弘前の矯正歯科に関する掲示板で“広瀬じいさん ほんとに大丈夫”と酷評され、ちょっと落ち込んでいるが、よく考えると私も今年で62歳、目は見えず、髪の毛も薄く、どうみてもじいさんである。投稿者の言う通りである。ちょっと前までおじさんと言われ、むっとしていたが、それにも慣れ始めた頃、今度はじいさんと言われる。これからはじいさんとして生きていかなくてはいけないのだろう。
同級生もみても、自営業、医者以外そろそろ退職になる年齢で、いわゆる隠居の身分となる。平均寿命からすれば、あと17年程が老年期、じいさん期となるのだろう。うちの場合、矯正歯科専門にしているので、下は3歳くらいから上は60歳くらいもいるが、大体30歳くらいが上限で、患者の多くは孫世代である。自分が患者だと思うと、じいさん先生ではなく、もっと若くてハンサムな先生に見てもらいたいだろう。それでもここ数年、患者数も増え、ありがたいことである。
今の若い世代は百歳まで生きるというが、今年生まれた子供が老人になる西暦2100年ころは、どうなっているのだろうか。たぶんIPS細胞の研究が進み、ガン治療の革命的な方法が見つかり、ガンによる死亡は少なくなり、結果的には寿命は延びる。一方、生殖については、発展途上国が消失することから、地球上すべての国で少子化が進行する。そうなると100歳くらいの両親、70歳くらいのその子供、そして40歳くらいの孫、10歳の曾孫という家族構成は普通になり、現行の年金制度は確実に破綻する。おそらく年金生活が送れるのは75歳以降になるし、そこまで普通に働くようになる。
肉体労働は、しばらくは開発途上国からの出稼ぎ外国人で穴埋めされるだろうが、それもいずれ不可能になり、逆に年配者が農業、生産、建築、介護に参入することになる。当たり前だが老人は体力的に若者に劣るためロボットスーツ、パワースーツなどの活用がキイとなる。農業、建築、生産などさまざまな分野で肉体労働は、いくら自動化が進んでもなくならず、そうかといって若者はもう少し創造的な仕事をしてほしい。そこで人口構成で余っている老人世代が肉体労働に廻される。例えば、ネット社会が進むと、物の購入はすべて通販が主体となり、その配達が大きな問題となる。現状ではトラック運送が主体であるが、早晩、運転手不足となるため、本当の意味で必要なのはリニア新幹線ではなく、血管にあたる輸送専門の真空チューブ列車である。九州から北海道まで真空チューブ輸送網ができれば、運搬は主として県単位のエリアに限定できる。さらに無人輸送車ができれば、もっと下部まで自動的に物資の輸送ができ、町内単位くらいから老人による配達となる。ロボットスーツを着用すれば、冷蔵庫くらいの運搬も一人でできるだろう。
1930年ころの青森県総覧をみていると、80歳前後でご長寿者として顕彰されているが、今では100歳を越えないと長寿として本に載らない。老人になり体のあちこちがだめになってきても、メガネで視力をカバーするように、ロボットスーツや機械、車の自動化により体力、頭脳の衰えがカバーでき、年寄りが働くのが当たり前の時代が来るかもしれない。その時代では私ごとき60歳はまだまだじいさんとは呼ばれないのだろう、と気休めにしたい。
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