2008年1月6日日曜日

Q&A 保定とは何なのでしょうか。




 矯正治療をして歯を動かした後は、必ず保定装置を入れなければいけません。1,2年かけて歯を動かし、きれいな歯並びになっても、そのままにしておくと、後戻り(できぼこ)がおきます。それを防ぐために保定装置を使ってもらいます。

 保定装置には色々な種類があり、最も基本的なものは取り外しのできる(可撤式)ホーレーの保定装置と呼ばれるものです。前歯の部分に太いワイヤーが、奥歯には維持装置がついている入れ歯のようなタイプのものです。有名な矯正医の名前に由来するもので、すでに70年くらいはたっていると思います。これに近いタイプのベッグタイプ(オーストラリアの偉大な矯正医、写真左)が現在では主流になっています。その他には固定式と呼ばれるものもあり、これは歯の裏に細いワイヤーをのりでつけて固定するものです。上がベッグタイプ、下が固定装置のコンビネーションが最もよく使われる保定装置です。

 通常、半年くらいは終日(食事や歯磨きの時以外)使用され、その後は夜間のみの着用になります。大学にいたころは2年間使用して撤去していましたが、それでも後戻りがあり、現在では半永久的に使用するように言われています。固定式の場合は、2年たつと可撤式に変更します。当院では2年間は毎日使ってもらい、その後は2日に1回、4日に1回と、頻度を減らし、撤去するようにしています。

 最近では前歯のワイヤー部が透明の樹脂でできたものや、マウスピースのようなものをあります。昨年、宮井先生のマウスピースタイプのessixの講演は大変役に立ちました。当院でも昨年からこのEssix(写真右)を積極的に利用しています。すでに30症例くらいは使ったでしょうか。今のところ、時々紛失がありますが、経過は良好です。使用方法も含めて宮井先生には大変感謝しています。患者さんにも喜ばれています。

 保定装置を使わないため、後戻りをして、再治療をする患者さんが年に数人います。中には10年前に治療終了したひともいます。開業当初は再治療しても保定を使わないとまた後戻りするため、再治療には消極的でした。その後は、説明してもご理解しにくいので、すぐに再治療することにしています。中には2度再治療したひともいます。もちろん調整料以外の費用はかかりません。費用的な負担は少ないのですが、それでももう一度装置をつける必要があり、できれば保定装置をきっちりと使用していただきたいと思います。

 動かした歯がどうして後戻りするかのメカニズムははっきりしません。以前は歯を取り巻く歯周組織、繊維が後戻りを起こすとされ、治療後に歯の周りの組織にメスで繊維を断ち切るということもやっていましたが、最近ではあまり見かけません。咬む力が歯を前方に少しずつ動かし、下の前歯にしわ寄せがくるためとか、成人になってもあごの発育があり、そのため下の前歯がでこぼこになるといった説もあります。私自身、若い時にはきれいに揃っていた下の前歯は今では少しでこぼこしています。これも含めると、とくに下の前歯の後戻り?を防止するのは非常に困難です。

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