2015年4月19日日曜日

日本のお風呂文化



 海外では日本のようなお風呂はありません。一般家庭の風呂はシャワーの受け皿のようなもので、バスタブに入って、そこでシャワーを浴びて体を洗います。たまにはバスタブにお湯を張り、浸かることもありますが、日本のようにお風呂にお湯を張り、体を洗うのは洗い場でという習慣はありません。

 うちにも過去に二名程、アメリカからの男女高校生を4か月間くらい預かりましたが、彼らは結局一度もお風呂に体をつかり、くつろぐということはなかったように思えます(直接見たわけではありませんが)。たまに温泉に連れていけば、旅館などの大きな風呂には入りますが、家の風呂には入らないようです。他の人が入ったお湯に浸かるのが汚いと考えているのかもしれませんし、聞いてみると熱くて入っていられないといっていました。

 ところがALTなどの長期に日本に住み、積極的に温泉に行くようなひとは、最初は熱くて、なかなか日本人のようにはリラックスしてはいれないが、次第に好きになって、アパートの小さな風呂でも、そこに熱いお湯を張って、ゆっくりつかるのは何よりリラックスするというひとがいます。

 こういった傾向は欧米でもあるようで、檜の本格的な日本式風呂を家に作り、夫婦でゆったり入るというのが、流行ってきています。日本に旅行、住んでみて、日本式風呂が気に入ったひとが増えてきたからでしょう。さらにはドイツでは日本式の温泉をうたったホテルも登場しているくらいです。といってもほとんどの外国人は日本式の風呂はだめのようで、数十年日本に住んでいても、シャワーが主体という方も多いのが実際です。

 こういった生活習慣はなかなか変えられないものですが、昨今の海外でのすしブームを見ると、そうとも言えないかもしれません。2030年前まで火を通していない生の魚を食べる習慣は外国にはなく、未だに多くの外国人にはマグロの寿司を旨いとは思っていないと思いますが、流行ということで食べているうちに次第にうまく感じるようになってきたのだと思います。よく味はわからないが、食べているうちに馴染み、うまく感じるようになったのでしょう。同じように毛嫌いせずに日本式のゆっくりお湯につかることも、慣れれば快適になってくるのでしょう。ただこれを家に作るとなると難しくでしょうが。それでも屋内での土足厳禁の家は、掃除をする主婦の強い支持を集め、次第に海外でも一般化しており、海外のインテリア雑誌をみていると、北欧ではかなり普及しているようです。

 TOTOなどのユニットバスメーカーも、これまではもっぱら国内向けでしたが、今後は使用用途、値段、デザインを変えることで、アジア、欧米も含めた海外への展開が可能かもしれません。追い炊き機能などは日本のメーカーしかありません。実際に見た訳ではないのですが、韓国の一般住宅の風呂は便所と一緒で、洗い場はなく、欧米と同じ使い方をしていますし、中国、台湾も同様です。洗い場で体を洗い、バスタブには肩までつかってリラックスするという日本独自の風呂を楽しみ方、それに金をかける文化。今後は、もっと世界に普及していくのではないでしょうか。

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