2026年10月21日水曜日

歯科の闇


 


以前、専門外であるが保険業の闇について、少し考えを述べたが、専門の歯科の闇について述べないのかと言われそうなので、少し述べてみる。

 

まず私の背景を言うと、父親は歯科医で私が生まれる前の昭和27年頃から兵庫県尼崎市で歯科医院をしていた。85歳まで50年以上は歯科医をしていたし、その間の歯科環境の変遷もよく知っている。兄も西宮市で開業し、私も昨年まで青森県弘前市で矯正歯科として開業していた。親子三人が歯科医ということになる。

 

国民皆保険制が完成したのは私が生まれた時くらいで、それまでは歯科は基本的に自費であった。庶民は歯が痛くなっても、歯が抜けても、治療費が高くてなかなか歯科医院にいけないという状態であった。そこに健康保険が登場した。月々、収入に応じた保険料を納めることで、通常の治療の0割から半分の費用で済むことになった。もう少し詳しくいうと、被保険者本人は0割負担、つまり治療費はかからず、家族は半分、これも最終的には3割となった。つまりこれまで10000円だったものが、いきなり全商品、50% 、70%、100%引となった。患者は一気に医院に押し寄せ、この頃になると朝、医院を開ける前に患者が行列という状態になった。

 

ここで歯科医の闇としては、本人負担が0%ということはどれだけ治療をしても本人の窓口の支払いはない。少なくとも金額に関するクレームはなくなった。そのため、新規で来院した患者、特に本人に対する治療は基本的に全てやり直しとなった。さらに今と違い、明細書を出す必要がなかったため、架空診療が横行した。パントモ写真を撮り、頭の中でとれる治療計画を立て、治療をしたことにして請求するというものであった。古い商習慣が残っていたのか、当時は月末、年末にまとめて治療費を払うという人も多くいたし、本人の場合は負担0なので、こうした架空診療であっても見つからない。医科より歯科の方がこうした架空請求は横行していた。

 

また感染対策が杜撰で、ミラー、ピンセット、などの基本セットもアルコール綿で拭くだけ、抜歯に使う器具以外は、バー、トレー、金属コップなどもほとんど洗うだけという感じだったし、だれ一人手袋など使用しなかった。ある先生はミラーが曇ると自分のネクタイで拭いて使っていた。今では麻酔もディスポのカートリッジを使うが、昔はボトルから注射器で直接、麻酔液を吸って使っていた。汚染もあったろう。

 

本人はその後、1割負担、家族は3割負担となり、今は基本的には3割負担で、70歳以上は2割、75歳以上は1割となっている。それでも定価の70%の割引で商売しているといえよう。わずか数%の利益率しかないコンビニや他の商売から見たらこれほど美味しい商売はないと思うだろう。ところが歯科医はこの意識はほとんどない。10000円の治療はその30%、3000円どころが、点数で1000点、300点、300円の治療と勘違いする。つまり10000円の治療でも窓口負担は300点、3000円どころが、歯科医はつい300円と勘違いする。さらに政府は保険治療のコストを低く設定していて、アメリカの治療費に比べて比べても保険の点数、料金は安すぎるという。一方、患者は70%の割引をしてもらいながら高いといっている。おかしなことである。

 

最近の歯科の闇は、インプラント、矯正歯科など自由診療への誘導である。70%引きで売っていても収入は少ないと考える歯科医院はより利益率の高い、矯正歯科、インプラント患者を増やそうとする。保険診療の利益率を30%くらいとすると、矯正治療では技術費が大きいため、利益率は60%以上となる(インビザラインは除く、通常のワイヤー矯正の場合)。そのため、ほとんど経験したこともない矯正治療をしようとする。子供の矯正治療の場合、結果の良否が漠然としている。子供の矯正治療しかしないという歯科医院もあるが、子供の治療だけできれいに治るケースは少なく、中学生以降にマルチブラケット装置による仕上げの治療をする必要性があるのは矯正歯科では常識である。そのため子供だけの矯正治療というのはあり得ず、通常は一期(子供の矯正治療)、そして二期(仕上げ)という流れ以外はない。


2026年10月15日木曜日

弘南鉄道大鰐線の廃線後、どうするの 2

 

