弘前でも随分前からコンパクトシティー、中心市街活性化などの政策が計画されているが、それほど成果が上がっていないどころか、そのメインになる土手町の凋落がひどい。土手町近くの知人の歯科医、古書店まわりみち文庫の店主も、中三デパートがなくなってから、土手町は決定的に寂れたという。前は診察を受けてから、本を眺めてから中三に行くというパターンが崩れたという。まず今泉書店がなくなり、次に紀伊国屋書店がなくなり、サイクマ、そして中三デパートがなくなり、今は土手町に大型店自体がほとんどなくなった。大型店といえば、数年前に建ったハッピードラッグくらいで、ルネスが一度再開されたもののまた閉館したままだし、あとは銀行、マンションくらいで、最近は土手町の道沿いに普通の住宅が建てられるようになったし、空き地は駐車場になっている。代官町にいたっては、個人店がなくなり、大きなアパートが建てられており、繁華街というよりは普通の住宅地になりつつある。
中三デパートの跡地についても、何度か東奥日報でも取り上げられ、東京の不動産会社が取得したようで、マンション建設を計画しているという。ただ弘前の中古マンション市場を見ていると、土手町のマンションは中三デパートがなくなったため、以前より売れにくくなっており、近くに食料品を購入できるスーパーがないだけに新築マンションを建設しても売れるか、心配であろう。ここ10年くらいで新たに4つくらいのマンションが弘前でも建つが、最初ほど売れなくなり、ニューキャスルホテルの跡地もそのままになっている。
土手町に新たな商業施設を作っても、もはや客を呼べるようにはならないように思える。少子化、若者の流出に伴い、弘前の人口は相当減っており、大型の商業施設を作っても建築費に見合う集客は不可能であろう。こうした前提の上、実現は不可能と思うが、思い切った方法としては、土手町全体を歩行者天国、遊歩道公園にすることである。今でも土手町を通る車のほとんどはただの道として使っており、仮にこれが通行止めになっても、中央通りなど迂回路はあり、実際、カルチャロードやねぷたで通行禁止になってもそれほど問題はない。土手町で店をしている人から見れば、車が通らなくなると客が来なくなるというが、店の前に車が止まっているのは、蓬莱橋近くのクレープ店の前くらいであるし、駐車場ばかりの商店街は寂しい。
逆に中土手から下土手全てを、公園にして、冬場も完全に融雪、除雪するようにして、ジョギングや散歩するようにできれば、マンション、住宅の住民は家の前に公園になり、また雰囲気のいい公園なら喫茶店、レストラン、などの客も増えそうである。もちろん弘前駅から上土手町のプロムナードを見ても、全く人通りは少ないが、それでもたまには朝市があったり、子供たちが水場で遊んでいたり、高校生のカップルが歩いたりするのは楽しい。条件としては、完全な融雪と除雪で、冬場の大雪の季節でも、ここに来ればスニーカでジョギング、散歩ができる、犬の散歩もOKであることが重要である。冬場のワーキングコースとしてヒロロが解放されているが、それに続く、えきどてプロムナード、さらに旧大成小学校跡地も公園になるようなので、これに土手町が公園化されれば、弘前駅から弘前城までの遊歩道が完成する。自転車道も整備できれば個人的には嬉しい。さらにいうなら土手町で若者が新たな店を出す場合は、市から補助金が出るような制度や、キッチンカー向けの電気、水道施設の完備など、小さな映画館も欲しい。
これは夢のような話で、まず実現することは難しい。すでに土手町側からしか入れない駐車場もあり、車の通行止めになると商売ができないし、自宅がある人も大変である。ただ車中心の社会だから土手町もそれに合わせようとするのはナンセンスで、郊外の大型店舗に敵わない。緑があり、ゆっくり散歩しながら小さな雑貨屋さんや食堂、喫茶店、プティックに入ったり、天気がよければ、外にテーブルと椅子があり、そこでコーヒを飲みながらサンドイッチを食べるのもいい。車社会に対応するために土手町にも多くの駐車場ができたが、欠けた櫛のようになり、逆に来客数は減っている。結局、土手町の車の交通量と買い物客数とは無関係であり、むしろ実際に歩く人の数、買い物にくる人の数を測るべきである。少なくとも土手町を公園化しても今と同じように歩く人は急には多くならないと思うが、それでも居心地のいい空間になれそうである。歩行者優先の設計が必要である。












