2014年2月9日日曜日

中国との関係是正


 いまにも日中戦争が起こるといった危機感を煽る方が日本、中国双方にいます。これは現行の日米安保条約を考えればありえないことで、中国がアメリカと戦う危険性はおこしません。その時は、第三次世界大戦の勃発になりますから。

 尖閣列島付近での偶発的な衝突は仮にあったとしても、双方の話し合いで解決せざるをえないことは明白です。先の日中戦争でも、その歴史を見ると、開戦までに多くの日中間の偶発的な衝突がおこっていますが、それでもお互いの政府は、陳謝と損害賠償で決着しています。

 日米防衛協力による指針では有事の際、米軍が自衛隊基地を使用できるのと同時に、逆に自衛隊が米軍基地を利用できます。沖縄にはアジア最大の航空基地、嘉手納基地があり、ここには3700mの滑走路が二本あり、武器、弾薬の補給も十分にできます。もし沖縄付近で有事の際、自衛隊がここを使用すれば、運用上、非常に強い武器となります。一方、中国からはこの基地は絶対に攻撃できない対象となります。攻撃は即、米軍への攻撃となりますので自動的にアメリカとの開戦に繋がります。絶対に叩かれない基地を利用しながら、敵の基地をたたける訳で、他人のふんどしで戦うことになりますが、これは強い抑止力となります。アメリカ軍がいるから抑止力となるのではなく、自衛隊がアメリカ軍基地を使えることが抑止力となっているのです。敵に絶対にたたかれない基地を持つことができるのですから。

 アメリカ政府としては、こういった有事を避けたいのが、やまやまで、そのため日中間の現在の状況を危惧しているのです。お隣、韓国では、前の大統領、盧武鉉は、国内の反米ムードに踊らされ、戦時作戦統制権の返還と基地の国外への移転を求めました。米軍にとっても、お荷物、韓国を切り捨てる覚悟ができたのか、それに従うことになりました。ところが、ここが韓国らしいのですが、ふと我に返ると、米軍がいなくなると抑止力がなくなることに気づき、今になってあれはなかったことにしてくれと泣きついています。

 こういったことを考えると、日中双方でいたずらに危機感をあおることは全く意味がなく、早い時期に日中間の紛争の火種を消す作業が求められます。韓国の例を出すまでもなく、マスコミ、世論に迎合せず、将来を考え、日中のトップ会談を期待したいところです。先の大戦でも、軍部、政府とも戦争回避への努力を行ってきましたが、結局は朝日新聞に代表されるマスコミの世論が好戦的になり、そのムードに呑まれたのが実情でしょう。当時のマスコミの主張は、暴支膺懲(ぼうしようちょう)という言葉に尽きます。生意気な中国はけしからん、懲らしめてやれという考えです。(私は朝日新聞購読歴、57年ですが、この新聞社は先の日中戦争では開戦をたき付け、今は逆の立場をとりながら、慰安婦問題、南京事件など事実と異なる報道をして、韓国、中国との紛争の種をまいています。全く反省のない会社です)。

 粛々とアメリカとの防衛協定を強化し、沖縄米軍基地を使った日米共同訓練を繰り返しながら、牽制するとともに、尖閣については領土問題に触れないという棚上げにして、日中の関係是正を図るのが知恵のあるやり方と思われます。中国のメンツを考えると、何らかのアクションをして、国有化以前の状態に戻すことが求められます。国有化から沖縄県有化、あるいは一切の人工建設物を作らない自然保護区にするなど、日中の落としどころを作るのが老獪な政治家のやる仕事です。

0 件のコメント: