2015年4月23日木曜日

なぞの画家 芳園 2




 2012.12.23のブログでシンシナティー美術館所有のなぞの画家“芳園”について書いた。その後、ヤフーオークションのアラーム機能を使って“芳園”がついたオークションをずっと探していた。かなり多くの芳園が引っかかってきたが、これまでシンシナティー美術館、大英博物館が所有する“芳園平吉輝”、“芳園輝”の名のつく作品は発見できなかった。

 ところが10日程前に、始めて“芳園輝”の署名の入った作品がオークションに出された。薄い墨の濃淡を用いた画風は似ており、また署名も近い。西山芳園という幕末から明治にかけて活躍した四条派の画家がいて、人気があるため贋作も多い。今回の作品は、落款、画風が西山芳園と全く異なり、贋作するならもっと似せるべきで、また落款も単純に”芳園”とすべきで、敢えて“芳園輝”という落款はしないだろうと考えた。

 3000円からのスタートでもう一人と競り合い、結局15500円で落札した。昨日、作品が届き、床の間に掛けてみたが、しみや折れが多く、作品も迫力がない。一応、写真にとり、シンシナティー美術館のホウメイさんにメールしたところ、贋作との結果であった。署名の書体は似ているが、他の作品の署名に比べて勢いがなく、躊躇があること、同様に作品自体も迫力がなく、また印章が全く違うなどの点を挙げ、贋作の可能性が高いということであった。本物だったら寄贈しようと思っていただけに残念である。

 一応、手持ちの落款辞典から印章の落款を調べると、「淳子印」と読める。ジュン シカンと読むのか。全く該当者はいない。また木箱には“石崎蔵”の署名があり、松山の富岡鉄斎の絵のコレクターの石崎家を考えたが、どうも関係なさそうである。これほどの目利きであれば、こういった贋作はつかまされないだろう。

 西山芳園の贋作の中から、“芳園吉輝”の真作を見つけようとしたが、だめであった。本当に軸物の鑑別は難しく、今では全く無名な作家であっても、当時人気があれば、贋作が多く出され、それがそのまま残っている。まあ贋作を掴まされたといっても15000円ほどの出費であったので、カラスのユーモラスな掛軸を買ったと思い、日常の床の間の飾りに使うことにする。ついでに西山芳園について、その画集などチェックしたが、このなぞの画家、芳園輝、芳園吉輝とは画風、署名が全く異なることがはっきりした。高い画力を持ち、贋作まである作家ながら、現在、情報は全く残っていない。作品が極めて少なく、西山芳園の作品に紛れ込んでいる可能性があるため、今後とも着目したい。
 *近代デジタルライブラリーの明治15年、絵画出品目録の中に、兵庫県、岸派、滋野芳園、号蟾麿という画家が載っている。これは農商務省が主宰した初めての官設公募絵画展覧会で、滋野は「御陰山水」、「水辺花鳥」、「人物」、「月二浪」の四作品を出品している。

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