2010年5月17日月曜日

旧福島醸造変電所



 桜の季節も終わりました。弘前公園の桜もすばらしいのですが、隠れた桜の名所として毎年行くところを紹介します。弘前大学裏の富士見町にある吉野緑地で、10年以上前ですが、散歩途中でここを発見しました。

 弘前大学の職員や近所のひとにはよく知られたところですが、何の建物かはわかったいないひとも多いようです。

 大きな庭には、古いレンガの小屋があり、あたかもイギリスの農家をイメージさせますが、この小屋が実は変電所なのです。どうりで庭には建物があった形跡がありません。

 明治29年に福島藤助というひとりの若者が酒造りを志しました。幾多の困難の末、一年中酒造りができる製法を完成させ、「吉野桜」という酒を販売し、全国的に有名になりました。一時は一万四千石という大量生産を行い、そのため今住吉町にあるようなレンガ倉庫を10棟も建て、工場機械のために自前の発電所、変電所をもったようです。東北でも一位であったようです。水力発電所は相馬に、そこからこの富士見町で交流—直流の変電を行い、工場に供給していたようです。

 自分が死んでも、りっぱなものを建てれば、後世に残ると考えたようです。この変電所も大正13年もでき、正式には旧福島醸造所変電所というようです。他の倉庫とれんがの種類が同じなのは、よそかられんがをもってきたのではなく、わざわざ自前のれんが工場を建て、そこで作ったれんがを使って倉庫に使ったからです。

 私有地のため、中には入られませんが、外からでも十分に桜の美しさは楽しめます。近くに住んでいないひとにはわかりにくい所にありますが、一度訪れてみてください。

 写真は桜のちり頃の吉野緑地です。もうひとつは夕暮れ時の住吉町のれんが倉庫です。写真は全体的に暗くしてれんがの質感を高めてみました。

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