神風号のロンドン到着 下書き

10月最初のブログで弘南鉄道のことをブログで書いた。その後、知人数名で飲んだ時のこと、「弘南鉄道に乗ったのはいつが最後」と聞いた。4名中1名は数年前、どんなものかと中央弘前駅から一駅だけ乗ったと言い、他の3名は中学生の時に大鰐にスキーに行った時に使ったのが最後で50年以上乗っていないという。皆、70歳代である。大鰐に行くことがあっても、自動車以外、考えられなく、どうして鉄道で行くのか、家から中央弘前駅までどうやっていくのか、あちらについてあちこち行くのはどうするのかと、散々言われた。車も持っていない私からすれば、全て歩けばとなるが、車を足代わりに使っていると500mの距離が歩けない。前述したメンバーも、健康であるが、家から弘前中央駅、大鰐駅から大円寺まで歩けないという。メンバーの多くは弘前駅近くに住んでおり、15分も歩けば弘前中央駅に到着するのに。

 

この話を聞いて、私のような車を使わず、歩く人にとって、電車、バス、タクシーはごく普通の乗り物であるが、多くの、多分、95%以上の人にとって、これらの交通手段は日常の乗り物ではない。50年以上使ったことがないような乗り物なのであろう。これでは仮に大鰐線を無料にしてもほとんどの人が利用しないのだろう。都会では全く逆のことが起こっており、車で通学、通勤するより電車やバスの方が便利で、そちらを利用する人の方が多い。一方、地方、弘前のようなところでは車一択の社会で、弘南鉄道、大鰐線、黒石線とも、市民にとっては完全に縁遠い存在なのだろう。多少の懐かしさはあっても、ほとんどの人にとっては乗ったこともない鉄道で、その存続に無関心なのは当然である。

 

一方、函館の路面電車は、通学、通勤、あるいは観光にも使われており、完全の定着しており、おそらく50年以上使ったことはない函館市民は少ないだろう。要するに50年以上使ったことがない人が多い鉄道というのが現状の弘南鉄道のことであろう。同様にバスに関しても、ほとんどの人は利用したこともないだろう。このままでは、大鰐線の廃線に続いて、黒石線の廃線、弘南バスの消滅していくのだろう。実際、高校生の通学では電車、バスが使われていたが、今では家族が車で送迎するのが普通になっている。

 

こうした東京などの都市部の交通インフラの充実に引き換え、地方ではますます自動車が生活の最重要手段となっている。さらにこうした自動車中心の社会は、家族分、例えば、両親、子供(成人)2、3名がいれば、3、4台の自家用車があるのは全く珍しくない。そのため、郊外の自宅に大きな駐車場があるのは仕方ないと思われるが、駅前の一等地でも、その近くの職場に通う人のための駐車場が多い。今いるマンションでも1戸に一台分の駐車場が確保されており、東京の感覚からすれば信じられないほどの贅沢さである。土地が安いということが最大の決め手であるが、それでも中心地が駐車場だらけというのは寂しいことである。駅前の小さなビル、例えば生命保険会社のオフィース、50坪くらいのビルのワンフロアーに50人の人がいるとすると、会社はそのビル近くに50台分の駐車場を確保することになる。会社と駐車場の距離が300m離れると不満の声が高くなる。信じられないと思うが、これが実際である。東京、横浜、仙台でも中心駅から徒歩10分以内で、全従業員の駐車場を確保できるということはあり得ない。

 

多くは月5000円以下の駐車料金だからこそできることで、50名の生命保険レディーがいても月に25万円くらいの負担なら会社も負担できよう。もっと言えば、例えば、30台置く駐車場の場合、冬の雪置き場を入れると300坪くらいは必要であり、一台5000円で契約して30台、月に15万円分の価値しか土地にないことを意味する。つまり駅前の一等地、300坪の土地で、月15万円では固定資産税くらいしかない。東京では300坪あれば、駐車料金だけで月に100万円以上になる。

 

このブログでも大鰐線廃止など交通インフラがなくなる危機感を訴えてきたが、今回、ほとんどの人にとって、大鰐線は50年も使ったことがない交通手段であることがわかり、ショックを受けた。たまには大鰐線も乗ってくださいよと言ったが、多分廃止になるまで誰も乗らないだろう。誰も歩いていない街、駐車場だらけの街、さらに街機能が分散されて街自体が消滅していく、それが未来の地方都市かもしれない。中心部のホテル、デパートは倒産して廃墟化し、街にはほとんど人がおらず、車が通るだけ、買い物は郊外のショッピンセンターに行くが、ここも新しいショッピングセンターができると、人が減り、撤退する。若者は楽しいところがないために東京に行ったきり帰ってこない。

 

 中心市街地の活性化、コンパクトシティー、地方都市はこれ以外、生き残りは難しい。中心部の駐車場の有効活用、巡回バスの増便、バス利用パスの発行、新規住宅への固定資産税の免除など、郊外と中心部の格差をつける方法もある。中心部に住む方が便利という政策である。東京などと違い、弘前市では、中心部の土地価格が坪12-15万円とすると、旧市街(江戸時代)から外れた土地でも坪8―10万円くらいしており、それほど価格差がない。今や建築費が高騰し、坪100万円近くかかる。住宅建設費の中での土地代の割合は低くなり、例えば、中心部に住むなら5年間、固定資産税が0になるなら、郊外に住む理由は無くなるはずだ。コンパクトシティー化への活発な広報と差別化をもっと増やさなくては行けない。

 

 

 


2026年10月14日水曜日

攻玉社と青森県の関係

 



以前、東京の攻玉社に関係する方に質問したところ、ご丁寧にも「攻玉社 百五十年史 人物誌」をお送りいただき感謝している。攻玉社は日本でも最古の近代的私立学校の一つで、創立は文久三年(1863)、ほぼ慶應義塾に匹敵する名門学校である。戦前は海軍の予備校的な存在で、何とこの学校から、海軍大将15名、海軍中将69名を輩出した。創立者の近藤眞琴と弘前藩士は関係が深く、後に弘前出身の山澄直清が副社長、藤田潜は校長となった。さらに藤田潜の子供、藤田尚徳は戦前最後の侍従長として昭和天皇を補佐した。

 

その藤田尚徳の評伝、「終戦の侍従長 海軍大将藤田尚徳」(外崎克久、清水弘文堂、昭和63年)を古書店で購入して読んだ。外崎さんの著書は、津軽の偉人を、多くの資料を用いて丁寧に描いており、本当に参考になる。本書について言えば、藤田大将は軍人で、それほど戦地に出てないこともあり、ページ数を稼ごうとしたが、どうも無理だったようで、後半百ページくらいは「探海燈」と題して、これまでまとめられなかった事項をここで記述している。この中で青森県と攻玉社の関係を取り扱った章があるので、これを中心にまとめてみる。

 

攻玉社出身の青森県人(明治3年から20年)

 

山澄直清(攻玉社副社長)、津軽八十五郎、笹森清定(攻玉社副社長)、柏原長繁(海軍大佐、磐城艦長)、奈良茂智(攻玉社副社長)、小山内雄五郎(攻玉社教員)、藤田潜(攻玉社副社長)、山澄太郎三(海軍少将)、梶正章(攻玉社教員)、角田栄之進、角田元千代、山澄富子(二代社長、近藤基樹の夫人)、山澄清三、伊東友衛、中舘広之助、藤田弥六、傍島申子太郎、奈良浄、青木英彦、佐々木和策、加藤三吾、乙部直樹、山崎彦之進、出町良蔵、佐々木多聞、奥崎義郎、下平英太郎(海軍少将)、阿部次郎、木村一太郎、木村徳章、田中英太郎

 

 

攻玉社に勤めた青森県出身の教員

 

山澄直清、笹森清定、奈良茂智、藤田潜、梶正章、前田浄一、小山内雄五郎、渋江保、加藤三吾、藤田弥六、出町良蔵、乙部直衛、古川広吉

 

戦前の昭和天皇の侍従長は、初代が弘前出身の珍田捨巳で外務省の出身、二代目は海軍大将の鈴木貫太郎、3代目も海軍大将の百武三郎、そして4代目は海軍大将の藤田尚徳と海軍出身者が続き、昭和天皇の陸軍嫌いを表している。また鈴木、百武、藤田はいずれも攻玉社の出身であり、初代の珍田捨巳は、攻玉社の藤田潜とは弘前藩の藩校、稽古館で英語を習った親友であった。戦後の侍従長の多くは、外務省出身者が多いが、明治以降の侍従長を見ても、外務省出身者としては珍田が嚆矢であり、戦後の流れの基本となった。

 

