雪、温泉、料理。どれも観光客、とりわけ外国人観光客にとっては、魅力的な素材である。青森県は周囲を日本海、津軽海峡、太平洋に囲まれ、内陸にも白神山脈を始めとした山、そして奥入瀬川に代表される川もある。そこから採れる豊富な魚、山菜、野菜など食材には事欠かない。また世界で最も雪が多く、温泉数は北海道、長野、新潟の次ぐ四位で、温質もさまざまのものがある。最初に挙げた雪、温泉、食材、すべて豊富な県である
中国、台湾、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムなどのアジア諸国は今や大きく発展し、中間層の増加とともに、活発な海外旅行ブームが来るのは、過去の日本を見てもはっきりしている。40年前になるだろうか、日曜日の朝、兼高かおるの「世界の旅」を見て、一生に一回でも海外に行きたいなあという夢を誰もが一度は見た。未だに番組の最後に、スポンサーをしていたパンナムジェットの飛行姿を思い出すひとも多いだろう。それがJALパックで庶民にも何とか行ける金額となり、爆発的に海外に行く人が増えた。農協の団体旅行に恥ずかしい振る舞いが話題になったのもこの頃である。この状況が今のアジアに近い。これまで夢でしか行けなかった外国に行けるようになった。何処にいくのか、そりゃ、あこがれの的で、欲しいものが多い、日本でしょう。
東京、大阪、京都、さらに最近では富士、箱根などが海外旅行者の黄金人気ルートであるが、リピーターは違うところに行こうとする。その候補が沖縄、北海道など日本人にも人気のある場所で、さらに北陸新幹線の開通とともに金沢も人気がでるであろう。それでは東北はというと少し古い情報だが(平成25年度)、外国人旅行者の延べ宿泊者数660万人のうち、東北六県の合計で75720人、宮城県20020人、岩手県15130人、福島県14060人、山形県10150人、青森県8480人、秋田県7880人となる。青森県で見ると、全体の0.13%となる。東京の0.4%に過ぎない。青森県より少ない県は、秋田県(7880人)、福井県(4820人)、鳥取県(7580人)、島根県(2410人)、徳島県(3250人)、高知県(5330人)で、沖縄県は187250人と青森の20倍以上である。外国人観光客にとって青森は知られていない土地なのである。
アクセスは青森空港、新幹線があるので、問題はない。ただ魅力的なスポットが少ない。住んでいる弘前市について言えば、春の桜祭り、夏のネブタは知名度が高く、観光客も多いが、それ以外の観光はほとんど知られていない。弘前城にしても城としては全く面白みに欠き、見るべきものはない。これならまだリンゴ公園の方が、季節が合えば、おいしいリンゴが食べられるだけましである。
まず観光客にとって、最も魅力があるのは、宿泊と料理である。これも金持ち向けのハイクラスと庶民向けのお得クラスが求められるし、個人客か団体客かといった選択もある。先見性のある星野リゾートグループは、青森には三沢にある青森屋と大鰐の界・津軽を作った。前者は旧古牧温泉、後者は錦水であり、お得クラス・団体とハイクラス・個人にしていて、日本人観光客へのスタイルを外国人観光客にも適用していると言えよう。どちらも今後のアジアからの集客が見込める。
ホテル、旅館など県外から出店を促すのも刺激になるし、季節限定で行っているバル(スペイン風居酒屋で少しずつ食べる、チケット制)を観光客限定で年中するのもいいし、高級ロードレーサーやマウンテンバイクのレンタル、街歩きの充実(外国人向け、先祖探し、歴史専門、穴場)など、色々やってみて、失敗してもいい。弘前駅の観光案内所も、さらに進めて“観光コンシェルジュ”となるべく、英語、中国語に対応して、観光情報を発信してほしいところである。
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