2025年10月3日金曜日

マウスピース矯正の陰り



アラインテクノロジー社(インビザライン)の一部特許がなくなったため、45年前から同じようなマウスピースタイプの矯正治療装置を扱う会社が一気に増えた。中にはヤマト運輸のような他分野の会社も参入するほど、乱立した状況である。

 

その後、こうした会社がどうなったか調べようと考えたが、Googleで検索してもはっきりしない。それゆえ、若者に人気のあるインスタグラムでの反応を見てみた。2022.5.19日のブログでは14社を紹介したが、それぞれについてインスタの最新の投稿日とフォロワー数を以下に示す。

 

Glory Smile: 最新投稿2025.4.27. フォロワー数 2544

We Smile: 最新投稿 2025.2.7.   フォロワー数 592

ローコスト: 最新投稿 2024.8.29. フォロワー数 1554

Be-Setlign: 最新投稿 2025.3.14.  フォロワー数 547

クリアアライナー: なし

Hanaravi: 最新投稿 2023.7.27. フォロワー数 439

Oh my teeth; 最新投稿 2025,9.2 フォロワー数 1.5万人

キレイライン: 最新投稿 2024.4.10 フォロワー数 5584

Depaerl:   なし

Hanalove: なし

SmileTYU: なし

アソアライナー:最新投稿 2020. 10 フォロワー数 6

インビザライン:最新投稿 1日前 フォロワー数 7281

SureSmile:   最新投稿 2日前 フォロワー数 6577

 

これを見ると、現時点でまだ活動している会社はインビザラインとSure Smile、あるいはOh my teethくらいしかない。活発に営業をしている会社なら、SNSに最近の投稿はあろう。

 

それではその母体となる会社の経営を見ると

 

アラインテクノロジー社(インビザライン)  最新の株価は126.192021.8709のほぼ1/6になっており、2025年の7月決算では、インビザラインの販売数が予想を下回ったことから株価が下落した。同社は従業員の削減などのコストカットで対応すると言っているが、少なくとも業績の急激な上昇は望めない。

デンツプライシロナ(Sure Smile);ここの株価はアラインテクノロジー社よりさらにひどい。最新の株価は12.5、これは2021.4681/6となっている。特にここ2年間で42から12.5まで下がっている。一つの要因として、サンキンなどの矯正機材分野を全て切り捨て、Sure Smileに重点を置いた経営方針の影響もあろう。完全な失敗であろう。

Oh my teeth : 100億円の売り上げをめざすスタートアップ企業としてマスコミにも多く取り上げられた会社である。同様のサービスを行なっていたアメリカのスマイルダイレクトクラブが2023,11に倒産しており、キレイラインを主として提供していた東京歯科プラスも倒産して多くの患者に迷惑をかけた。メーカーのいうような急激な発展は厳しいかも。

 

つい最近のヤフーニュースによれば、ニューヨークタイムズの記事で、アメリカではティーンエージャーを中心にメタルブラケットによる矯正治療が流行っていると伝えている。さらにアライナー矯正については2022年から2024年にかけて25%から23%に減っていると伝えている。もちろんこの傾向は成人矯正とは違うと思うが、ようやくアライナー矯正、マウスピース矯正の結果が広まってきて、宣伝するほどきれいに直らないとわかってきた結果であろう。アラインテクノロジー社(インビザライン)の予測では、マウスピース矯正の未来は明るく、いずれ矯正治療のほとんどがこの治療法になるとしている。ただ現実的には矯正治療をメインにしている矯正歯科専門医では全患者のうちマウスピース矯正の割合は10%程度であり、その症例もワイヤー矯正を併用するとしている。歯を動かすという点ではマウスピース矯正は非効率的で、今のところ適用は限られているし、ワイヤー矯正を上回ることはない。一部の優れた先生はマウスピース矯正でかなりのレベルの治療を行なっているが、それでもワイヤー矯正を上回ることはない。アナリストが分析するほど倍々でマウスピース矯正が伸びなかったことで株価の低迷を招いている。完全にアナリストの分析失敗である。ワイヤー矯正は、すでに百年以上経つ古めかしい治療法であり、もっと早く、確実に、痛みがなく、見た目も良い治療法が望まれるが、マウスピース矯正はそうした治療法ではない。矯正治療学の近年の発展、インダイレクトボンディング、超合金ワイヤー、歯科用アンカースクリュー、セルフライゲーションブラケット、リンガルブラケットなど、出現して十年くらいで一気に広がり、その後の進歩は少ない。インダイレクトボンディングにより、それまでの帯冠を介した接着から直接、歯にブラケットを付けられるようになったが、製品そのものはここ40年以上進歩していない。他の治療法もそうで、マウスピース矯正も、アタッチメントの発明と三次元プリントでの製作でほぼ進歩は終了であろう。個人的にはこれ以上の普及は難しいと思う。


 

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