弘前高校の70年以上続く伝統のねぷた、弘高ねぷたが7月23日から始まる。ねぷた運行当日は、道路の交通規制、路線バスも迂回運行となる。市民にもある程度の負担をかけた行事である。そのため学校サイドでも道路を封鎖してまでやる意義のある行事かという自問が繰り返されている。当然である。さらにいうと、こんなことは弘前高校以外の高校、たとえば弘前中央高校はどうだ、青森高校ではどうだ、あるいは全国でも交通規制を行ってまでやる高校行事はあるのかという疑問も生まれよう。ちなみにGoogleで“高校行事 道路規制”で調べると真っ先に弘高ねぷたが検索され、他はほとんど検索されず、わずかに福島県立原町高校の仮装行列が近所を回ったくらいであった。これほど大掛かり、路線バスの迂回運行までさせる学校行事は全国でも珍しいのではなかろうか。もし他の高校でもねぷたをやりたい、市内を運行したいという申し出があれば、警察、市、あるいはバス会社は同意するかという点である。もちろん公平性の観点からは、同意しなくてはいけない。さらに津軽警備保障のホームページによると、この会社が弘高ねぷたの運行に伴う雑踏警備を行っているようで、2023年では51名の警備員を動員したという。警備費を調べると、平日の夜で一日、19000-23000円が相場という。それほど長い運行時間でないので、これほどはかからないとしても一人1万円としても51万円はいるだろう。さらにねぷた製作費は学校側からの製作費の支給はあるが、これらの費用がどこから出ているか、調べられなかった。18台のねぷたが出陣し、一クラスに3万円ずつ補助するとして54万円、総額で100万円をこえる予算となろう。体育祭、文化祭など学校行事はいろいろあるし、部活費用は、大きな意味では教育費として扱われるし、ねぷたの製作、運行は郷土文化を知る教育としては大変意味深い。小学校、中学校、高校でこうした郷土の伝統行事、文化を知る、体験するのは非常に重要であり、意義深い。問題はなぜ弘前高校だけなのかという点である。全国でも高校の行事で、道路規制、バス運行まで変わるほどの行事がいまだにしているかということである。さらにいうなら、生徒の中、ここは優秀な生徒が揃っているが、それに疑問を感じる生徒はいないのかという点である。一つの公立高校の生徒行事に、公費を使って(全ての経費がOBの寄付あるいは生徒負担で運営されているならごめんなさい)、道路規制をして、バスの迂回運行をさせて、するほどの公共性があるのか、令和6年の学校評価では、“豊かな人間性と社会性の育成”で弘高ねぷたは評価“A”となっている。学校周辺ならいざ知らず、わざわざ弘前市の中心街まで来て、堂々と運行する、ある意味、このエリート意識は、他校の生徒からすれば、鼻持ちならない行動と気づかないのかと、これが豊かな人間性の育成なのか、と兵庫県出身のよそ者は感じてしまう。
弘前市は、弘前高校出身者が力をもつ町である。私が知る限り、一つに高校のOB がこれほど幅を利かせているところは少ない。仙台の仙台一高、二高、郡山の安積高校、熊本市の済済黌高等学校、大津市の膳所高校も昔はそうであったが、今はそうでもない。県内の他の高校、青森高校あるいは五所川原高校、八戸高校を見ても、弘前高校出身というほど、ある種のステイタスは少ないように思える。とにかく弘前に住んで、30年になるが、弘前市における弘前高校の扱いがどうも他とは違うのである。
一番大きな理由は、長い間、男子がいく公立普通学校が弘前高校しなかったことである。弘前南高校が1963年にできるまで、弘前市内の高校は、弘前実業高校、弘前工業高校、私立は東奥義塾高校(男子校)、聖愛高校(女子校)、弘前東高校(高等電波学校)、柴田女子高校しかなかった。昔は、実業高校、工業高校、あるいは私立高校から大学に進学する生徒は少なく、勢い大学進学者が弘前高校に集中する。そのため、弘前市の市長、公務員、先生、新聞社、マスコミ、会社などは弘前高校出身者が多くなる。これが弘前高校のステイタスがいまだに強い理由であろう。
ついでに言うと、個人的に一番、腹が立つのは、弘前大学附属学校の存在である。今や弘前高校の受験予備校化し、弘前高校附属中学校となり、弘前高校に入れさせるために附属幼稚園、小学校、中学校となっている。そもそも欧米では大学の附属学校というものはほとんど存在おらず、まして進学高校の予備校化しているのであればさらに必要性は少ない。私自身は、もし附属学校というものが必要とすれば、医学部と附属病院の関係であり、医者を育てる機関であるとともに開業医が治せない患者の治療を行う高次医療機関である。それなら弘前大学教育学部の附属学校であれば、一般学校で手を焼く、問題のある生徒を積極的に受け入れる機関であるべきである。教授だって、偉そうに不登校児童の論文を書くくらいなら、不登校児童の実際の教育をすべきである。弘前高校を受験しようとする生徒は手間のかからない子供が多く、確かに教育学部の実習生にはいいのかもしれないが、むしろもっと教育がしにくい生徒を見るべきである。今、教育学部で緊急に課題は不登校児の取り扱いである。各地にフリースクールができて一見すると受け皿は増えているが、不登校児の数は増加しており、これは将来的には国の納税者が減ることにつながる。昔、肺結核は恐ろしい病気であった。そして医学部病院を中心に取り組み、肺結核により死亡者はほぼなくなった。ならば、附属学校は不登校時の問題を解決する最前線であるべきで、頭のいい子を弘前高校に入れて喜んでいる場合ではない。これほど少子化が進んでくると、国立の附属幼稚園、小学校、中学校の廃止あるいはコミュニティースクールへの転換も考慮すべきであろう。
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