暑くて、日中外の出る気もおこらない。私がこちらにきた1994年頃、30年前はまだ弘前の夏も大したことはなく、盛夏でも31、2度で、朝夕は比較的涼しく、エアコンをつける日は夏季で7日くらいであった。弘前ネプタの終わるお盆過ぎになると窓を開けて眠れないほど涼しかった。当時は、エアコンのない家、車も結構あったが、今は各部屋にエアコンがある。温暖化の影響は間違いなくありそうである。
連日の暑さで、避暑のイメージの強い北海道でも40度を超えるところがニュースで報道され、エアコン普及率の低かった北海道でも近年はかなりエアコンを設置する家も増えたようだ。こちら青森県もそうだが、日本列島が沖縄のような夏冬の2シーズンしかない気候になってきており、弘前の場合でいうと12月から4月までは冬、春が4、5月の2ヶ月、そして夏が6月から9月、秋が10、11月の2ヶ月で、冬が4ヶ月、夏が4ヶ月となる。
日本でもこんな暑さなのに、もっと暑い国だとエアコンなしでは生きていけないと思ったが、実際、世界のエアコン普及率を調べると、アメリカは90%以上と非常に高く、日本、韓国、台湾も同様に90%を超える。ところが東南アジアのタイやベトナムで30-50%、フィリッピンでは25%くらい、あの暑いインドはエアコン普及率が7%しかないという。貧困層が多いため、エアコンが購入できないためかもしれないが、欧米のエアコン普及率を調べると、イタリアは普及率が50%と高いものの、スペインでは30%、フランスでは25%、ドイツでは何と普及率は3%、イギリスも同様に5%未満とされている。私たちが考える以上のヨーロッパのエアコン普及率は低い。さらに世界でも最も暑いところ、アフリカのエアコン普及率は、エジブトは比較的高く35%程度だが、全体では3%前後とされている。世界のエアコン普及率をみると、日本を始め東アジアとアメリカ、オーストラリアなどで普及率が高いが、世界全体でみると、想像するよりは低い印象を受ける。日本以上の暑い、インドやアフリカの普及率の低さをみると、ある意味、エアコンは最高のぜいたくなのかもしれない。
私の家でエアコンを入れたのは、昭和40年ころで、診療所にアメリカGEのクーラーを入れた。これはすごく強力で、つけ始めると、寒暖差で風がでるところが白くなるほどであった。喫茶店などの外ガラスに「クーラーあります」の紙が貼っていた時代で、店や病院などでようやくクーラーが普及し始めた頃で、自宅にクーラーが入ったのはさらに遅く昭和45年くらいであった。もちろん今のように各部屋にあるわけでなく、リビングに一台あるきりであった。そのため受験期になるとクーラーの効いている図書館や公民館で勉強した。
人類の歴史をみていくと、寒さに対する戦いが主であり、暑さに対するものはなかった。寒さに対しては、服をきて、毛皮を着て、火を起こし、抱き合って寝た。ところが暑さに対してはせいぜい水浴びをするくらいで、風通しのよい、日が当たらない場所にいれば何とか我慢できたし、水さえあれば死ぬこともなかった。暑さで死ぬのは、作物がとれず、水がない場合だけで、何万年の間、人類は暑さを我慢してきた。アメリカでようやく家庭でエアコンが使われるようになったのは1950年ころからで、いまでは一箇所に冷蔵、暖房装置を設置して、冷風、温風をダクトで各部屋の運ぶセントラル空調が主流となっているが、日本では壁にかけるウィンドー型が主力である。ただ中国はじめ世界的には日本式のダクトレス式に人気があり、世界シェアでいうとダイキンは一位、三菱電機が5位と検討している。エアコンは耐久性と省エネが重要であり、今後、世界の気候が熱くなると、性能のよい日本製エアコンは世界中でますます売れるだろう。s
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