他の青森県出身の海軍軍人で攻玉社に学んだものとして、山澄直清(大尉)、柏原長肇(大佐)、田中英太郎(少佐)、山澄太郎三(少将)、山崎彦之助(主計総監)、下平英太郎(会津、少将)、秋元猛四郎(少将)、鈴木田幸造(大佐)などがいる。このうち山澄は塾生というより教官に近く、すでに幕府の海軍操練所で近藤真琴から直接、測量学を学んだ。その後、山澄、柏原は上京し、攻玉社で学び、海軍兵学寮で教官となった。海軍大尉となった後も攻玉社で教えた。山澄直清の孫、貞次郎少将は昭和天皇の侍従武官となった。昭和11年から15年までで、当時の侍従長は攻玉社の先輩、鈴木貫太郎大将、百武三郎大将であった。同時に鈴木、百武は、山澄直清の教え子でもある。


2026年10月10日土曜日

AIによる閲覧数の急激な増加






このブログ、「広瀬院長の弘前ブログ」がスタートしたのは、2007年2月1日であるので、すでに20年近い。ここ10年は月に8つずつ投稿するというペースで運営している。主として矯正歯科、郷土史、弘前観光、その他の4つで回しているが、最近は引退したこともあり、矯正歯科に関するブログが少なくなっている。おかげさまで、このブログを通じて多くの友人ができた、また個人的には貴重な情報を得ることができ、感謝している。

 

それでも田舎のアマチュアの書いたブログで、ほとんど無名なもので、閲覧数もずっと、1日100ほど、ひどい時は数十くらいで、こんなに少ないのであれば、やる価値はない、やめようかと思ったこともあったが、ごく稀に感謝のメールをいただくこともあり、細々と続けている。

 

ところがここ1年ほど、特にこの1、2ヶ月の閲覧数は異常なことになっている。例えば、昨日の閲覧数は11295、先月の閲覧数は78344となっている。今月がすでに83453というすごい数値になっている。これは海外のスパムポットからの不正アクセスが大部分だが、昨今の大手AI企業の自動収集も大きく関与している。AIにこれらの統計情報を全て読み込み、解析したところ、AIで作られたスパムポットが全体の90%くらい、AI企業によるデータ収集が9%くらい、本物の人間からのものが0.6%くらいと診断された。こうした現象は他のブログでも起こっていることで、ブログの中の広告を押すと不正サイトに誘導する、パクリサイトを作るとかに使われているという。私のブログには広告サイトはないので、ここから誘導されることはないし、パクリサイトをいるほどアップデイトな重要な内容はない。中でも一番怖いのはポットネットの兵隊(プロキシ)としての動作テストで、自分の乗っ取ったコンピュターが指示通りに一斉に特定のサイトにアクセルできるかの実験に使われている可能性があるという点だ。これは企業などの身代金目的でサイトに侵入するためのテスト目的で行われるもので、試験が終了すると大量のスパムコメントがコメント欄に来るようだ。以前、このブログには私のメルアドレスも記載していたが、変なメールが増加したことから削除したが、コメント欄もいずれ削除、さらにはブログ自体も閉鎖しなくてはいけなくなるかもしれない。

 

一方、AIによる情報の自動収集も多くなり、Geminiなどで弘前の人物を聞くと私のブログが引用されてくる。つまりAIで聞くと、私のブログの内容が引用されてくるようになっているが、逆にGoogleの検索、例えば“弘前 ブログ”で検索すると、以前は上位に出ていたが、最近では圏外になってきた。つまりGoogle検索では全く出てこないが、AIでは多く出る状態になっている。これは少しややこしい状況になってきた。

 

これまで企業、あるいは医院、歯科医院の広告手法として一番重要視されてきたのが、Googleの検索数を伸ばし、上位になること、SEO対策であった。ところが多くの人々がGoogle検索ではなく、直接、AIで聞くようになると、このSEO自体が全く意味を持たなくなる。あくまでAIで聞いた上、次のステップが個別のHPとなる。これまで主としてSEO対策をメインに営業活動をしていた広告会社は、今度はAI対策をしなくてはいけない。これは案外難しく、今後、ますますAIも精緻になり、より確実なソースをもとに回答していくだろう。

 

