2024年7月4日木曜日

ロシア軍の本質

 



ロシアの海軍が、日本海や太平洋、あるいは大西洋で盛んに軍事演習を繰り返している。陸軍、空軍の主力がウクライナ戦争に駆り出されて、黒海海軍が全滅したとはいえ、大半の海軍勢力が残っているため、ロシア内部と国外への示唆のためこうしたことをしているのだろう。国境の兵力がごそっとウクライナに動員され、国境防衛はひどい状態なだけに、むしろ開き直って軍事演習をしている。

 

戦前の交戦的な日本であれば、逆に北方領土あたりで陸海空の大掛かりな演習を行い、火事場泥棒ではないが、国境が手薄であれば北方領土に上陸するかもしれない。そうなるとさすがにロシアも国境に兵を戻さざるを得ないので、逆にウクライナ向けの兵力は減る。同じようなスウェーデン、フィンランドでもロシアは盛んに領空侵犯をくりかしているが、これは自分たちが逆の立場ならやりそうなことを恐れてしているだけで、もしスウェーデンやフィンランドに抗戦意欲があれば、逆に謀略を仕掛けて、ロシア本土に攻め込むかもしれない。国境線の長さはロシアが20017km、国境を接する国は14カ国、中国は22147km、国境を接する国は14カ国で、両国がずば抜けて国境線が長い国である。これが両国の大きな欠点であり、他国からの侵略に対する防衛が難しいため、逆に攻め込む政策をとる。

 

ロシアは、ウクライナ戦争ですでに死者は5万人以上、死傷者も50万人以上と言われており、多大な損失を負っている。これだけの犠牲を払って得た代償はわずかな領土の拡張であり、戦争は全く割りに合わない金食い虫である。まだ石油という自然資源があるために、なんとか持っているが、それでも国力の低下は歪めず、さらに軍事大国としての地位も危ない。第二次世界大戦からロシアの武器はそれなりの性能があり、大量に使用することで大きな戦力となった。第二次大戦以降のソ連、ロシアの対外戦争、内戦は、ウイキペディアによれば、朝鮮戦争、ハンガリー動乱、ベトナム戦争、中ソ国境紛争、アフガニスタン内戦、グルジア内戦、アブハジア内戦、オセチア紛争、トランスニストリア戦争、タジキスタン内戦、チェチェン紛争、タゲスタン戦争、シリア内戦、など多くの近隣国との紛争、戦争を起こしているが、朝鮮戦争、ベトナム戦争を除くと、交戦国との武力差が圧倒的に大きいものばかりである。今回のウクライナ戦争のような近代戦をした歴史はなく、最新の西側の武器に比べてロシアの武器がかなり劣っていることが証明された。湾岸戦争、イラク戦争では、旧式の武器が近代的な武器に圧倒的に劣ることが証明されたが、今回のウクライナ戦争では、西側の武器に比べてソ連、ロシアの武器の性能が劣ることがわかってしまった。湾岸、イラク戦争では、中国軍は危機感が高まり、軍及び武器の近代化をものすごい速さで進めてきたが、今度は陸海軍の主力武器、多くはソ連、ロシア製といっても良いが、この性能不足が露呈され、どうするか困っていると思われる。建国以来、ソ連、ロシアの武器援助、そしてコピーでやっていた国だけに、今更、正式に西側の武器を作ることもできず、結局はハッキングなどで軍事機密を得ようと躍起になっている。おそらく西側も中国の軍事技術のハッキングを見越して、重要な欠陥あるいはウイルスを忍びこませていることであろう。情報を不正な手段で取ろうとする輩は、逆に悪質な情報を入れる危険も大きい。例えば、戦闘機のステルス技術を盗まれるのを見越して、そこに決定的な崩壊プログラムを隠し入れることも可能で、そうなると、この技術を応用して戦闘機を一瞬で止めることも可能になるかもしれない。今後、中国はロシアの技術を入れることはほぼなく、自力で開発するか、西側の技術をパクるしかするしかない。

 

「日ソ戦争 帝国日本最後の戦い」(麻田雅文、中公新書)はこれまで断片的に伝えられていて、終戦間近のソ連軍の突然の侵略を総括的にまとめたもので、面白かった。ソ連のしたたかさ、残忍性、狡猾性は、現在のロシアにも引くきつがれ、ウクライナ侵攻と同じ精神的な構図となっている。ソ連は、もちろんヨーロッパでは、イギリス、アメリカと一緒になって戦ってきたが、日本との関係はほとんどなく、1945年までアメリカからの参戦要求も全く無視し、ひたすらアメリカからの軍事品供給を願った。ところが、ほぼ日本が降伏すると決まった時点で、参戦し、ボツダム宣言受け入れ後も、戦争、それもただ領土の拡大のみを狙った戦いを続け、樺太、千島、満州に侵入した。そして自分たちも戦勝国の一員として、北海道をよこせと注文している。アメリカにすれば、1941年以来、日本と戦争していたアメリカからすれば、終戦一週間前に火事場泥棒のように領土を掠め取ったロシアにそうした権利はないとはねのけた。

 

最初に述べたように、こうしたソ連、ロシアの思考からすれば、日本がウクライナ戦争のロシアの苦戦を好機ととらえ、千島列島に侵略してもおかしくはない。ソ連からロシアに変わっても、基本的な思考はほとんど変わらず、あれだけ大義のない戦争(ウクライナ戦争)であっても、国民が指導者を支持するのもまた民主主義国と言われても、ソ連、ロシアのツアーリズムをこの国の基本と捉えても間違いでなかろう。

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