2015年7月22日水曜日

安全保障関連法案


 慰安婦問題で物議をおこしている関東学院大学の林博史教授の軍備放棄論を一部紹介します。長文ですが、社民党、日本共産党の論理に近いものです(http://www.magazine9.jp/interv/hayashi/hayashi.php)。


編集部
 戦争をするべきじゃない、というよりも、もはや「できない」社会になっているということですか。
 そう。安全保障の問題も、社会のあり方がまったく以前とは変わってしまってるんだということを前提にして考えないといけない。そうすると、理念として軍事力を放棄すべきかどうかということは別にしても、戦争は「できない」んだからしない、戦争をしてしまうとそれだけで人々に想像を絶する被害がでてしまう、そうするとそこで武力を持っていることに何の意味があるのかということになります。
 日本の場合でいえば、完全非武装までは行かないにしても、今の自衛隊のような強力な軍事力はいらない。せいぜい国境警備隊程度で、日本列島の外側で守るという選択肢はあり得るけど、そこを破られたらもう、手を挙げるほうがいい。そこで戦争を始めてしまったら、とんでもない犠牲が出るんですから。
編集部
 それが、犠牲を最小限に抑える現実的な手段じゃないかということですね。
 そうです。「軍隊を持たない」「非武装を貫くべきだ」などというと、なんだか非常に立派な人格者みたいだけど(笑)、そうじゃなくて、もっと自分のエゴで考えても、軍隊を持たないほうがかえっていい。自分の身が一番大事だからこそ、軍事力はないほうがいいんだということ。それが自分にとってもいいだけでなく、ほかの人々、ほかの国の人々にとってもいい。


 国境警備隊程度の軍備なら、北朝鮮、韓国、中国、台湾、ロシアなど日本の周囲の国から簡単に侵略されますので、防衛は放棄し、攻撃されたら、すぐに白旗を上げて降伏するということです。共産党、社民党の基本的なスタンスはこういったものです。国内が戦争となる国土戦の悲惨さは、沖縄、サイパンを見てもはっきりしており、国土戦にならないように防衛力を高め、抑止力としているのですが、こうした平和主義者は周辺の国と話せばわかる、外交でなんとかなるという善人論から組み立てています。ECとなって国境がなくなり、周辺国からの侵略の可能性が低い状況でも、欧米各国が依然として軍備を減らさない理由を全くわかっていません。一度、欧米の政治家の前でこの平和主義持論を披露してほしいものです。まず笑われます。

 安全保障関連法案についても、民主党の左派(社民党)と右派の整合性は全くなく、ただ反対という印象しかありません。こうした政党が再び政権をとれば、空想的平和主義に後退し、万が一の事態がおきた場合、管元首相のようにパニックになり、逆に自衛隊員を特攻隊のように扱う危険性が高いくらいです。緊急の事態は起こってほしくないが、起きた場合のシュミレーションをして法整備をしたのが、今回の法案です。国際紛争における欧米各国の常識的な対処法を、日本ができるようにしただけです。民主党は、最初この法案は徴兵制に繋がると反対していましたが、近代軍隊の常識をしらない素人で、こうした素人集団に国の防備を任せるのは危険だといった声が自衛隊、軍事専門家にあがったことから、すぐに撤回しました。反対の内容はこんなもので、左派の学者も同様です。こうした学者の反応は、ポーツマス条約後、ロシアへの強硬政策を表明した東大教授など七博士意見書を思い出します。この意見書を読んだ伊藤博文は「なまじ学のあるバカ程おそろしいものはない」と言っていますが、今回の法案に反対する学者、文化人の言動も同じようなもので、ここは政治家として世界情勢をよくみて、真剣に決めてほしいものです。民主党も、東日本大震災の混乱に乗じた中国、ロシア領空侵犯や韓国の竹島ヘリポート改修など、冷徹な国際関係を身にしみたと思いますが、政権を離れるとまた、昔の能天気な発想になっています。こうした軍事無知の政党が再び、政権をとれば、大震災の折、あの自衛隊、消防隊にむちゃな命令を出したように、竹槍で突っ込めと言い出しかねません。この法案に対する海外からの反応も、中国と韓国を除き、概ね賛成で、これで少しは日本も普通の国になったというものです。中国、韓国にしても、内心では、それほど反対していません。


 弘前の原子昭三先生は、教師時代、原水爆反対運動に熱心でしたが、どうも運動がアメリカの原水爆実験に反対するばかりで、ソビエト、中国の核実験には全く触れないのに疑問を持ち、運動から離れます。60年も前のことです。今の市民活動派は、日本の原子力発電所には反対するが、もっと危険な中国、韓国の発電所には全く声をあげません。同様に沖縄は、中国からの脅威には全く声をあげないのに、逆に強力な抑止力となっている米軍に反対します。韓国でも、朝鮮戦争は現在、休戦中でありながら、敵対国の中国、北朝鮮に同調し、味方のアメリカ、日本と敵対しています。どうもおかしなことです。

7/23 民主党の徴兵制復活の恐怖を煽るリーフレットは党内の常識派の意見で一旦差し止めになりましたが、その後、枝野幸男幹事長が強引に押切り、配布することになりました(”週刊オブイェクト”)。徴兵制の経済的な負担、近代戦の様相を全く理解しない民主党の一部の方が、合理性を無視して徴兵制を施行する可能性があるという識者もいます(”北大路機関”)。

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