他の2作品あります
最近の現代アート作品には、額縁はほとんどなく、キャンバスをそのまま壁にかける。薄い紙に描かれた作品は、少し奥行きのある額縁に浮かせて飾る。額縁の中を壁に見立てて、そこに発泡スチロールを入れて少しかさ上げし、作品が浮いたようにする。あるいは白木、白のシンプルな額に入れ、マットをせずに、絵の四隅がそのまま額の周縁になるようにする。
私の場合は、一般額よりは奥行きのある立体額というものが好きで、病院で飾っている絵は、白木の立体額にすることにしている。大きさや色、額の種類を統一すると、見た目が美しい。今回は、ヤフーオークションで絵本作家のたばたせいいちさんの“ダンプえいんちょうやっつけた”の原画を4点と日本学童ほいくの表紙原画1点を購入したので、それに合う額縁を買った。“ダンプえんちょやっつけた”の原画はマジックで書かれており、また絵本で文字が書かれているところは空白である。間が空いてしまうので、絵本をコピーしてその文字を切り取り、原画に貼り付けた。原画だけでは、つまらないが、きちんとした額に入れると見違えるほどよくなり、一種の現代アートとなる。白黒の作品はオシャレである。
原作の“ダンプえんちょうやっつけた”は、100ページを超えるもので、一般的な絵本に比べるとかなり長い。保育園や幼稚園の子どもには長すぎるように思えるが、内容がこうした年齢の子供のツボにハマるのか、1978年以来すでに200刷以上のロングセーラーとなっている。何回かに分けて読み聞かせをするようだが、子供たちはあまり飽きないようである。子供の冒険心をかき立てるのだろう。これまで23枚の原画が売られ、今も4点の作品が出展されている。おそらくは出展者は全ての原画を持っていると思われ、もうしばらくオークションを賑わすだろう。流石に累計で200万部以上売れており、又吉直樹さんや広末涼子さんも推薦する“おしいれのぼうけん”については、草稿用の表紙案が一度オークションにでただけで、本に使われた原画そのものは出ていない。というにはこれだけ人気作品なので、あちこちの会場で原画展示会が行われ、来場者も多く、原画そのものをオークションに出すことはない。
たばたせいいちさんの作品で次に売れたのが、手に障害を持つ女の子を描いた1985年発行の“さっちゃんのまほうのて”で、これは65万部のベストセーラとなった。この絵本の原画も、国内のあちこちで原画展が行われている関係上、オークションに出された作品は、試作やモチーフにしたものが多く、これも今のところ原画そのものは出ていない。アマゾンで調べてみるとたばたせいいちで検索される作品は7点くらいあり、“おしいれのぼうけん”、“さっちゃんのまほうのて”に順番になっていることから、その次に売れているのが2004年発行の”ひ・み・つ“で、の次は”ダンプえんちょうやっつけろ“と続く。このうち確実に絵本の原画として出ているのは”ダンプーー“のみである。
はっきり言って、原画はマジックインクで書かれているために、コピーと全く区別がつかない。唯一の違いは、出版社に渡すときに原画は大きな紙にセロファンテープでとめられており、それが40年の年月で、テープ跡が黄色く変色している。最初、何とか脱色しようとしたが、よく考えれば、それが原画の唯一の特徴であり、残しておいた方が良い。絵本の原画は世の中にただ一つと考えると、欲しくなる誘惑にかられる。悪い癖である。
|
0 件のコメント:
コメントを投稿