弘前駅周辺には、5つのホテルがある。東横INN弘前駅前(232室)、ホテルルートイン弘前駅前(212室)、アートホテル弘前シティー(134室)、弘前ホテル(66室)、ブロッサムホテル弘前(35室)である。もう少し離れた代官町、土手町まで広げると、スマイルホテル弘前(121室)、弘前プラザホテル(100室)、スーパーホテル弘前(100室)、弘前パークホテル(121室)、ホテルハイパーヒルズ弘前(70室)などがある。全部で総計1191室、数としては十分のようであるが、スイートルームがあるホテルはアートホテル弘前シティーしかない。3室あるが、一泊3、4万円くらいでそれほど高いものではない。以前は弘前キャッスルホテルにも特別室があったので、政財界のゲストや皇族もここに泊まることもあったが、今はアートホテル一択となった。そのため、先日、国体にために青森県に来た天皇陛下、および皇族のほとんどは青森市のホテル青森に宿泊し、弘前市に宿泊した三笠宮寛仁親王妃信子殿下はアートホテル弘前シティーに宿泊した。海外からくるVIPおよび富裕観光客の受け皿となるホテルが事実上1つしかなく、またスイートルームも3部屋しかないのが実情である。
先日、弘前市長、谷川政人市長が宮下知事の県政報告会で、複数のホテルが弘前市内に進出する可能性を示唆した。弘前駅前のゲームセンター、ミタマが今年9月に閉店し今は更地になっているが、ここにホテルが建設されるという噂を聞いた。見たところ200−300坪くらいの土地なので、ホテルと言っても数十室レベルの小型ホテルと思われが、それ以上に弘前市長の言葉を聞いて一番気になってのは旧吉井酒造の工場、倉庫跡である。ここは1000坪以上の敷地があり、かなり大型の宿泊設備を建築できる。さらに近年、古い蕎麦屋があったボロボロの家屋が買われ、近所の駐車場の駐車契約の制限、レンタカー営業所の解体など、ここ数十年大きな変化がなかった地域に少しずつ変化があり、谷川市長の言質から推測するとここに大型な宿泊設備ができるのではと予想している。駅前の一等地に大型の設備ができ、市長の談話、「宿泊施設を建てたいという話がだいぶ来ている。今後弘前は非常ににぎやかな街になるだろう」とも一致する。
この吉井倉庫を現在保有しているのは、ダイワハウスグループのフジタというところで、建築、土木などの総合建築会社で、まちづくり事業が得意な会社である。おそらくは中高級ホテルを主体としたまちづくり事業のものが予想される。弘前駅から歩いて1分という土地であることから、中心地区活性化事業の一環として商業施設、ホテル、さらには一部公共施設が入る複合施設になろう。前回のブログでも述べたが、新幹線が函館以北、札幌まで延伸されることで、これまでの終着点としての函館の価値が下がり、東京から函館ー札幌の流れだけでなく、東京ー青森ー札幌、東京ー函館ー札幌の2つのルートの選択が可能となる。複数回日本に来たインバウンド客でいうと、飛行機で青森空港に入り、そこから青森市あるいは弘前市に宿泊し、翌日、新幹線で函館で見学して、夜に札幌に入るというルートができる。函館、弘前ともに半日で十分に観光ができるところなので、どちらかに一泊すれば言いわけである。ただこれまでは弘前には魅力的なホテル、特に富裕者層向きのホテルがなく、それなら宿泊設備が完備した函館ということになる。そこにアートホテルに匹敵する、あるいはそれ以上の高級ホテルができると、ここで宿泊する観光客も増えるであろう。個人的にも、重要なお客さんを弘前に呼ぶ場合は、どこのホテルにするか悩む。と言っても接待や、VIPを招くことはないので、既存のホテルで十分であるが、それでも講演会のゲストを呼ぶような場合は、アートホテルか、少し離れるが あそべの森 岩木荘 を選ぶことが多い。
弘前駅前では、旧弘前市立病院の改修整備がほぼ終了し、市民の健康拠点として整備され、またその前の旧大成小学校の跡地をどうするかと課題がある。さらに青森市にあった郷土館が弘前市に移ることで、今ある弘前城近くの観光館、図書館などの再編も計画されている。そしてこの旧吉井酒造跡地となる。さらに大鰐線廃止に伴う中央弘前駅をどうするかという問題も残る。このようにかなり大幅な街の更新が行われるわけである。
数年前に埼玉県の川越市に行った。ここは40年ほど前の市長が大幅な街の更新を行い、観光地としての川越を整備した。その結果、年間700万人の観光客がくる都市になった。弘前市の年間の観光客数は235万人、函館の605万人に比べると1/3、さらに宿泊数で言えば、弘前市が67万人、函館は504万人と大差となっている。駅前及び弘前城周辺の今後の大規模な更新により、せめて宿泊者数が倍増するだけで、弘前市に入る観光収入も増加する。台湾からの青森への定期便は毎日運行となり、搭乗率も80%を超える好調を示しており、今後の海外からのインバウンド客を考えると、まだまだ観光客の増加、特に宿泊者数の増加を見込める都市であり、古くていいところを残しながらも、それに対応するような街作りが望まれる。
谷川市長の手腕が試される時である。今後数十年の弘前市の将来が決められる時期である。こうした中心市街地活性化というプラニングを立てる場合、その委員会のメンバーを見ると大学教授など大体同じような顔ぶれで、これでは全く新しい発想は期待できない。最終的には市長が決めればいいのだか、弘前市には弘前市を本当の愛して、中央で活躍し、応援している人が多い。タレントの王林さん、シソンヌのじろうさん、画家の奈良美智さん、人間椅子の和嶋慎治さん、漫画家の石塚千尋さん、こちらの出身ではないが青森好きのエッセシストの能町みね子さん、おにぎり屋の川原田美雪さん、奇跡のりんごの木村秋則さん、ホンダジェットの藤野道格さん、はやぶさの川口淳一郎さん、作家の鎌田慧さん、前台北駐日経済文化代表処の副代表、李世丙さん(奥さんが確か藤崎か板柳)などを委員とした未来委員会のようなものも必要かもしれない。とにかく外から、残すところと新しくすることがわかる人選が必要で、とりわけ残すところについては、地元に住んでいる人は絶対にわからないし、できれば海外で住んでいる人こそふさわしい。古いものを残してリノベーションするのが今のやり方である。








