2017年4月3日月曜日

新しい弘前市立図書館に望むこと

大型スキャナーを使わなくてもデジカメで大丈夫

 41日から弘前市立図書館が民間の指定管理業者が運営、管理するということで、早速、昨日行ってみた。とくに変わった点はなく、入り口ロビーに自販機が置いてあったり、本を消毒する機械が設置するくらいであった。一番、期待していたWiFi環境が館内自由に使える点であったが、これは一階の閲覧室のみで、二階は使えない。I-podを持っていったが、結局は二階での資料調べは、I-phoneを介して携帯の電波を利用した。おそらく二階には学生の自習室があるので、無線ランが使えないようにしているのだろう。また二階には国立図書館デジタル資料へのアクセスするシステムがあるので、これとの関連もあるのかもしれない。今のところ、民間にしたメリットはあまりないが、これは少しずつ、デメリットも含めてはっきりしてくるのだろう。

 もう一つの目玉は、古典書籍のデジタル化の予算がついたことである。確か1200万円ほど予算がついたと思うが、これまでほとんど予算がついていなかっただけに、これは大きな進歩である。ただ内容を見てみると、41日の陸奥新報によれば、デジタル化する書籍は新編弘前市史の通史編2、3と年表・牽引編および引用されている資料86点と大型古地図16点、あるいは稽古館資料、奥文庫などとされている。

 ここで杞憂になれば幸いだが、まさか東京の業者などに頼んだりはしていないだろうか。古地図などの大判の資料を直接スキャンするとなると畳二枚分くらいの大型スキャナーを必要とする。昔、所有する明治二年弘前絵図をデジタル化する時にそうした仕事に定評のある東京の会社に見積もりを立てたところべらぼうな金額が提示された。ところが地元印刷屋に頼むと、こうして大型のスキャナーはないが、部分部分をカメラで撮り、収差を補正して張り合わせることでデジタル化できるという。見積もりさせると東京の業者の十分の一くらいになった。明治二年弘前絵図、明治初期地籍図の2点について、そちらでデジタル化してもらったが、全く問題ない。さらに東京の業者に資料を送るとなると貴重品扱いになり輸送コストも高くなるが、地元の業者であれば、出張あるいは車で運べる。
 デジタル化する業者はすでに決まっているのかもしれないが、こうしたことも含めて十分に討議したか、あるいは地元の業者にも入礼案内を出したか、知りたい。折角予算がついたなら、いかに安い費用で大量の書籍のデジタル化ができるか、これは重要なことである。地図、絵図などの大型書籍を除く、一般書籍はそれほど高精度にスキャンする必要な全くない。いかに重要な書類であっても、その画像を百倍して観察する必要はなく、字さえ読めれば十分である。とくに江戸期に書籍は大きな字で書いているため、高精度のスキャンはいらない。昔、図書館に富士通のScanSnapという原稿読み取り機械を寄贈しようとしたことがあるが、これは五万円くらいで、これを自動的にページめくりする図書館専用機種になるとこの百倍くらいとなる。年配の方で古典書類に興味があり、ある程度、コンピューター作業もできる人を半分ボランテイアで雇った方が安くつく。停年となったシニア世代の活用を考えるべきである。一日五千円に日当で、二百日で百万円、一枚当りのスキャン速度が3秒で、百ページくらいは一日で十分にスキャンできるだろう。年間で百冊以上、二万ページはいけると思う。五年で五百冊以上デジタル化できれば、津軽家文書などおおまかな資料のデジタル化はできるし、大型絵図にしてもデジカメによる分割スキャンですれば、二百万円あれば、二十点以上はスキャンできる。

 こうした観点から見ると、1200万円の予算にしては、もう少し大量の書籍のデジタル化が可能のように思える。さらにデジタル化を進めるなら、地元新聞のデジタル化も是非ともしてほしい、東奥日報社で言えば、社内では、過去の新聞のデジタル化を確か終了しているとようだ。現在、図書館では過去の新聞はマイクロフィルムをリーダーで読むようになっているが、検索機能がついておらず、手間がかかる。東奥日報社も過去の新聞のデジタル資料を少なくとも県内の図書館に寄贈するのが、地域の知の牽引者としての務め、使命だと思われる。対処をお願いしたい。

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