下村博文文部科学大臣は、小学校における道徳教育の充実を提唱し、道徳教材として使われている小中学生向けの「心のノート」の全面改定に関し「たとえば偉人は歴史、国境を越えて人が人として生きる道標として参考になる。エピソードをいろいろと入れることで生きる勇気や頑張る気持ちを提供する」と述べ、偉人伝を盛り込む意向を表明した。
そして郷土の偉人の存在を子供たちに伝えることで、このような人間になりたい、こういった生き方をしたいという心の高揚をもたらせようとする試みは各地で行われている。弘前市でも、「弘前人物志」という副読本を中学生に配り、郷土教育に使われているが、実際は本を配るだけで、読んでおくようにと、授業で取り上げられることはない。中学生の授業は忙しくて、受験にも関係ない、こういった授業に時間を割けないことが理由であろう。
ただ週に1回、あるいは月1回でもこういった授業をちゃんとして、子供たちと教師がともに学ぶことは大事であり、今後、県外や海外に行っても、郷土のことを知っていることは、人間としての太い幹となる。
どういった人物を取り上げれば、いいか、難しいところであるが、これは将来子供たちがどんな人物になってほしいかによる。私としては、津軽人の特徴、頑固で、周囲が何を言っても自分で正しいと思ったことをやり抜く心構えを郷土の偉人に学んでほしい。そういった観点から候補として
1. 笹森儀助
生涯を日の目の見ない辺境に住む人々に向けた視点はやさしい。琉球、沖縄への探検は、悲惨な生活を送る当時の島人の状況を報告することで、初めて日本政府が取り上げる結果となった。
2.佐々木五三郎
周囲のあざけりにもめげず、独力で東北最初の孤児院を開いたじょっぱり精神はすごい。
3.山田良政、純三郎兄弟
中国人民のために、孫文を助けたこの兄弟は、今日的な感覚的でも日本人にありながらも、外国の人々のために命を捧げるという国際人といえる。
4.菊池幾子(菊池九郎母)、須藤かく
学問をするのに年齢は関係ない、困難な状況にもまけない女性像を示す。
珍田捨巳、一戸兵衛、陸羯南、本多庸一などもいいのだが、子供たちに教えるにはやや内容的に難しい。川口淳一郎という弘前の生んだ、最近の偉人については、映画「はやぶさ」などで取り上げられ、子供たちにも最もポピュラーなものであるが、ここでは敢えて知らない人物がよかろう。あるいは、拙書などを使ってもらい、自分の住んでいる学区あついは近所の偉人を研究するという手もあろう。実際にコンデコマこと前田光世については母校の船水中学では授業に使われている。
英語教育の重要性を知るためには、東奥義塾からアメリカに渡った多くの人物を取り上げ、東京を目指さず、いきなりアメリカを目指した明治の弘前の若者たちの改新性を学んでほしい気がする。多くの若者が東京に行くのも、アメリカに行くのも変わらないやといった感覚で、留学し、海外の大学で博士号をとってくるやり方は、今日でも一部の非常に優秀な学生が高校卒業後に東大や京大に行かず、アメリカのマサチュセッツ工科大学やハーバード大学に学ぶやり方と同じである。こういった先取的なことがもっと弘前でもおこり、弘前高校から東大に5名いくよりは、アメリカのエール大学に2名、イギリスのオックスフォード大学に1名、中国の北京大学に1名、イランのテヘラン大学に1名の方がよほどすごいことであり、はっきりいって、東大を狙う受験はもはや古いやり方であろう。実際に100年前に弘前の若者はこういった選択をしていたことを今の若者に伝える意味はあると思う。
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