2017年4月14日金曜日

北朝鮮問題



 北朝鮮の核実験、ミサイル発射などの挑発活動に対して、いよいよアメリカ、トランプ政権が攻撃するかという声が高まっている。一般のアメリカ人にすれば、これまで北朝鮮はほとんど関心のない国であったが、いよいよICBM(大陸間弾道弾)でアメリカ本土が核攻撃される可能性が出て来たため、俄然、注目されるようになった。今のところ、核兵器は小型化されておらず、ICBMとなるミサイルも未完成なので、切迫感はないが、それでも数年以内にそうした兵器が完成するとなると何らかの強硬手段を検討するようになった。

 北朝鮮は世界でも最貧国のひとつで、国家予算も乏しい。そのために最も金のかからない自衛手段である核兵器の開発の全力を尽くしている。ただ通常兵器にまで金を回す予算がないため、主力兵器の多くは1960年代のもはや骨董品といわれるようなものしかない。そのため、仮に原爆を完成させたとしても、爆撃機や潜水艦による運搬、発射は現実的ではない。例えば、1トンの原爆を運べる爆撃機は1948年にソ連で開発されたイリューシン28しかなく、攻撃と同時に瞬時に撃墜される。また潜水艦もミサイルを発射できる潜水艦は1970年代のロメオ級しかなく、これまた外海にでれば、一撃で撃沈される。唯一の運搬手段は、力を注ぐミサイルしかない。通常弾頭のミサイルは1トンくらいで、1000発のミサイルを持っていても、精度、威力とも第二次世界大戦のV2ロケットほどの威力しかなく、V2ロケットはイギリス本土に1300発発射され、死傷者は1万人程度、一発での死傷者は10人程度となる。実際、現在でミサイル迎撃システムが発達しており、さらに発射基地の探索、攻撃も迅速なため、北朝鮮の実力からすれば、百発以上の戦果はないと思われる。それでも無差別攻撃をすれば数百人以上の死傷者はでると思うが、通常弾頭による攻撃は限られている。青森県でも在日米軍基地、三沢米軍基地と車力のレーダー基地があるが、有効射程1500-2000kmのノドンミサイルでは、精度は1000m以上と悪く、基地を叩くだけでも数十発以上は必要であり、効率的ではない。

 核兵器の使用のみが、北朝鮮にとって唯一の手段であり、他の選択肢はない。人類史上、核兵器が使われたのは広島と長崎しかなく、それを北朝鮮が使うか、そうした状況は想像を越える。仮にアメリカ本土、米軍基地に核兵器が使用されれば、自動的にアメリカによる報復攻撃は行われ、数百発の水爆を含む核攻撃がなされ、北朝鮮は完全にこの世から消滅する。理性を多少とも持ち合わせる指導者なら、この選択は絶対にしない。さらに核実験に成功しても、実際にミサイルが目標にきちんと着弾するか実験をしないかぎり、実戦で使うのはおぼつかない。数少ない核ミサイルが未発、迎撃されても、結果は同じで、アメリカによる徹底的な攻撃を受け、北朝鮮は消滅する。


 今回は、アメリカ軍の攻撃ばかりが注目されているが、すでに中国は北朝鮮国境に北部軍を中心とした15万人以上の兵力を集結している。もし北朝鮮が警告を無視して核実験、ミサイル発射実験をすれば、アメリカは部分的な空爆とミサイル攻撃をすると思われる。それを口実に北朝鮮の要請ということで、中国、北部軍は北朝鮮の利益確保のために、地上軍を侵入させ、政権の転覆と親中の集団指導体勢を築くかもしれない。今のところ、中国支配下の北朝鮮の図式が国際関係で望ましく、日本、韓国、アメリカ、ロシアからの同意も得られる。ここ二週間がヤマ場である。

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