青森県の人口減少が凄まじい。弘前市に限って言えば、ついこの前まで19万人いた人口は今で15万人になっており、ほぼ30年で4万人くらいの人口が減ったことなる。出生数も10年くらい前までは年間1200名くらいであったが、今や700名台までに減っている。
さらに高校を卒業し、東京などの都会に進学、就職する若者も多く、年寄りが多く、空き家が多い街になってきた。これに対して青森県、弘前市とも人口減少対策、若者の定着、Uターン、結婚の奨励、少子化対策など色々としているが、今のところ有効な方法はなく、人口減少に歯止めがつかない。
まず若者の都市への流出であるが、これは地元に魅力的な、給与の良い仕事がないことに尽きる。もちろん都会での生活に憧れて東京に出る若者はいるし、こうした人はU-ターンに期待するが、東京より弘前の方が、もし給与が高かったら、どうだろうか。例えば、東京で30万円の給与ではかなり厳しいが、弘前で35万円もらえるなら十分な生活が可能で、そこそこの大きさの賃貸にも住めるだろう。さらに年収で1000万円もらい、持ち家、外車にも乗れるような生活ができるなら、何も東京に行く必要はないだろう。
ではどんな仕事があるか。あればとっくにやっている。回答はない。ただ青森県には、数々の特徴があり、それをどのように住民の高収入に繋げるかということである。まず農産品の自給率は高く、日本の食糧需給を支えている。畜産物では全国10位、水産物では全国9位で、果実生産では全国1位である。また米軍の専用施設面積は沖縄に次ぐ全国2位(9.04%)で、自衛隊についても陸海空の基地を持つ日本有数の防衛基地拠点である。また積雪量は日本一どころか世界でもトップクラスでこれほど雪の多いところはない。また雪質もパウダースノーで北海道に次いでいい県だと言われている。温泉の数は全国で4位、水資源量は9位、電気発電量は原発が稼働していれば全国で8位くらいとなる。また家具の生産量は少ないが、住宅用木製建材の生産では全国トップレベルである。他にはタムロン、キャノン、石岡光学などレンズ、カメラメーカーが多くあり、全国で3位となっている。空気のきれいさのランキングでは全国5位、また世界遺産は白神山地と縄文遺跡の2箇所、国立公園は十和田八幡平と三陸復興国立公園などがあり、国指定重要文化財(建造物)について言えば弘前には23件あり、これは全国では6位にランキングされている。ちなみに1位は京都市、2位は奈良市、3位は日光市、4位は大津市、5位は鎌倉市、6位が弘前市、7位が高山市、8位が姫路市となっているが、日光市は東照宮が中心、大津市も延暦寺とどちらも街の中心に文化財があるわけではない。鎌倉市並みとみて良い。
まとめると、青森県が全国的に優れているのは、農作物、漁業、畜産、果実などの一次産業、日本の国防を担う軍隊、原発が稼働した場合はエネルギー需給、そしてきれいな雪、空気、水などの自然と温泉、文化財、スキー場などが挙げられる。ここからいかに収入の多い仕事を作るかということになる。これからは日本を相手にしてでは大きな収入とはならず、世界に商品を輸出する小さな国としての戦略が必要となる。
まず米軍の基地負担への手当として、沖縄県では年間に沖縄振興費として2647億円、このうち1500億円ほどが沖縄県の予算に乗らないプラスアルファとなる。沖縄科学技術大学院などの予算運営や、他には那覇空港の拡張、首里城の復元、さらに最近できたテーマパーク、ジャングリア自体には国費は入っていないが、周辺のインフラ整備には国費が投入されている。また美ら海水族館や国立劇場おきなわは、100%国費でつくられている。さらにこの振興費とは別枠で辺野古整備費(9300億円―3兆円)が加わる。確かに米軍基地+自衛隊基地面積で比較すると、沖縄県が193平方キロに対して青森県は77平方キロで1/3位しかないが、青森県に入る基地対策費などは150億円くらいで、少ない。せめて沖縄科学技術大学院のような予算の多い学術施設や美ら海水族館のような観光設備をせがんでもいいのでは。三沢基地は最新戦闘機F-35 が日米で90機近く配備されたアジアでも最重要基地である。
あとは青森県、あるいは弘前市の特徴を活かすとすれば、農作物の輸出と観光であろう。観光は雪、温泉、食事、など冬の青森を雪にない国、タイ、ベトナム、台湾、インドネシアなどに売り込む。これらの国の人から見れば、温泉、雪というのは夢の国となる。日本に来る外国人観光客はリピート率が高く、何度も来日する傾向がある。東京―大阪―京都に続く旅行ルートとして青森旅行を目指す。また食について、青森はこれまでいいレストランがないところであったが、最近では若手シェフの活躍で、食のガイドブック、ゴ・エ・ミエでも青森県から8軒選ばれている。弘前は3トックの「陽」、「サッシーノ」、「日香」と2トックの「イルフェーロ」があるが、残念ながら4トック以上はない。ミシェランの星で言えば、3トックで星1くらいとなる。それでも弘前で2、3トックの店が4軒もあるのは十分に海外からのグルメを満足できるだろう。また弘前市内には街の由来を説明する「古町名標柱」が41箇所、立っているが、そろそろ更新時期である。もっと目立つ標柱をたくさん建て、そこにQRコードで標識近くの名所やお店、レストランなどの日本語以外に英語で紹介するなど、観光インフラの整備も必要だろう。
農業に関しては、フェラーリーに乗るような若い農家を作ることが重要である。農家をしてもやりようによってはフェラーリーに乗れるくらいの収入がありますよ。こうしたモデルが大事である。昔、鉄工所をしていた知人のAさんが、息子が跡を継がないとぼやいていた。息子にもかっこいいと思わせことをしたら、赤いフェラーリーに乗りなさいよと冗談で言ったことがある。さすがにフェラーリーには乗らなかったが、包丁、ナイフをミラノサローネ国際家具見本市に出展し、脚光を浴びると、息子が跡を継ぐようになった。農家もかっこよく、収入になるというモデルが絶対に必要である。りんごでもブランド化、大規模経営、ドローンの活用、二次、三次、四次産業への援助、アドバイス、販路拡大など、弘前市ももっと積極的な戦略、戦術をすべきであろう。
人口減少は世界的な問題で、その解決法はないが、それでもジタバタしなくてはいけない。自治体の知事、市長の役目は大きい。サントリーの鳥井信次郎の名言「やってみなはれ」は、青森県民にもっとも欠けている精神である。





