2024年3月6日水曜日

車を持っていない、乗らない弘前人の戯言

 
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ゼロミッション都市 オスロ



Car free movement とは市内中心部への車の乗り入れ禁止を行う運動で、すでにヨーロッパを中心に、例えばバルセロナ、オスロ、ミュンヘン市内中心部への車乗り入れ禁止になっている。バルセロナは人口、168万人の大都市であるが、町の構造が碁盤の目のようになっており、そのうち9つの島のような区画が車両侵入禁止になっている。3×3の9つの区画が一つの単位で、一辺が400m近くになる。この区域には登録した車以外の侵入は禁止となり、徒歩と自転車、そしてバス、路面電車が交通となる。同様にオスロやミュンヘンも同じような仕組みで、昔、日本であったような歩行者天国のようなものではなく、ある一定の区域全てが車両通行禁止となる。全て地球温暖化への環境対策であり、やりすぎな気もないが、それでも脱クルマ社会への流れとなっている。2022年度からはパリでも市中心部の4つの区で車の乗り入れは原則的に禁止となり、車の通らなくなった道には植物やストリートファニチャーを置くようになった。さらにイタリアのミラノでも35kmの自動車道を歩行者と自転車専用のする計画があり、こうした流れはもはや世界的に潮流となっている。

 

ただ日本では、こうしたCar Free movementの動きはほとんどない。京都市のような道が狭くて、観光客でごった返しているような地域では、この運動は向いていると思うが、いまだに狭い道に車を通り、歩行者が歩けない場所もある。住民やそこで商売をしている人からすれば、家の前を車が通らないとすれば、荷物の運搬や通勤、通学に不便であると思うだろう。車のなかった時代、たぶん1960年より以前の時代には後戻りできないと思うのだろうが、逆に言えば、それ以前は車がなくても何とか生活できた。車があるのが当たり前の社会になったが、まず車が町からなくなれば、交通事故はなくなる、排気ガスを吸わなくなる、タイヤや道路の粉塵による塵肺や肺がんを減らせる、もちろん地球温暖化の環境対策となる。私自身、車を持っていないが、特に生活上困ったことはなく、大概は徒歩、ごく稀にバスとタクシーで事が足りる。

 

車の通行を禁止にすれば、救急車や消防車などの緊急車両、郵便、宅配、工事車などはどうなるのか、これは許可制にすれば問題ない。冬、雪が降った時の除雪はどうするか、これも普通にすれば良いが、車一台が通る分のみ除雪すればいいのかもしれない。おそらく車の侵入禁止によるデメリットも、工夫すればなんとか解決できるのだろう。私が住む、青森県では、一家に一台ではなく、一人に一台の状況で、どこに行くのも、それこそ100m離れたコンビニに行くのも車を使うのが当たり前である。普通に考えると、車体本体価格、保険、ガソリン代などを考慮すると、月々の負担も相当であり、家計を圧迫しているのは確実であるが、こうした点を指摘すると、車がないと生きていけない、買い物に行くのにどうする、子供の通学はどうするという。もちろん車のない私は生きているし、買い物は自転車か歩いていけば良いし、子供は徒歩か自転車、バスで通学できる。あれば便利というくらいのものである。

 

こうした流れが、ヨーロッパを中心に広まり、今や都市中心部には車が入れないというところが多く、逆に自転車道の拡大が急速に広まっている。また公共交通手段として、電車、路面電車が注目され、廃止となった路面電車が復活するというところも多い。実際、走っている車を見ると、ほぼ90%が車に一人でしか乗っていない。大型のランドクルーザやアルファードに乗る人は、歩行者からすれば迷惑この上ない。一人で乗るならせめて軽自動車で十分である。もちろんこうした大型車が必要なケースもあるだろうが、ほとんどは単に好きという理由で購入している。世界的にはEVカーへの転換を図っているが、そもそも個人ごとに車が必要か、あるいは大型車が必要かという問題があり、業務用以外の自家用車については増税でもよい。タバコ、セブンスターの価格は1970年頃、100円くらいであった。それが今では560円と6倍ちかく値上がりしている。一方、自動車税は1976年の軽自動車の自家用が5200円、令和3年が6900円とほとんど変化はない。タバコは肺がんの原因として懲罰的な扱いで値上げされてきたが、クルマについてはそうした動きはない。

弘前市で言えば、個人的には土手町は恒久的な自動車侵入禁止地区にして、現在の道路を融雪にして歩行者と自転車の道にしてほしい。どっちみち、ここを通る自動車のほとんどは単に通行するだけで、ここを通行禁止にしても買い物客数には変化はないはずである。むしろ、道路の真ん中に小川を流し、周囲に花や木を植え、ベンチを拵え、屋外のカファテラスを設ける方がよほど集客につながるように思えるのだが。弘前駅から上土手町に行くエキドテプロムナードがあるが、あれを土手町全てに拡張するようなイメージである。エキドテプロムーナードは全然、人がいないではないかという人もいるが、どっちみち通行人は少ないのでそれほど変化はないと思える。弘前れんが倉庫美術館を設計した世界的建築の田根剛さんが担当すれば、歴史に残るプロムナードができるかもしれない。

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