2019年12月1日日曜日

アートのプレゼントは

マッティ・ピックヤム


丸山直文


たばた せいいち


 新築、開業、結婚祝いなど、誕生日やクリスマス以外でも、プレゼントする機会が多い。子供の誕生日では、洋服や靴でもサイズや好みを知っているので、それでも悩むが、プレゼントする品の種類は多い。前から欲しがったいたものを、デパートや最近ではアマゾンで購入して送ったり、現金が良ければ、それもありと考えている。ただそれ以外の人にプレゼントするとなると、プレゼントの選択は非常に悩む。

 プレゼントする場面でも異なるが、例えば、新築や開業祝いであれば、2万円くらいが予算の限度となる。この予算の中でと考えると、インテリア雑貨が候補となり、デパートや雑貨屋さんに行ってあれこれ悩むわけである。これが意外に難しく、例えば定番の壁掛け時計を考えると、1万円以下の安い時計は結構多いが、それ以上高いのになると、数は少なく、私の好きなアルネ・ヤコブセンの時計となるといきなり4万円以上となる。これは高すぎる。では壁にかける絵はどうかというと、2万円以下となると、版画でそれも比較的小さいものとなる。デパートなどの額縁店に併設されたインテリアアートで可愛い作品がたくさんあり、新築祝いや開業祝いなどには喜ばれる。一時期は、こうしたリトグラフ印刷の可愛い作品をプレゼントに送ることが多かった。

 神戸のMarkkaという雑貨屋さんは、北欧の雑貨を中心に扱っているが、その中でも、フィンランドの絵本、雑誌イラストレーターのマッティ・ピックヤムサの作品を多く手がけている。どういう経路かわからないが、ここでは彼の雑誌や絵本の手書きの原画が出ている。油彩のものもあるが、多くは水彩画で動物や人間を描いたユーモラスな絵で、楽しい。値段も原画にしては安く、数千円から2万円以内で、額縁を購入してもそれほど高くはない。ただ最近では人気があるのか、HPで商品を表示するとすぐに売れてしまう。原画を購入し、大きさに合わせて“額縁のタカハシ”という会社に注文する。オーダフレームを扱っているが、とりわけ立体額の木地のものが好きで、絵の大きさに合わせて額の大きさとマットの大きさを決めて、注文する。普通の大きさで34000円くらいなので、原画と合わせても十分に2万円以下となる。安いといっても版画ではなく、一点ものであり、価値はある。ある人の新築祝いの送り、大変喜ばれた。

 シンシナティーの美術館の方がこられた時には、何か日本らしいお土産と考えて、決めたのが版画である。といっても現代ものではなく、古い浮世絵を考えた。江戸時代のものはコンデションが良いものは高いので、明治浮世絵を検討した。その中で、色使いはいささか派手な点はあるにしても、外国人に喜ばれるということで、揚州周延の浮世絵をヤフーオークションで探した。周延の浮世絵は、数が多いこととから、コンデションの割に安い。といっても通常15000円くらいするので、さらに0円スタートのものを待っていると、二枚、1万円くらいで手には入った。本来なら額に入れれば、よりよく見えるのだが、荷物になるので、折れないファイルに挟んで二人のアメリカ人女性にプレゼントした。これも大変喜ばれた。

 ここ1ヶ月ほど、絵本作家のたばたせいいちさんの原画が大量のオークションで出回っている。雑誌表紙や絵本の原画、草稿画が中心で、作家はまだ在命であるが、どうしたことか、大量に原画がネット上に出ている。もちろん全て肉筆原画で一点物である。その中でも人気の高い絵本、“さっちゃんのまほうのて”、“おしいれぼうけん”、“ダンプえんちょうやっつけた”などの原画の人気が高い。この中では“ダンプえんちょうやっつけた”は白黒の多分、マジックペンで描かれた作品で、シンプルで美しい。カラーの作品に比べて人気も少ないために、数千円くらいで落札できた。絵本原画なので、文字が入る場所が空けられているので、一応、絵本も買って、コピーした文字をそこに足して壁にかけている。なかなかよく、他の人のプレゼント用にもう二つ購入した。
 プレゼントの選択に困っている人は、こうしたオークションを利用する手もある。

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