中央弘前駅と大鰐駅を結ぶ弘南鉄道の大鰐線が3年後には廃止するという報道があり、近隣住民、弘前市、大鰐町が大騒ぎになっている、朝、夕の通学時間は沿線に東奥義塾、聖愛学院などがあるため利用者も多いが、それ以外の時間は一部の鉄道マニアを除いてガラガラの状態が続いている。一度、大鰐に飲み会があり、最終便で弘前に帰ったことがあるが、大鰐から3名乗車し、途中で2人降りて、結局弘前まで乗っていたのは私だけだったということもあった。
サイクルトレインや、大鰐にあるワニカムという温泉への入浴料付きの乗車券など色々な試みがなされているが、乗車数の減少に歯止めがきかない。これでは経営的には存続が非常に難しい。全国的の私有鉄道の中では、赤字幅の少ない路線ではあるが、これ以上の運営は税金の投入が必要で、逼迫した弘前市、大鰐町の財政から無理と経営陣が判断した結果であろう。これはこれで市民に迷惑をかけない、いい考えであろう。確かに弘前市や大鰐町、あるいは近辺住民、学生にとっては大きな問題で、存続を希望するであろうが、現実は一向に乗車数の向上が望めず、減少の一途をたどっている。
言うはやすく、行うは難しいもので、廃止には反対するが、そうかと言って大鰐線を利用するかというとそうではない。車の方が便利であるというのが圧倒的である。車をやめて電車に乗るという流れは今のところはない。実家のある大阪では、例えば、西宮から梅田まで電車で行くのに20分くらいだが、車で行くと渋滞のため1時間以上かかる。こうなれば車より電車を選ぶであろう。こういった金銭的、時間的なメリットが弘南鉄道にはないからであろう。ただの愛着だけでは無理なのである。
同じことは昔住んでいた鹿児島市の谷山線でも鹿児島市内に行くのに車では、渋滞で時間がかかり、また定時に到着できないので、市電を使う住民も多かった。車に比べて何らかの時間的、経済的なメリットがなければ、単にエコにいいからというハイソな理念から乗車増は望めない。弘前から大鰐まで30分かかり、JRよりは遅いが、これはそれほど大きな問題とはならない。一番、大きな問題は料金とアクセスであろう。
アクセスについては、北九州市のモノレールのように弘前駅に乗り入れれば、便がよくなる。現在の中央弘前駅手前から東北女子短大、郵便局前の大きな道に抜け、中央通りを曲がり、弘前駅に乗り入れることは可能かもしれない。相当な費用がかかる上、現行の電車では乗り入れない。ライトレールにしても市電に近い、小型のものになろう。
料金についてはJRとあまりに値段が違う(大鰐線420円、JR230円)。100円バスに見られるように値段が安くなると利用者数は、増える。通勤、通学時間以外の時間帯については、ヨーロッパでよくやっている、信用乗車方式、それも1年間、1万円くらいで、家族の誰が使っても、また子供2名、大人1名くらいなら同乗できるようなパス(定期)を使う手もあるだろう。
全く現実的ではないが、理想論から言えば、次世代型路面電鉄(LRT)のような車両で、一家にパス一枚あれば、どこで乗り、降りてもOKといった方式で、さらに15分間隔の運行であれば、利用者は増えるだろう。
利用者側の利便性、運賃、そして経営者側からの損益、こういった関係について、さらなる専門家による検討が必要であろう。当然、存続させるなら、県あるいは市による財政上の補助は必要となろうが。
上は札幌市電、下は名古屋の豊橋の新型車両である。
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