2024年7月12日金曜日

歯科経営コンサルタント1

 


歯科医院を続けていくためは、歯科医も経営について学び、実践していくことは言うまでもない。歯科医院の経営とは、基本的に患者を多く集め、その中から借金、家賃、人件費、材料費などの経費を引いた利益、さらに言うなら可処分所得をいかに増やすかということに尽きる。つまり、収入を多くして、支出を減らし、利益を上げることになる。

 

歯科医院の一般的な経営規模は、歯科医が1名、歯科衛生士が2名、受付が1名というぐらいであろうか。私のところは、いかに支出を抑えるかをメインの経営方針にしているので、歯科医が1名、歯科衛生士が1名、受付がパートの0.5名という体制でここ30年間やっている。最初の2年は、衛生士である家内と二人でやっていたので、人件費は0であったが、たまたま衛生士を募集したところ1名の求人があったので、常勤で来てもらい、衛生士1名と受付(家内)で、さらに5年、そしてお昼からのパートの受付を雇って、今の体制となっている。土曜日や夏休みなどは患者が集中して30-40名くらいになるので、ここ10年くらいは歯科衛生士学校の学生をバイトに雇っている。材料にしてもバーゲンの時に一括購入し、さらにメーカーと個別の交渉し、大量購入を条件に30%オフなどにしてもらっている。家賃は弘前でも格安の古いビルの3階で開業し、その後、2階が空いたので倉庫として借りている。駐車場は5台分借りているが、これも格安である。いずれにしてもできるだけ経費を抑えるように努力している。

 

さらにいうと、技工代を節約するために、平行模型以外は全て自分で作っている。当初は平行模型も自分で作っていたのだが、あまりに手間がかかるために、泣く泣く外注しているが、リンガルアーチ、機能的矯正装置、保定装置などすべての矯正装置は診療終了後、前に自分で作っている。また保険請求もレセコンは導入せずに、ファイルメーカープロを使った自作のものを使っている。歯科の小規模の税務処理は簡単なので最初の5年ほどは自分でしていたが、その後は、税理士さんに頼んでいる。労務処理は家内がしている。

 

最近の開業する若手の先生を見ていると、ほぼ歯科経営コンサルタントに丸投げで、新規開業から、雇用、税務、労務、広告まで全て人任せである。忙しいのでわかるが、ただではなく、いずれも手数料がかかり、結構な額になると思われる。経営コンサルタントが出現してきたのは、ここ10年くらいで、それまで、大規模経営、あるいはチェン店展開をしている歯科医院ではこうしたコンサルタントに相談していた。ところがここ数年、若手の開業医は多くがこうしたコンサルタント会社と契約しているようである。

 

ただ不思議に思えるのは、経営形態の規模である。医院と言っても、私のところの規模は店主と家内と従業員1名、忙しい時は1名のバイトという規模である。近所の小さなラーメン屋以下の規模である。ラーメン屋の損益分岐点は一席、月に20万円、だいたい1日で50-60杯となる。ラーメンの単価を1000円にして月に150万円くらいの売り上げとなる。それに比べて歯科医院の場合の単価は5000円(今は7500円)で、効率はいいが、平均で1日の患者数は23名、月350万円程度とされている。昔の計算方法で言えば、1日の患者数に万をつけた額がほぼ月の点数と言われた。例えば、125名来る歯科医院では、25*500*20=250000点となる。もちろん、今は単価が上がっているし、自費診療分が加算される。それでもまず収入に関する経営規模で言えば、1000円のラーメンを1100杯売るラーメン屋とほぼ一緒である。近所のそこそこ繁盛している小さなラーメン屋とほぼ同じ経営規模である。むしろラーメン屋の方が人件費は同じか、高く(30%)、原材料費(30-35%)について言えば、歯科医院の材料費(6-8%)、技工代(7-9%)を合わせてもラーメン屋の方が多い。何を言いたいかというと、これからラーメン屋を開業しようとする人が、その経営をすべてコンサルタントに丸投げするバカはいない。そんな金はなく、最初は税務処理から雇用、広告も全て経営者が一人でやり、わからなければ友人に聞く。そうでもしないとラーメン業界は厳しい戦場で、すぐに潰れてしまう。歯科医院経営は厳しいとはいえ、まだコンサルタントに支払い金、余裕があるのだろう。

 


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