2016年9月15日木曜日

アニメ映画”君の名は”



 新海誠監督のアニメ「君の名は」、評判が高いので、見に行って来た。55歳以上は1100円なので、おじさんの暇つぶしには映画はいい。平日の午後一番の上映で20-30人、入っていたので、最近の映画ではヒット作であろう。昔、「坂の上のポニョ」を見たときは、観客が私一人であせったことがあった。

 内容は、ずばり傑作である。今後、海外での上映も控えていることから、興行収入はかなりいけそうで、個人的にはジブリの上位作品、「となりのトトロ」、「天空の城ラピタ」あるいは今敏監督の「千年女優」級の作品で、これだけ、日本アニメファンが世界中に広がっていることから、今後上映される海外でもヒットすることは確実であろう。

 なにしろ細部のかき込みが凄い。人物は従来のアニメ表現を踏襲しているが、背景、景色のかき込みがジブリ作品をはるかに凌駕しており、それがまた美しい。写真ではないかと思えるほどで、一部、実写にアニメは迷い込んだような違和感を感じるほどである。こうした凝り方は監督が若くなくては無理であろうし、男女、それも高校生の恋愛の表現は、アメリカのアニメとは全く異質であり、日本特有のものである。こうしたいかにも日本らしいアニメは海外では受けないとされてきたが、もはやピクシーやディズニーアニメとは違うファン層が形成されている。

 上映前にLサイズのコカコーラを飲んだせいか、上映途中からトイレに行きたくなり、急いでトイレに行ったが、終盤の2、3分を見過ごした。結構いい場面で、残念である。これは全体にもう一度見ないといけない。名作「ある日どこかで」も一度は完全に見たが、内容を十分に理解できず、二度目は深夜放送で途中寝てしまい、三度目も同じく深夜放送で違うシーンで寝てしまい。しまいにはビデオを買って、最後までようやく見ることができた。さすがにもう一度映画館には行かないと思うが、少しネタばれになるが、主人公の二人の3年間のタイムラグがどのように再現されているか、例えばIphoneの機種などチェックしてみたい。

 記憶、それも顔、風景の記憶はじつにはかない。高校生のころ、阪急塚口駅で毎朝会う背が高くてスリムな女子中学生に恋したことがあった。卒業後、数年してたまたま電車で彼女に会い、彼女も気づき、声を掛けようとした瞬間に走って逃げられたという苦い思いがある。現実は、映画のようではない。それでも数年は夢に中にもはっきりと顔を思い出せたが、10年たち、20年たち、40年以上経つと、セーラー服を着た漠然とした姿は思い出せても、肝心の顔のイメージがでてこない。一枚でも写真があれば、記憶を随時補強することができるのであろうが、そうした媒体がなく純粋の記憶というには案外もろい。大事な人を想っていても、年月は記憶を風化させ、これは悲しいことであり、写真のなかった昔の人が肖像画を作ったのはこうした記憶の欠点をよく理解していたのだろう。写真、携帯電話のメール、声の記録などがなくなってしまい、唯一、字(手紙)のみが残った状況での記憶の曖昧さと記憶がなくなる悲しみを、この映画はうまく表現している。

この映画は確実に海外でもヒットするであろう。映画では日本の都会と田舎の美しい風景を描いていて、これを見て日本に来る観光客もますます増えるであろう。

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