があった。いわゆる海南島事件である。中国人パイロットは以前より危険な接近活動を行う常習者で、アメリカ軍からマークされていた矢先の事故であった。結局、中国空軍のパイロット、王維はパラシュートで脱出したものの、行方不明となった。

 今回の中国軍機の接触事件も海南島事件と似たケースであり、事故にならないことを願う。大型機と戦闘機が接触するのは、トラックにスポーツカーが接触するようなもので、トラックよりスポーツカーの方の損傷が大きい。P3機のような4発の大型機ではエンジンに故障、あるいは翼の一部の破損があっても何とか、沖縄まで飛行を続けることができたとしても、接触した戦闘機は墜落する。さらにSu-27はロシアから購入した最新の戦闘機で数十億円する貴重なものである。例えるならフェラリーのような高級スポーツカーに相当する。これが日野のトラックに接触して大破、運転手も死亡では、全く割に合わない。

 言われているようなパイロットの勝手な行動であれば、あきらかな軍規、命令違反で即刻、飛行禁止となるはずである。ただこういったことが一度ならず三度のあるということは、度の過ぎた命令が上層部から出ている可能性がある。もしYS-11機、P3C機が戦闘機接近中に急速に進路をふれば、最新戦闘機は撃墜となり、YS-11機、P3C機の側面には撃墜マークをつけてもよい。公海上では旋回が大きい大型機が優先されるため、危険な運動を行った中国機の責任となり、自衛隊機には国際法でも問題はない。無武装に撃墜された最新戦闘機という不名誉な記録となるだけである。さらに接触海域は中国沿岸、沖縄から200kmの地点であり、墜落されたパイロットの救助は世界に誇る救難飛行艇US-2の方が先に到着する可能性もある。海南島事件では中国軍の救難能力のなさを露呈したが、今でも海上での救難能力は自衛隊の方が断然優秀である。

 中国海軍による2013年1月のレーダー照射事件では、火器管制レーダーの周波数を完全に日本側に知られることとなり、その結果、すべての艦船のレーダー周波数を変更しなくてはいけないという大変な出費となった。今回も電子情報機に接近することで、多くの通信情報を暴露することになった。全く軍事的には無意味で、ばかげた行為と言わなくてはいけない。中国政府の大きな問題点は、その官僚制で、トップの日本を脅かせという指示が、次第に末端部で拡大され、ぎりぎりまで接近して威嚇せよとの命令に変わることもあり得る。

 その後、今度は中国から、Tu-154機に自衛隊のF-15が異常接近したという動画を出してきた。ところが北大路機関というブログでは、ミル計算式で計測すると、自衛隊機との距離は323mとなるとのことで、小野寺防衛大臣の言うように異常接近ではないとしている。新聞、雑誌もむやみに騒ぐだけでなく、こういった客観的な結果も載せてほしい。チョンボ情報の可能性がある。このブログには自衛隊機には最高性能の空対空ミサイルAAM-5を搭載しているとしているが、自衛隊も本気である。

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