2017年1月8日日曜日

ゲームチェンジャー レールガン



 以前のブログ(2016.11.25)にも書きましたが、“ゲームチェンジャー”と呼ばれる、戦争の様相を決定的に変える武器がいくつかあります。その一つはステルス戦闘機で、とくにアメリカ空軍のF22ラプターは、あまりの性能の高さにほぼ無敵の状態です。キラーレシオという評価があり、ラプター以外(F35は除く)の戦闘機と100回対戦して1機しか撃墜されないレベルで、それほど高性能は現実的には必要ないということで、現在では生産中止になっています。軍というものは最高性能を求めるものですが、高い価格もあり、195機生産された2012年から生産中止となっています。

 さらにすごい兵器は、現在開発中のレールガンと呼ばれるもので、電流による磁場を利用して弾丸をマッハ67くらいまで加速させるもので、200km先の目標は破壊するものです。大量の電力を消費するのが難点ですが、1分間に10発以上発射でき、砲弾のコストが1発255万円と非常に安いのが大きな利点です。ミサイルのコストが1発、1億円、大陸間弾道弾(ICBM)70億円とすると、その1/501/300で済むことができる勘定になります。日本でも実施されているミサイル防衛網と組み合わせると、ほぼ100%、ミサイル、飛行機を打ち落とせることになります。

 例えば、中国の基本的な軍事作戦は、先制、飽和攻撃で、大量のミサイルを打ち込み、敵のレーダーサイト、基地を叩くというものですが、これがレールガンで撃ち落とされてしまうと、全く攻撃できないことになります。同様に北朝鮮がいくら核ミサイルを作ろうが、それより安いコストで撃墜できるなら、通常兵器の充実より安いコストで軍事的な優位を作ろうとする北朝鮮の政策そのものが無意味となくなります。

 他には “指向性エネルギー兵器”と呼ばれるものがあります。指向性のエネルギーをミサイルに直接照射して破壊するもので、固形レーザーを利用したものと、高出力マイクロ波が利用したものが開発しています。この場合、さらに1発あたりのコストは下がり、1000円くらいとなります。こうなると高価なミサイルを発射する意味が完全になくなります。現在、アメリカ国防省は、近距離ミサイル防衛をマイクロ波で、遠距離はレーザーとレールガンでという構想を持っており、開発を急いでおり、10年後には実用化できるとしています。ミサイルが使われない戦争となると、もはや戦争そのものの概念が変わり、サイバー攻撃かテロしか残らないことになります。戦争の概念を大きく変える“ゲームチェンジャー”と呼ばれる兵器となります。

 レールガンの最大の欠点は、発射には莫大の量の電力を必要とすることです。イージス艦の全発電量の1/4に相当する量、25メガワット(2万五千キルワット)が必要で、駆逐艦のような艦船に積むには、まだまだ技術的な進歩が必要です。現在、開発されているズムウォルト級の艦船に将来、搭載されるとも言われていますが、日本では地上基地、とりわけ横田基地、佐世保基地、普天間基地など在日米軍基地の防御用としては何とか解決できるかもしれません。平成29年からは、日本でも開発が始まるようですが、もともとリニアモーターの技術があるので、こうした防御用の兵器に関しては、大きな予算を組んで本格的な開発に着手してほしいところです

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