私もここ1年ほどは、ほとんどの質問はGoogle Geminiを用いているが、専門的なことになるとまだまだ間違いが多く、例えば、“顎が出ていて、かみ合わせが逆なので、弘前市内で外科的矯正の矯正をしている歯科医院を探しています。どこかいい歯科医院はありますか”と尋ねても、一度も正解には辿りつかない。正解は、“弘前市には外科的矯正の術前、術後矯正をしている歯科医院はありません。どうしても治療を受けたいなら、青森市の板垣矯正歯科医院か大館市の桂城矯正歯科医院の二つです”。いろんな弘前市の歯科医院をGeminiは出すが、どんな条件を入れてもこの回答になったことはない。まだマシなのは“弘前大学医学部附属病院歯科口腔外科で相談してください”という回答で、確かにここで相談に行けば、上記2つの歯科医院を紹介するだろう。なぜこうなるかというと、顎変形症の術前矯正をするためには、顎口腔機能診断料の施設基準が必要だが、AIはこれを持つ歯科医院を探してくる。ところが施設基準をとっているが、ほとんど治療していない、種々の理由で断っているという情報はネット上には出ないので、正しい回答にならない。今後、AIによる回答が主流になるのは確実で、その場合は、より具体的で最新の情報、例えば、これまでの自院での治療数やここ数年の患者数の推移などもアップデートでH Pに載せるのもいいだろう。一方、Googleのやらせコメントの鑑別もできるようで、ある歯科医院を調べるとコメント数が87で、初めてのコメントが半分以上であった。こうした口コミデーターを自由に入れていくと、業者が作ったサクラ口コミである可能性が高いという回答となる。口コミを増やそうとする広告業者のやり方が、悪どい集客、金儲け主義の歯科医院という評判となる。

 

今後。全ての検索はAIの方向になりそうで、そこのは多くの間違いが存在するので、本当に怖い世の中になりそうである。


 

2026年10月4日日曜日

マウスピース矯正は終焉?


マウスピース矯正が、革命的な新しい矯正治療法として注目されるようになったのはここ十年ほどで、その後、あっという間に全国に広がり、治療する患者も多い。ところが実際に治療してみると、毎日、長時間使うのが大変、あるいは思ったように治らない、期間がかかるなどのクレームが目立つようになった。そのため、日本臨床矯正歯科医会が行なっている「矯正歯科何でも相談」のレポートをみると年々、マウスピース矯正についてのクレーム相談が増えている。さらに格安マウスピース矯正の代表的な歯科医院グループ、東京プラス歯科が負債37億円を抱えて倒産し、またデンタルオフィースXの夜逃げと集団訴訟の事件も目新しい。

 

マウスピース矯正のパイオニアであり、最大手のインビザラインを扱うアライナーテクノロジー社の株価を見ると、2021年度の最高値730ドルから今は143ドルと1/5に下がり、時価総額も半分くらいになっている。また従来のワイヤー矯正の分野から完全に撤退し、デジタル矯正、マウスピース矯正に舵を切ったデンツプライシロナ社はさらに深刻で、株価は60ドルから9ドルを割り込む状況となっている。同様に雨後の筍のように出たキレイラインなどの多くのマウスピース矯正はさらに悲惨な状態であろう。

 

問題なのは、もともとマウスピース矯正は白人向けであり、軽度の不正咬合、再矯正治療の多いアメリカをマーケットにしたもので、でこぼこの程度が重症で、口元の突出しているアジア人では適用がかなり限られてくる。多くのクレームはでこぼこが治ったが、口元が出ている、治っていない。日本人を含めて口元の突出を治したい、白人のようなすっきりした口元にしたい考えるアジア人は多い。友人の台湾の先生に聞くと多くの患者さんが口元を入れたいと希望するため、成人患者では80%くらいが小臼歯の抜歯症例と言っていた。実際、私のところもほぼ同様で、非抜歯で治療できるケースは反対咬合や軽度のでこぼこなどかなり限定される。そのためネットなどでマウスピース矯正で治療している成人症例は、矯正歯科医から見ると抜歯症例であることが多い。

 

