AIは、基本的には大量の情報を集め、それを解析して、質問に対する回答をするものである。AIは、ネットに掲載されている、それも主として英語の論文、ニュース、などから情報を集めてきたが、近年、さらに本をスキャンしてその情報を積極的に吸収し活用しようとしている。さらに図書館の電子情報、つまりすでにデジタル化した本を一部活用している。今後、著作権の問題と著作料が絡んでくるとされ、本の情報をAIが使う場合、著書、デジタル化した企業に一定の著作料を払うという仕組みが議論されている。さらに近年、翻訳技術が格段に進み、英語以外の情報も積極的にAIに活用されるようになっており。アメリカ人が英語でAIに質問しても、日本語で書かれた情報から回答するということが普通に行われている。
こうしたAI、さらにいうとGoogleやOpen AIなどの大企業が、狙っている標的の一つに、日本の国会図書館がある。国会図書館では昭和23年以来、日本で発行されたすべての本、雑誌を献本する制度となっている。そのため、ここ80年近い、日本のすべての本、雑誌情報がここにある。さらに近年、デジタル化への取り組みに積極的で、現在、520万点の雑誌、本がデジタル化されている。ただまだデジタル化されていない資料は4000万点以上ある。これらデジタル化された資料については国会図書館デジタルアーカイブから誰でも見られる。
日本の出版界における特徴的な点としては、本以外にも多くの雑誌がある点で、数が多いだけでなく、ジャンルも広く、さらに歴史も長い。例えば、私に好きな飛行機関係でも航空ファン、航空情報、など10種類くらいあるし、航空ファンの創刊は1952年で74年の歴史がある。さらに世界の傑作機シリーズなどの別冊もある。この本だけでも日本の航空史の全てが網羅されている。他にも金魚だけ、芝犬だけの雑誌から盆栽、将棋、碁、からステレオ、音楽、ファッションなど月刊誌だけで2000以上あると言われている。さらに100年以上ある雑誌も多く、中央公論、文藝春秋などの文芸誌だけでなく、将棋では将棋世界が90年、囲碁では棋道(碁ワールド)が102年、生花では池坊の機関紙「華道」は134年、お茶では裏千家の機関紙、今月庵月報は118年、一般誌の「淡交」も80年近くになる。
こういう風に日本の雑誌は、非常に幅広く、歴史も長い。これはいわゆるオタクが多い国であることを物語っており、それがこれほどの雑誌数と歴史を支えている。アジアの他の国では日本ほど雑誌文化はなく、海外の本屋に行っても日本ほど雑誌コーナーが多いところはない。これはアジアではダントツと言ってもいいし、世界でも雑誌がこれだけ多い国は少ないであろう。さらに日本では、これに漫画、アニメという誇れる文化があり、これに関連するコーナーも書店で大きなスペースを得ている。
近年、日本の1970-2000の曲がYouTubeで脚光を浴びて、J-POPとして人気が出ている。これまで世界の人々から全く見向きも知られなかった分野が発見されたのである。それでも日本の雑誌は、日本語という大きな障害のために外国に知られることはなかった。それがAIでは一切の言葉の障害が取り除かれる環境となった。大きな情報の宝が日本にある。海外での日本文化の普及に伴い、こうした日本の雑誌、本文化は大きな需要がある情報となる。
今後、国会図書館の本、雑誌のデジタル化がさらに進み、この情報全てがAIで検索され、使われるようになると、世界中が日本に影響を受けるようになるだろう。さらに日本政府が一元的に情報を管理して、著作権料を徴収するようになると前回、述べた医療情報とともに大きな武器になる。日本のオタク文化、狭い領域のものを深く探りそれを雑誌、本にするという文化は、今後、世界のAI分野において、大きな影響を与えることは間違いなく、今以上に世界の日本化につながるのではないかと勝手に想像している。アフリカの子供達が現地語で週刊ジャンプの創刊号をアフリカの原野で読む時代がすぐそこにある。





