2011年4月6日水曜日

備えあれば憂いなし



 備えあれば憂えなし。こういった大震災に会うと、日頃の準備のなさが身にしみる。我が家も電気がないだけで、すべての暖房器具がストップし、お陰で2日間だけだが、寒い夜を過ごした。近所の家を見ると、電気を使わない古い石油ストーブがあり、随分活躍したようだ。懐中電灯も電池の液漏れで使えなかったり、携帯電話も中継局のダメージと回線の混雑で、2日間はほとんど役立たなかった。

 自衛隊についても、こういった災害や戦争でも起こらない限り、単なる金食い虫と揶揄される存在だが、一旦非常時になると大きな力となる。今回の震災では、自衛隊の動員数も過去最大で、隊員による捜索、救助、支援などの活動は大きな力となった。設備で言えば、阪神大震災でも活躍したが、ヘリコプターと空母型護衛艦、輸送船の活躍が大きかった。

 日本のような海に囲まれた国では、災害が起こると道路の寸断により物資の運搬が難しくなり、今回の地震のような沿岸部の孤立化は避けられない。こういった局面において唯一の輸送手段がヘリコプターである。ただ運搬量は大型のヘリコプターであっても限られ、航続距離も短い。できるだけ、ヘリコプター基地も災害地近くに持って行き、ピストン運送で物資を届ける必要がある。そういった点では、アメリカ海軍の空母ロナルドレーガンがいち早く、災害地に派遣されたことは、意義が大きい。また海上自衛隊のおおすみ型輸送艦の「おおすみ」、「しもきた」、「くにさき」およびひゅうが型護衛艦「ひゅうが」は、規模は小さいが海上ヘリコプター基地として使えたのは、幸いであった。最新艦の「いせ」は就役直後で実際には投入できなかったが、使われたなら戦力になったであろう。また何とか予算がついた22DDHはより大型で、14機以上のヘリコプターを積めることから、今後の災害の主役となろう。ただ今回の震災にも投入されたアメリカ海軍の強襲揚陸艦エセックスと比べると、使用用途が異なり、こういった災害救援に関する限り、強襲揚陸艦の方がより応用がきくように思える。ヨーロッパ各国でも、有事、平和時の双方の活用の点で、近年強襲揚陸艦が注目されている。すなわち強襲揚陸艦は港の設備のない場所に人員と物資を迅速に供給することに主眼が置かれており、エア・クッション型揚陸艇などを備えており、ヘリコプターとの活用することで、洋上の補給基地として大きな力となる。さらに垂直離陸が可能なV22オスプレイ輸送機なども積むことにより、空中給油による航続距離の増加と迅速性が達成でき、陸からの継続的な補給物質の運搬に使える。

 今回のような大規模な災害は、今後アジア諸国でも必ず起こる。そういった場合こそ、今度は日本としては恩返しが必要で、そのためには4万トン級の大型の強襲揚陸艦が必要だろう。一般的には強襲揚陸艦は20ノット程度の低速であるが、より被災地へ早く到着するためにも、もう少し高速なものがよい。

 おおすみ、くにさきなどの空母型輸送艦は災害時に非常に有用であることはわかった。日本国内の災害であれば、それほど高速性は求められないが、アジア諸国への迅速は救援を考えると、強襲艦とは別に高速輸送船も必要である。ちょうど青森、函館間を運行している東日本フェリーのナッチャンReraが維持費の高騰で運休している。この船は普通自動車で350台、人員は1700名を載せ、36ノットの高速で運行できる。値段は非常に安く、戦闘機一機の半分以下で買えそうである。是非とも海上自衛隊で購入してほしいものである。

 何よりも今回の大震災で得た知識、ノウハウは、かけがえのないものであり、世界各国からの救援に対する感謝として、今後のアジア各国の災害時にその活用が求められる。無駄と言われた政府開発援助(ODA)や災害援助がこんなに世界中から感謝されているとは、わからなかった。とりわけ台湾からの支援には感動した。

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