成人になって矯正治療を受ける場合の一番のデメリットは、治療費が高いというだけでなく、装置をつけていることが目立つという悩みがある。この解消法として装置を歯の裏側につける舌側矯正治療があり、上手な先生にかかると綺麗な仕上がりとなる。ところが手先の器用な日本人と違い、アメリカでは舌側矯正は面倒なため、ほとんど普及しなかった。そこにマウスピース矯正が登場したので、アメリカの矯正歯科医はすぐに飛びついた。一方、日本では舌側矯正が発達していたので、これに飛びついたのは矯正治療をできない一般歯科医であった。彼らはそもそも診断ができないため、うまく治らない患者がどんどん増えていった。

 

さすがにここ2、3年で、こうした問題点が一般患者にも伝わってきて、きちんとした矯正歯科医院で治療をする回帰傾向となってきた。同じ高い費用を払い、長期間治療するなら信頼のおける矯正歯科専門医院で治療するという患者が増えている。はっきり言って、これだけデメリットがわかっていながら、マウスピース矯正を受ける患者さんはどうかなあと思ってしまう。どこで治療すればいいか、よく質問されるが、まずホームページをよく読むことを勧める。まず院長の経歴を調べる。大学病院できちんとした矯正の研修を受けていること、認定医、あるいはよりいいのは日本歯科専門医機構の矯正歯科専門医であること。さらには開業期間が長く、患者が多いところが良い。そこで治療している知人、友人から話を聞ければさらにいい。行きつけの歯科医に聞いて、紹介してもらうのもいいかもしれない。

 

一時はマウスピース矯正がワイヤー矯正を凌駕して、矯正治療の主役になると予想した人もいたが、これは完全に否定された。むしろ矯正歯科治療の一つの治療法としてどのくらいの割合を占めるかという流れになっている。矯正歯科専門医院ではせいぜい10-20%、それもワイヤー矯正と併用というもので、ワイヤー矯正が主役であることは間違いない。どうしてもマウスピース矯正をしたいという人は、必ずワイヤー矯正もできる先生のところで治療すべきで、最悪の場合、治療途中で、抜歯ケース、ワイヤー矯正に変更して口元を入れるということもできるし、しっかり噛むようにしてくれる。

 

矯正治療の主流であるワイヤー矯正をまともにできない先生がマウピース矯正をできるわけがない。患者を完全に舐めている。もし外科の先生、それも内視鏡の専門医で、普通の外科手術はできない先生がいれば、教えて欲しい。トラブル時にはどうしても開腹手術が必要なためだ。マウスピース矯正を行う一般歯科の先生の多くは、まともなワイヤー矯正ができず、不満足で抜歯してワイヤー矯正で直してくれと頼んでも、治せない、どころかしたこともない輩である。外科の例で言えば、虫垂炎の手術も一回もしたことがない先生が100万円も取って内視鏡手術、それも相当難しい手術、本人は難しいかもわからない状態で、していると思って欲しい。

 

1.日本人の成人矯正患者の多くは、でこぼこの是正だけでなく、口元をすっきりしたいという希望がある。それを解消するためには小臼歯抜歯をして、その隙間を利用して前歯を中に入れる治療となる。こうした治療については、マウスピース矯正よりワイヤー矯正が向いている。

2.抜歯をしない、マウスピース矯正しかしない歯科医院では、治らない、あるいは患者が満足しない症例が多くなる。

3.どうしても見た目が気になる場合は、装置を歯の裏側につけた舌側矯正歯科が第一選択である。

4.マウスピース矯正は、消滅することはないものの、適用が限られ、今後とも矯正治療に主役になることはない。

5.インビザラインの技工料が高くなり、中国製のエンジェルアライナーを使う先生が多くなっているが、アライナ社との特許戦争に入っている。


 

2026年10月1日木曜日

弘南鉄道大鰐線の廃線後、どうするの






 


弘前の産んだ全国的なタレント王林さんとシロンヌのじろうさん、二人とも弘前が活気付くようにと一生懸命に動いている。最近では王林さんが廃線の決まった弘南鉄道大鰐線を何とかしようと、弘前中央駅内にアップルパイのお店と混ぜそばのお店を出したりしている。それでも生活手段として大鰐線が活用されることは少ないため、経営的には厳しい状態が続いており、廃止が撤回されることはなかろう。

 

