この歳になると、どうも怒りぽくなって困る。先日のユナイテッド航空のオーバブッキングによる乗客引きずり事件でも、航空会社の対応には他人事ではあるが、ひどく腹が立った。すでにユナイテッド航空の株価が急落し、1000億円以上の損失が出ているといわれているが、今後、信用回復には相当な期間がかかり、影響は大きい。ちょっとした社員の対応の悪さで、大きな影響、場合によっては会社が倒産するようなこわい時代となった。
カボ社のCT、3D eXam +については、2015.7.2の私のブログにも、誇大広告の可能性があり、問題点を指摘したが、最新号の矯正臨床ジャーナルの同社の広告でも全く、反省の色がない。
Low Radiation Dosage
劇的に低い被ばく線量。新しい超低線量撮影モードでは、パノラマ約半分の実効線量で3D画像を取得。
とあり、その根拠を“Assessment of phantom dosimetry and image quality of i-Cat FLX
cone-beam computed tomography. John B. Ludlow and Cameron Walker,
AJO-Do,144(6),802-817, 2103”とある。
AJO-Do (アメリカ矯正歯科学会雑誌)は20年以上購読しているので、早速、探して読んでみると、“パノラマ約半分の実効線量”という表現は、同論文にはない。同論文の結論では”
QuickScan+ effective doses are comparable with conventional panoramic
examinations. Significant dose reductions are accompanied by significant
reduction in image quality. クイックスキャン+の実効線量は通常のパントモに匹敵する。(ただ)顕著な線量の減少は画質の顕著な低下を伴う
I-Cat Cone beam 3DはOEMとしてカボ社に全く同じ機種を卸しており、カボ3D eXam +と同一機種である。この論文では、クイックスキャン+の画像は悪いが、一度、撮影したところの確認など、被爆線量はかなり軽減されるので用途によっては活用できるとしている。ちなみに同論文ではクイックスキャン+の平均線量(11)、クイックスキャンでは4倍(46)、標準では7倍(82)となる。あくまでクイックスキャン+は限定的な使用に限られた撮影法である。ちなみにI-Cat社、カボ本社のカタログやホームページにも被ばく線量の減少は唱っているが、“パントモの半分”という表現はカボジャパン単独のものである。
別にカボ社に恨みがある訳ではなく、営業妨害しているわけではないし、I-Cat社のCTは優れた機種であることは認めるが、こうした歯科医師に誤解を与えるような表現は医療機器を販売している会社としては、十分に注意してほしい。実際、CTのような高価な機器を導入すると、何でもかんでも撮影したくなるのは気持ちとしてわかる。その場合、“パントモの半分の被ばく線量”とい思い込みが、患者にもそうした説明をするし、また歯科医自身も安易に撮影してしまう。もし裁判で小児ガンの発生を訴えられた場合、このたった一つの表現でカボ本社を揺がす大きな問題になる可能性がある。それ故、医療機器メーカーはより安全域をみた宣伝表現を行う必要がある。
私自身、それほどX線の被ばくには神経質ではないが、矯正歯科におけるCTの活用は、専門家である日本歯科放射線学会でもかなり制限されており、それほど頻繁に撮影されるものではない。最近、新たに歯科用コーンビームCTのガイドライン(案)が出たので参考にしほしい。ヨーロッパのガイドラインにほぼ準している。
歯科用コーンビームCTの臨床利用指針 (日本歯科放射線学会 編)
http://www.dent.niigata-u.ac.jp/radiology/guideline/CBCT_guideline_161019.pdf
私自身、それほどX線の被ばくには神経質ではないが、矯正歯科におけるCTの活用は、専門家である日本歯科放射線学会でもかなり制限されており、それほど頻繁に撮影されるものではない。最近、新たに歯科用コーンビームCTのガイドライン(案)が出たので参考にしほしい。ヨーロッパのガイドラインにほぼ準している。
歯科用コーンビームCTの臨床利用指針 (日本歯科放射線学会 編)
http://www.dent.niigata-u.ac.jp/radiology/guideline/CBCT_guideline_161019.pdf
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