ペンダントとは上から吊るす照明全体を指す言葉だ。照明の分野では壁にかける照明をブラケット、机に乗せる照明をスタンド、さらにテーブルに置くテーブルスタンドと、地面に置くフロアスタンドに分かれる。天井照明は、ダウンライトとシーリングライトに分かれ、天井に埋め込んだ照明をダウンライト、外に出たものをシーリングライトと呼ばれる。
日本の照明は、長い間、シーリングライトが中心で、居間、和室に丸い蛍光灯が入った四角のシーリングライト、紐を引っ張って付けたり、消したりする照明が、蛍光灯として一般的であった。その前は、電球のソケットの横にスイッチがあり、それを回して消したり、付けたりした。私の尼崎の実家は天井に直接つけられたシーリングライトが基本であったが、その後、仙台、鹿児島のアパート、弘前の家内の実家、ずべてが紐で引っ張る式にシーリングライトであった。この時代は長く続いた。
欧米の住宅を見ると、部屋そのものを明るくする照明よりはスポットライトが基本であるが、明るい夜を何よりも求める日本人には長い間受け入れなかった。私の家でも、ダイニングのテーブルにはデンマーク製の2つのペンダントを吊るしているが、それまではそうしたことはしなかった。天井に照明があり、ダイニングの上にある食器や料理にスポットライトを当てるものではない。
今回、引越しのために早めにダイニングの2つのペンダントを片付けたが、これがなくなると途端に暗くなり、ダイニングにおけるペンダントの重要性を再認識した。もちろんペンダントがなくてもダイニングには天井のダウンライト、壁にはブラケットが4つあるが、それでもかなり暗く感じる。通常はブラケットをつけることはなく、ダウンライトとペンダント、場合によってはペンダントだけで十分に明るい。どうもペンダントがないと、食事が美味しくないのである。
食器、料理に直接光が当たることで、食器、料理の色がはえ、美味しく感じるし、テーブルで本を読んだり、書き物をしたり、あるいは家内はミシンで裁縫するのも明るくて便利である。一見、スポットライト照明は暗いイメージがあるが、むしろ部屋に陰影ができてくつろげるし、特にダイニングにおいて、ペンダントは料理を美味しくして、食事を楽しめる。ただダイニングにペンダントを入れるためには、電源コードをダイニングテーブルの上に置かなければいけないので、マンションや中古住宅、あるいは新築でも前もって電源の位置を決めなくてはいけない。インテリアの配置はけっこう悩む問題であり、ソファ、ダイニングテーブルをどこに置くか、また位置決めも数センチ単位で考える。基本的にはペンダントはダイニングテーブルの真ん中に置くため、テーブルの大きさも関係するし、ニ灯のペンダントを置く場合は電源は2つとなる。それゆえ、インテリアの位置が全て決まった時点で、電源の数、位置が決まり、ペンダントの取り付けとなる。おそらくこうした工事は電気屋の仕事になり、工事代などがかかるし、面倒である。何より安いダイニングテーブルやペンダントでは、こうした工事するほどの価値はないかもしれない。逆に言えば、美味しい料理を楽しむためには、ダイニングテーブル、ペンダント、チェアーはいいものを選びたい。家具というのは面白いもので、1000円のカラーボックスだって数十年は持つ。ダイニングテーブルやチェアーだってセカンドストリートなどの中古販売店にいけば、2万円くらいで全て揃えることができるし、おそらく一生持つだろう。
ただ逆に考えると、例えば、カールハンセン社のダイニングテーブルやチェアーで揃えると100万円くらいかかる。さすがにこれくらいになるとペンダントや取り付け工事代も気にならない。もちろんこうした家具はいい木材と技術を使っているので、百年はゆうに持つし、例えばY-チェアーなどは70年前のものでも未だに高額で取引されており、子供や友人にあげると喜ばれ、活用できる。これは考え方であるが、100万円のものでも数十年使うなら、毎年2万円くらいとなり、50年後も程度がよければ、そこそこの価格で売れる。
これから家を持つ人は、まずダイニングテーブルとペンダントのいいものを揃えたい。これだけで日々の食事が楽しく美味しくなるので効果は高い。椅子に関しては、ゆっくりと調達していけばいい。娘がマンションを購入した。昔は婚礼家具は親が準備したので、今回はダイニングのチェアーをプレゼントすることにした。カールハンセンのCH24(Yチェアー)のチーク材の椅子が二脚、ノルウエイのScandiaという美しいカーブを持つ二脚を用意した。テーブルとペンダントは自分で好きなものを買ったもらう。気に入ってもらえばよいが。
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