10月最初のブログで弘南鉄道のことをブログで書いた。その後、知人数名で飲んだ時のこと、「弘南鉄道に乗ったのはいつが最後」と聞いた。4名中1名は数年前、どんなものかと中央弘前駅から一駅だけ乗ったと言い、他の3名は中学生の時に大鰐にスキーに行った時に使ったのが最後で50年以上乗っていないという。皆、70歳代である。大鰐に行くことがあっても、自動車以外、考えられなく、どうして鉄道で行くのか、家から中央弘前駅までどうやっていくのか、あちらについてあちこち行くのはどうするのかと、散々言われた。車も持っていない私からすれば、全て歩けばとなるが、車を足代わりに使っていると500mの距離が歩けない。前述したメンバーも、健康であるが、家から弘前中央駅、大鰐駅から大円寺まで歩けないという。メンバーの多くは弘前駅近くに住んでおり、15分も歩けば弘前中央駅に到着するのに。
この話を聞いて、私のような車を使わず、歩く人にとって、電車、バス、タクシーはごく普通の乗り物であるが、多くの、多分、95%以上の人にとって、これらの交通手段は日常の乗り物ではない。50年以上使ったことがないような乗り物なのであろう。これでは仮に大鰐線を無料にしてもほとんどの人が利用しないのだろう。都会では全く逆のことが起こっており、車で通学、通勤するより電車やバスの方が便利で、そちらを利用する人の方が多い。一方、地方、弘前のようなところでは車一択の社会で、弘南鉄道、大鰐線、黒石線とも、市民にとっては完全に縁遠い存在なのだろう。多少の懐かしさはあっても、ほとんどの人にとっては乗ったこともない鉄道で、その存続に無関心なのは当然である。
一方、函館の路面電車は、通学、通勤、あるいは観光にも使われており、完全の定着しており、おそらく50年以上使ったことはない函館市民は少ないだろう。要するに50年以上使ったことがない人が多い鉄道というのが現状の弘南鉄道のことであろう。同様にバスに関しても、ほとんどの人は利用したこともないだろう。このままでは、大鰐線の廃線に続いて、黒石線の廃線、弘南バスの消滅していくのだろう。実際、高校生の通学では電車、バスが使われていたが、今では家族が車で送迎するのが普通になっている。
こうした東京などの都市部の交通インフラの充実に引き換え、地方ではますます自動車が生活の最重要手段となっている。さらにこうした自動車中心の社会は、家族分、例えば、両親、子供(成人)2、3名がいれば、3、4台の自家用車があるのは全く珍しくない。そのため、郊外の自宅に大きな駐車場があるのは仕方ないと思われるが、駅前の一等地でも、その近くの職場に通う人のための駐車場が多い。今いるマンションでも1戸に一台分の駐車場が確保されており、東京の感覚からすれば信じられないほどの贅沢さである。土地が安いということが最大の決め手であるが、それでも中心地が駐車場だらけというのは寂しいことである。駅前の小さなビル、例えば生命保険会社のオフィース、50坪くらいのビルのワンフロアーに50人の人がいるとすると、会社はそのビル近くに50台分の駐車場を確保することになる。会社と駐車場の距離が300m離れると不満の声が高くなる。信じられないと思うが、これが実際である。東京、横浜、仙台でも中心駅から徒歩10分以内で、全従業員の駐車場を確保できるということはあり得ない。
多くは月5000円以下の駐車料金だからこそできることで、50名の生命保険レディーがいても月に25万円くらいの負担なら会社も負担できよう。もっと言えば、例えば、30台置く駐車場の場合、冬の雪置き場を入れると300坪くらいは必要であり、一台5000円で契約して30台、月に15万円分の価値しか土地にないことを意味する。つまり駅前の一等地、300坪の土地で、月15万円では固定資産税くらいしかない。東京では300坪あれば、駐車料金だけで月に100万円以上になる。
このブログでも大鰐線廃止など交通インフラがなくなる危機感を訴えてきたが、今回、ほとんどの人にとって、大鰐線は50年も使ったことがない交通手段であることがわかり、ショックを受けた。たまには大鰐線も乗ってくださいよと言ったが、多分廃止になるまで誰も乗らないだろう。誰も歩いていない街、駐車場だらけの街、さらに街機能が分散されて街自体が消滅していく、それが未来の地方都市かもしれない。中心部のホテル、デパートは倒産して廃墟化し、街にはほとんど人がおらず、車が通るだけ、買い物は郊外のショッピンセンターに行くが、ここも新しいショッピングセンターができると、人が減り、撤退する。若者は楽しいところがないために東京に行ったきり帰ってこない。
中心市街地の活性化、コンパクトシティー、地方都市はこれ以外、生き残りは難しい。中心部の駐車場の有効活用、巡回バスの増便、バス利用パスの発行、新規住宅への固定資産税の免除など、郊外と中心部の格差をつける方法もある。中心部に住む方が便利という政策である。東京などと違い、弘前市では、中心部の土地価格が坪12-15万円とすると、旧市街(江戸時代)から外れた土地でも坪8―10万円くらいしており、それほど価格差がない。今や建築費が高騰し、坪100万円近くかかる。住宅建設費の中での土地代の割合は低くなり、例えば、中心部に住むなら5年間、固定資産税が0になるなら、郊外に住む理由は無くなるはずだ。コンパクトシティー化への活発な広報と差別化をもっと増やさなくては行けない。







