2016年11月30日水曜日

インスタントフィルム(チェキ写真)の飾り方


インスタントフィルム写真を壁に

少し浮かして

厚手のボール紙を両面テープで固定




 ライカ、ゾフォートを買ってから、白黒写真に目覚めました。私の世代はおそらく白黒写真の最後の世代で、子供のころの写真はほとんど白黒写真でした。小学校六年生くらいからの写真はカラーでしたが、それまでの写真はすべて白黒写真でした。一時、白黒写真に色を付ける絵具のようなものが出て、そうした写真も一部あります。

 カラー写真と言えば、日本では富士フィルム、それ以外はアメリカからの輸入品のコダックで、フィルム自体も高かったし、現像、プリント代も高く、一枚、一枚、真剣に撮影しました。写真屋に撮影済みのフィルムを出し、プリントがあがるまでが時間が待ち遠しいものでした。私の場合は、大学生になると、発色がよいので、ポジフィルムを使うようになり、コダックでもエクタクロームとコダクロームを撮影対象による使い分けなどをしており、プリントする場合は、それをダイレクトプリントしました。案外、ポジフルムの寿命は長く、家にある40年前のフィルムを見てもあまり変色していません。

 最近のようにデジタルカメラ一辺倒になると、もっぱら撮影したデーターはコンピューターに放り込み、ほとんどプリントもしなくなりました。そうした折、インスタントフィルムで久々にプリントされた、それも白黒写真は実に新鮮なものでした。

 今回、ライカ、ゾフォトーの販売に合わせてフジフィルムではモノクロのインスタントフィルムを販売しました。これがなかなか味のあるもので、何とか部屋にうまく飾れないかと考えました。ふと気づいたのは、現代絵画のリトグラフなど版画の展示法で、作品を少し浮かせて展示する方法です。早速、厚手のボール紙があったので、チェキサイズの写真より、ボール紙を少し小さく切りとります。台紙は何でもいいのですが、より立体感を出すために、今回は、アップルコンピューターの附属器材の入っていた横長の白い箱を利用しました。両面テープで写真と厚手ボール紙をくっつけ、さらにアップルの箱にくっつけるだけです。ものの10分で誰でも完成です。材料費はほとんどタダです。

 できたものは非常に軽いので、壁に持ち手の長い押しピンを一本さし、箱をそこに引っ掛けるだけです。今回は3枚の写真を並べましたが、小さな箱を3つ並べてもいいでしょうし、大きな箱に一杯貼ってもいいでしょう。その場合は押しピンが2本いるでしょう。箱の側面に赤、青、黄色のテープを貼れば、よりカラフルで白の壁にはアクセントになっていいかもしれません。これを応用してチェキサイズでないプリントを同様にして飾ってもいいかもしれません。

 どうでしょう。部屋のちょっとしたアクセントかわりのインテリアになりませんか。海外の家では、写真を部屋に貼るのが一般的です。簡単で費用のかからないこうした方法も、インテリアとして楽しんでほしいものです。

写真下は、夕暮れの旧青森銀行です(by シグマSD quattro、30mm)











2016年11月27日日曜日

ライカ ゾフォート



下2枚は失敗だが、これはこれで面白い


 ライカがインスタントカメラを出すというので早速、購入した。10年程前から矯正治療を終了した患者さんの笑顔の写真をインスタントカメラ(フジワイド版)で撮影して待合室の壁に貼っているが、そろそろ新しいものを買おうと思っていたからだ。

 ライカというと私たちの世代にとっては憧れのメーカーで、カメラファンなら一度は持ってみたいカメラであるが、いかんせん高価で高嶺の花であった。またフィルムカメラ時代であれば、一生ものとして、それなりの価値があったが、今のようにデジタル全盛の時代になると、数年で性能が陳腐化して、せっかく奮発してライカのカメラを買っても数年で、安いカメラに負けるのも癪に障る。