以前から、大鰐線は赤字続きで、市の方でも補填をして経営を続けていたが、ある市会議員が正論、赤字が大きく、これ以上補填はできないと強く廃止を迫ったところ、経営陣も全く無理と思っていただけに、そのまま廃止という方向で決まった。これまで弘前市は何とか経営陣に続けて欲しいと頼んでいたのだが、向こうから廃止案が出たので、これ幸いと廃止が決定した。鉄道、バスのような公共交通機関で黒字のところは全国でも少なく、ほとんどの路線は公的に赤字を補填し続けている。海外ではむしろ公共交通機関は、公的に補助するのが当たり前である。なぜこうまでして鉄道の廃止を阻止しようとするかと言うと、鉄道による輸送は地球温暖化の決め手と考えられ、都市中心部への自動車に侵入が禁止されているところも多いからである。都市では自転車と路面電車だけというところも多い。

 

そうは言っても大鰐線の廃止は既定路線となっているので、今更撤回するのはよほど難しく、今後はそれをどうするかという議論が必要となろう。一番簡単な方法は、すべての路線、駅が壊して更地する、あるいは道路にする方法である。跡形もなく消滅させる方法である。今のところ議論もないことから、この方法になろう。市では大鰐線の代替わりの交通機関としてバスを考えているようだが、これも弘南バスという民間会社がしているので、客のいない路線を作るわけにはいかない。いくら市議会で議論してもどうしようもならず、弘前市でバス会社を作るならわかるが。

 

大鰐線が開業したのが昭和27年(1952)なので74年、まだ歴史的建造物ではなかろう。ただ駅舎や列車はレトロなもので鉄道ファンからは人気がある。できれば短い区間でも残せないだろうか。電化のまま、長い距離の路線を残すのは莫大な管理費用がかかるので、短い距離で、尚且つディーゼル車となろう。大鰐線には保守点検用のモーターカーがあるので、これを気動車にして貨物車を引くということなら何とかできるだろう。また踏切はすべて廃止となるが、中央弘前駅から弘高下までの1kmくらいの区間であれば、踏切部分を人による誘導で行けそうである。黄色い車体の可愛い車両で、冬場は前方に装置をつけて除雪ができるようになっており、今年の1月にも一人10万円で体験乗車を募集して、あっという間に完売した。大鰐線が保有する貨物車をトロッコ車に改良し、日曜、平日、花見期間、それと売りは、冬場のラッセル車体験、などに活用できそうである。また鉄道マニアにボランティア募集をして、駅の管理、車両の管理、運転、なども頼んでもいいだろう。好きな人にとっては本物の駅舎で硬券を売り、改札バサミで検札するのはたまらないであろう。こうした鉄道業一式を体験できるならボランティアをしたいという人はいるはずだ。

 

雪の中をラッセル車で走るトロッコ電車。多分、世界でもここしかない観光資源となる。ぜひ弘前市の予算とクラウドファンドで実現してほしい案である。実際に制服を着て、発券所で硬券を売り、改札をする、金を出してもやりたいという人は全国に山のようにいるし、駅舎や車両を整備したいという人もいるし、実際に運転できる退職者もいよう。ただ責任母体としてNPO法人などが必要で、そこには弘前市も観光政策として介入してほしい。壊すのは簡単であるし、あっという間である。どのように残すのか、広く市民、あるいは全国的な知恵を借りたいものである。

2026年9月19日土曜日

函館旅行から弘前の観光をちょっと考えてみた その2

 



ここまでをAiで提案書にまとめてもらうと

 

弘前市インバウンド観光活性化に向けた戦略的提言書




〜宿泊インフラの拡充と手ぶら観光の実現による富裕層・連泊客の獲得〜 

1. 提案の背景と現状の課題

近年のインバウンド市場において、欧米圏を中心とする個人旅行者(FIT)は、日本の伝統的な歴史文化、城下町の街並み、ローカルな体験を強く求めている。しかし、弘前市は優れた観光資源(弘前城、武家屋敷、寺院、りんご文化など)を有しながらも、以下のインフラ面において函館市をはじめとする競合都市に大きく水をあけられている。 

  • 宿泊インフラの硬直化とビジネスホテル偏重:
    高級・中級ホテルの選択肢が限られており、高付加価値な体験を求める富裕層インバウンドの受け皿が決定的に不足している。 
  • 広域移動における手荷物負担:
    長期滞在の外国人観光客は大型スーツケースを携行しており、新青森駅から弘前市内への移動における心理的・肉体的負担が滞在のハードルとなっている。 
  • 情報インフラの老朽化:
    市内の歴史解説や道案内標識の多言語対応、デジタル対応(QRコード等)が遅れており、まち歩き観光の利便性に改善の余地がある。 

