2月11日から2月13日まで、第41回日本臨床矯正歯科医会に参加してきました。今回は、仙台で開催され、東北支部の担当でしたので、大会運営にも多少お手伝いをいたしました。非常にいい大会で、大会長の曽矢先生、事務局長の五十嵐先生は本当にお疲れさまでした。
この会は、日本の矯正歯科臨床のベストの先生の集まった会で、その高い臨床技術と姿勢にはいつも敬服いたします。私のような田舎の、そして臨床技術の低いものにとっては、いつも大変参考になります。
今回は、昨年から健康保険に適用になった「6歯以上の先天性欠如歯をもつ不正咬合」にトピックを当てた講演内容となっていました。6歯以上の先天性欠如をもつ症例となると、今回、当会で調べた結果では、矯正患者11972名中57名、0.48%(男性0.66%、女性0.37%)でした。かなり頻度の低いケースです。ことに第二小臼歯の先天性欠如の比率が高く、その空隙閉鎖の方法について、広島の渡辺八十夫先生は、下顎第一大臼歯の近心移動量が3,4mmをすぎると歯槽骨が狭くなり、移動は難しく、歯根の小さな小臼歯の遠心移動となることを示していただきました。よく遭遇するケースです。それに対して、岩手の中野廣一先生は、乳臼歯をヘミセクションし、歯槽骨が狭くならないように工夫して第一大臼歯の大きな移動を達成した症例を展示していましたが、十分に納得のいく方法です。
また神奈川の石川靖夫先生、布川俊彦先生は、先天性欠如歯の頻度が高い唇顎口蓋裂のケースを呈示し、基本的には補綴処置をしないで空隙閉鎖をすること、場合によっては下顎切歯の再植で対処する方法を示され、ああこういった方法もあるかと、大変参考になりました。先日もうちの患者さんで、欠損部を開けた症例に対して、デンタルインプラントで対応しようとしましたが、後で患者さんの親から費用が非常にかかり、きついと言われました。部分床、ブリッジ、デンタルインプラントなどの補綴的な対処法には色々と問題があり、矯正歯科医はあくまでこれらの方法に頼らない治療法を選択することが患者さん、親にとっても最善な方法と認識しました。
以前のブログでもさんざん批判しましたが、「唇顎口蓋裂の歯科矯正治療学」(一色泰成著、医歯薬出版、2003)の症例は、ほぼ骨董的な価値しかなく、この10年の手術法、矯正治療法の進歩は、ほぼ一般矯正と同レベルの治療結果を達成できることは、両先生の症例でみごとに証明されています。もし矯正用アンカースクリューが活用できるようになれば、フェイスマスクのよる上顎骨からの直接牽引や、歯槽骨の垂直的な是正も可能になるかもしれません。いずれにしても石川先生、布川先生の高い臨床技術は、日本、あるいは世界でもトップクラスで、目標にしてがんばっていきたいと思います。
その他、こういった高いレベルの先生方といろいろとお話ができて、大変勉強になりました。といっても帰ってきた早々は、さあがんばろうと思うのですが、すぐにまた日常のまったりした生活になってしまうのが、私の臨床のへたな理由です。
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