外国人観光客というと、個人旅行、夫婦による旅行を思いがちだが、実際、日本に来る外国人観光客、とくにアジア諸国からくる観光客は団体旅行を望む。ひとつには言葉が全く伝わらないという不安感と、おそらくは初めての外国旅行という心配もあるのであろう。さらに言うなら、旅行の目的として、みんなの行かないところに行きたいが、どういう風にいくか、わからない、ちょっと怖いという思いもあるだろう。
娘が海外旅行したいというので、探していると、アメリカ、ヨーロッパではやっているコンチキツアーという団体旅行、修学旅行が見つかった。例えば、「ヨーロピアン ホライズン」というパッケージは、イギリス、ロンドン集合で、そこからパリに2泊、スイスアルプスに2泊、ベニスに1泊、オーストラリアチロル地方に1泊、ミュンヘンに1泊、ラインバレーに1泊、アムステルダムに1泊の計10日間の旅行である。費用は1145-1289ドル、日本円で約12万円、かなり安い。というのは、この旅行は飛行機など使わず、1台のバスで上記コースをひたすら回っていくのである。宿泊ホテルはユースホステルやロッジなど比較的安いところを利用する。18歳から35歳と年齢が限定されており(一部ツアーは年齢制限がないが)、一人旅でも宿泊は同性の他の旅行者と同室となり、ツアーが終わる際には、みんな友人となる案配である。旅行者は各国から集まるので、語学研修、国際交流を目的に参加する日本人学生も多い。ツアーマネジャーもいるので、旅行地での多少のトラブルは回避できる。感想を見ると、旅行よりはそこで知り合った知人との思い出が多いようだ。
実はこのコンチキツアーのアジアコースは、タイ、インド、ベトナムがあるが、日本がないのである。是非、日本版コンチキツアーをしてほしいところである。東京、大阪、京都といったありふれたコースは面白みにかけるので、ここは思い切って東北6日間旅行はどうであろうか。東京集合、仙台、松島(泊)、浄土ヶ浜、盛岡(泊)、八甲田、十和田(泊)、弘前(泊)、角館(泊)、秋田(泊)、東京、私の高校の時の修学旅行コースであるが、なかなか外国人が行かないコースである。春夏秋冬、なかなか見応えのあるコースであるし、十分にバスで移動できるであろう。このコースで朝食付きで600ドルであれば、東京にいる海外からの留学生も参加するかもしれない。ホテルはできるだけ安い日本旅館、お寺、民宿など、外人が絶対に泊まらないところがいいだろう。バスでの移動距離が長く、その間をいかに楽しめるか、そして現地で、いかに穴場のところを案内できるか、ガイドがポイントとなる。できれば中国人観光客には中国人のガイドが、タイの観光客にはタイ人が、欧米諸国は英語でいいだろう。
バスでの旅行なので、例えば、弘前に来ても、弘前城、ねぶたの里、禅林街などあらゆる観光地にそのまま行ける。効率がよい。みんなで大鰐のワニカムに行ってもよいし、夏だったら、禅林街のお寺に泊まってもよい。
確かにJTBなどによる外国人向けのツアーはあるが、結構高いし、東京、京都などのお定まりのコースが中心で、若者向けの安い団体旅行はない。こういった旅行は、各地に昼食、夕食代、おみやげなどの収入をもたらすので、訪問地の市町村による協力と財政的な補助があってもいいのかもしれない。
団体旅行というと、最近は年配の方を対象にしたものが、多いが外国人観光客も含めて若者を対象にした新しい形の団体旅行を提案してほしいものである。
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