 今回出たライカのインスタントカメラはゾフォートという名で、ライカの製品としては最も安い。値段は32800円。発売されたばかりなので、あまり扱っているところは少なく、LOFTから購入した。注文して3日後に到着したが、さすがにおしゃれな箱に入っていて、期待が高まる。

 フィルムはフジフィルムのチャキのものを使用しているが、今回は試しにライカ、ゾフォート用のフィルムを購入した。モノクロとカラーを購入。モノクロは10枚で1500円、カラーは20枚で2200円。一枚当たりモノクロが150円、カラーは110円で、デジカメに慣れたものとしては、ずいぶん高い。早速、フィルムを装填して、試写してみた。

 チャキは縦写真を基本にしているが、ゾフィーは横写真が基本となる。ところがシャッターボタンの位置が、普通のカメラの電源ボタンに類似しているため、早速、2枚失敗した。電源をオフにしょうと、シャッターを切ってしまった。300円の出費である。トホホである。

 画像はというと、ごく普通のインスタントカメラの像であり、やや期待はずれである。その後、インターネットで検索すると、ゾフィーのレンズはHektor 60mmF12.7というものであったが、実はこれ、フジフィルムのinstax mini 90、ネオクラッシクのフジノンレンズと同じであり、他の性能も両者は全く同じである。つまりゾフォートはフジフィルム、ネオクラシックのOEMと見て間違いない。中身はネオクラシックで外観のみ変えただけである。ネオクラシックが実売価格で15000円くらいなので、ライカのマーク代で倍以上になったことになる。ライカCタイプも中身はパナソニック製であったし、古くはライツミノルタCLという機種もあり、安い機種については昔からライカはOEMで済ましてきたのだろう。

 それでもフジのネオクラシックに比べると、デザインはよく、これはネオクラッシクで撮っても同じだろうが、モノクロ写真は味があって、明治時代の写真のようである。カラーに比べて完全なモノクロになるまでは思った以上に時間がかかる。デジタルのようにバシャバシャ撮ることはできないだろうが、写真日記や、ハガキに直接貼付けて旅先などから送るのもいいかもしれない。また自分のお気に入り写真を専用アルバムに貼ったり、ポストカードに入れて飾るのも楽しそうである。デジタルカメラが記録用、あるいは趣味用になったのに対して、インスタントカメラはその場の心象風景を切取り、俳句や短歌などをかき込んで、自分の本にするのもいいだろう。折角のおしゃれ気分に浸りたいなら、ライカというブランドは価値があるかもしれない。
 
  フィルムは高いので、まだ6枚しか撮っていないが、今後はチャキ用のフィルムに替えて撮っていく。さすがにフィルム箱にまでライカのマークはいらない。カラーで一枚、60円、モノクロで90円くらいになる。これまで中高生の患者さんに、感想を書いてもらい壁に貼っていたが、これからは成人患者にも治療終了後に撮影して記念に渡そうと思う。

2016年11月25日金曜日

ズムウェルト級駆逐艦とモニター装甲艦




 自分でも驚くのは、乱読という癖であろう。本好きな人は多いが、私の場合は“君の名は”から“虚空の守護神 ゴールキーパー進化論”まで、すべてのジャンルに興味がある。本棚を見れば、精神的におかしいと思われるほど種々雑多な本で埋め尽くされている。

 例えば、最近買った“軍艦と装甲 主力艦の戦いに見る装甲の本質”(新見志郎著、光人社NF文庫、2016)は、木製汽船に鉄板を貼った黎明期の装甲艦から大和までの、攻撃と防御、矛と盾のうち、軍艦の防御、盾の歴史を語ったもので、面白かった。

 南北戦争当時、弾丸は丸いもので、木製の外板に10cmほどの鉄装甲を付けるだけで、ほぼすべての攻撃が防御できた。弾が当たっても外板がガーンと響くだけで、内部はほとんどダメージがなく、戦闘艦同士の海戦でもおたがい100発近くの弾丸を浴びても勝敗はつかない。その後、砲弾の進歩により矛の部分の威力は増したものの、装甲の発達に伴い、大口径の砲に対しては、より装甲を強固にすることで対処してきた。その最終計が戦艦大和であったが、この時代になると航空戦力の発達によりもはや装甲が役に立たなくなり、戦艦の終焉を迎えた。

 現在の戦闘艦といえば、装甲はぺらぺらでほとんど防護機能をもっておらず、対艦ミサイルに対して、それを撃ち落とす防御用ミサイルで対抗し、船体そのものの防御能力はない。アメリカ海軍の最新鋭戦闘艦に“ズムウォルト級”が完成したが、まるで潜水艦のような奇妙な形をしており、「軍艦と装甲」に載っているモニター級装甲艦(1862年)とそっくりである。南北戦争での湾岸部、河川で使われた戦闘艦で、吃水は低く、とても外洋では運行できないような形である。最新のズムウォルト級は先祖帰りしたような形態であり、表面の特殊な処理をしており、形状とともに高いステルス性をもっている。

 「軍艦と装甲」の著者のあとがきでは、装甲艦時代においてもバラストで海水を入れ、吃水を下げて攻撃面積を減らそうとするものがあったようで、ズムウォルト級も潜航できれば、飽和的に来るミサイルに対して、デコイを撒けば、ほぼ攻撃はかわせるとしている。確かにステルス形態とともに、煙突のごく一部を海面上に残すくらいの浅い潜航でも十分にミサイル攻撃はかわせるし、さらにこの艦は将来、レールガンが搭載されるといわれている。レールガンとはリニアモーターの原理を応用して、音速の数倍の弾丸を200km以上の範囲で打ち出すという革命的な技術で、1分間に10発以上の弾丸を発射でき、1発当たりの単価もミサイルの数十分の一となる。今騒がれている、中国軍による飽和的ミサイル攻撃もこれによって対処できるし、さらに北朝鮮による核ミサイル攻撃に対しても、撃墜できる確率は飛躍的に高まる。

 こうして見ると、レールガンを搭載したズムウォルト級は、かっての装甲艦と同じような、矛に勝つ盾の時代を到来となるかもしれない。レールガンを日本全土に配置し、周りの海にレールガンを搭載したステルス性の高い戦闘艦、原子力潜水艦、B35などのステルス戦闘機を配備すれば、ICBMなどによる核攻撃や外的に対する高い防御性を持つ。

 ペリー来航、たった四隻の軍艦により江戸幕府が屈服したのは、来航前の情報で、江戸湾防御の三十三ポンド以上の砲が全部で三十二門、それ対してペリー艦隊の砲は六十三門、移動砲台になる軍艦に対して江戸最大の砲台である千代ヶ崎砲台でも三十三ポンド以上の砲が五門しかなくなかったことによる。こうした圧倒的な軍事力の前にペリー来航の前に幕府は開国を決意した(“日本開国 アメリカがペリー艦隊を派遣した本当の理由”渡辺惣樹著)。この砲はペクサン砲と言われ、ペリー艦隊は10インチのものを装備した。逆に幕府がより口径の大きいペクサン胞を砲台に多数設置しておれば、その情報はアメリカ政府にも伝わり、ペリー来航もなかったろう。

 軍備とは、戦争だけでなく、こうした外交面での政策にも関わり、アメリカ国防省はレールガンを戦争の様相を決定的に変える“ゲームチェンジャー”とするのは位置づけており、日本政府でも開発を始めたのは正しい。近代戦は膨大な費用を要し、兵器の価格高騰は、戦争の趨勢を決める。砲弾<ミサイルの価格差は、そのままレールガン砲弾<核弾頭ミサイル<ミサイル防衛システムに繋がり、今後の核保有を根底から覆す可能性を持つ。

2016年11月24日木曜日

床矯正治療 2







 床矯正治療については、このブログでも何度も取り上げていますが、未だに床矯正についての質問が多いようです。床矯正といっても、顎発育に対する機能的矯正装置を含めたものは含めず、ここでは歯列の拡大を主体としたものに限定します。