2. 具体的な対策提案

提言①:「新青森駅起点」の手ぶら観光(LCC:Luggage-Free Travel)の構築

現在、弘前駅を起点とした手荷物配送サービスは存在するが、インバウンドの主たる動線である「東北新幹線・新青森駅」からの連携が不可欠である。 

  • 新青森駅〜弘前市内ホテルの即日配送網の確立:
    新青森駅の改札周辺(または特設カウンター)で午前中に荷物を預かり、夕方までに弘前市内の主要ホテルへ直接配送するシステムを構築する。 
  • 官民連携による価格設定と採算性:
    利用料金を1個あたり1,000円に設定。インバウンドのボリュームゾーンを捉え、1日100個の取扱(日商10万円)をマイルストーンとして民間物流業者や観光協会と連携し、採算性の早期確保を目指す。 
  • ホテル間および新青森駅を結ぶ「共同シャトルバス」の運行:
    主要ホテルが共同出資・連携し、朝夕の時間帯に弘前市内主要スポット・ホテルと新青森駅をダイレクトに結ぶインバウンド専用バスを運行。在来線乗り換えの心理的負担を軽減する。 

提言②:富裕層インバウンドをターゲットとした「高級・中級ホテル」の誘致

「東京〜青森空港(タクシー利用)〜弘前宿泊〜新幹線〜札幌・ニセコ」というゴールデンルートに代わる北日本縦断ルートを定着させるため、上質な宿泊環境を整備する。 

  • ラグジュアリーホテル・ブティックホテルの誘致:
    ビジネスホテル中心の供給過剰による価格ダンピング(函館等で見られる傾向)を避け、客室単価5万円以上の富裕層向け外資系・国内高級ブランド、または城下町の風情を活かした古民家・武家屋敷リノベーション型高級旅館の誘致を推進する。 
  • 行政による投資インセンティブの整備:
    撤退・解体された大型施設跡地や市有地を活用し、ホテル開発事業者に対する固定資産税の減免や、インバウンド対応設備(ユニバーサルデザイン、多言語対応フロント)への補助金制度を拡充する。 

提言③:デジタル技術(QRコード)を活用した歴史標識の全面刷新

外国人観光客の知的好奇心を満たし、回遊性を向上させるためのまち歩きインフラを整備する。 

  • 案内標識の多言語・デジタル化:
    市内に点在する老朽化した歴史標識・由来書きを順次刷新。スマートで景観に配慮したデザインに変更し、英語・中国語(繁体字・簡体字)・韓国語に対応したQRコードを配置する。 
  • スマホ連携によるオーディオガイド化:
    QR
    コードを読み込むことで、テキストだけでなく音声(オーディオガイド)で街の歴史や建築の魅力を深く学べる仕組みを提供し、ガイド不足を解消する。 
  • レンタサイクル(E-Bike)のUX改善:
    坂が少なく自転車観光に適した弘前の特性を活かし、予約から決済、多言語での利用説明までをスマートフォン一台で完結できるシェアサイクルシステムの導入とポートの増設を行う。 

3. 期待される効果

本提案の実施により、弘前市は「数時間で通り過ぎる通過型観光地」から脱却し、**「1泊以上滞在し、地域に深く消費をもたらす滞在型観光地」**へと転換できる。
また、函館のような海産物や土産物店だけの「観光一本足打法」に依存した過剰状態を反面教師とし、地元の持続可能な経済(農業や地域コミュニティ)と調和した、真に価値のある国際観光都市としての地位を確立することが期待される。 


*PS.  弘前駅前のゲームセンター跡地がホテルになりそうだが、敷地からは小さなホテルであろう。また弘前駅すぐ横の旧吉井酒造工場、倉庫については、あくまで噂話の範疇であるが、土地収得なども活発化してきており、保有者のフジタにも動きがあるようである。この会社は市街地開発などの「まちづくり事業」が得意で、小田原市駅前のミナカ小田原のようなホテルや商業施設が入った施設が駅前にできると個人的には嬉しい。弘前市も県立郷土館の誘致にも成功したので、こうした事業にも積極的に関わってほしい。また観光資源としての弘南電鉄、弘前中央駅の廃線後の活用もそろそろ考えてほしいものだ。