 私のところでも、(拡大)床矯正は軽度の叢生(でこぼこ)については、使っており、必ずしも否定する立場ではありません。ただこの治療法だけ(他の装置を使わないで)で治療できると考えるのは全く間違っており、逆にこの治療法のみで治る症例はきわめて限定されていると思います。理由として

1.      不正咬合をもっとも多く、扱っている矯正歯科医、これは日本だけでなく、世界中の矯正歯科医が(拡大)床矯正治療をメインの治療法とは考えていない。
2.      日本の矯正歯科医では、すべての症例の60-70%は抜歯して治療しており、非抜歯治療を前提として(拡大)床矯正治療では60-70%が適用でない。
3.      (拡大)床矯正治療法は1930年代のもので、ここ80年、この治療法が不正咬合の最適な治療法であるなら、世界中に普及しているはずである。実際は欧米、アジアも含めあまり使われていない。
4.      日本矯正歯科学会でも、(拡大)床矯正についての研究報告はほとんどなく、これはアメリカ、ヨーロッパの専門誌でも同様で、もはや研究の対象にもなっていない。

 (拡大)床矯正治療は、私が小児歯科にいた1980年にはすでにすたれていて、当時は齲蝕が多く、早期の乳歯喪失にともなう保隙が主体でした。そして1990年ころから咬合誘導、咬合育成の名のもとに日本歯科大学の荻原和彦先生、鈴木説矢先生が(拡大)床矯正を提唱され、あっという間に一般開業医に普及しました。一般開業医では、子供の前歯のでこぼこを気にして来院されることが多いため、とりあえず横に広げて並べようと(拡大)床矯正を使用するようになりました。先生からすれば、患児の口の型を取るだけで、床矯正装置自体は技工所で作ってももらえばよいため、技工代に上乗せした料金で矯正治療を始めました。早く治療すれば簡単に治るという考えは患者の親にとっては納得できるものでしたし、健康な歯を抜かなくても良い、通常の矯正治療に比べると安いため、飛びつきました。

 (拡大)床矯正の多くの失敗は、取り外しのできる装置のため、患児が使わなくなり、来院しなくなった場合です。数年単位で装置を使用するために、脱落も多くなります。こうした患者では装置のせいではなく、自分が使わなかったから治らなかったと考えます。一方、真面目に数年、通った場合でも、口元がでている、でこぼこが気になると言うと、それを治したければ、抜歯が必要、マルチブラケット装置必要、さらに追加の費用が必要ということになります。

 世界中の矯正歯科医のメインの治療手段は、マルチブラケット装置による治療であることは異論なく、当然、専門医試験でもこの治療法の技能が問われます。少なくとも数年の専門教育が必要ですし、これができない矯正医は世界中に一人もいません。話は元に戻りますが、(拡大)床矯正治療をする先生は、マルチブラケット治療の経験が少ない先生が多いようです。幸いにも(拡大)床矯正治療だけでうまく行った場合は、治療費も安く、ラッキーですが、そうでなく矯正歯科医に転医した場合は費用の軽減は一切なく、(拡大)床矯正にかかった費用はむだになります。床矯正をしている先生に聞くと、矯正歯科とは目標が違い、完璧なかみ合わせを目指すのではなく、今よりある程度よくなればよいと言います。矯正治療を受ける子供たちの親御さんの中には、抜歯するのはいやだ、費用をかけたくない、マルチブラケット装置を入れたくないという方もいます。そうした方には、(拡大)床矯正治療は一つの方法かもしれません。


 医療は、人体を扱う限り、必ずしもすべて成功するとは限りませんし、すべての処置にはメリットとデメリットが存在します。床矯正治療では、メリット面のみが取り上げられますが、十分にデメリットを加味して検討してもらいたいところです。一方、床矯正をされる先生方も、治療結果に細かい患者には十分にデメリットを説明しておかないと、あとあと大きな問題になる可能性もあるため、十分に注意してほしいところです。