先日、 横浜の海外移住資料館を訪れたときの体験であるが、館内に入ると数名の年配の方のボランティアが緑のベストを着て館内の説明を行なっていた。こうしたボランティアの一人に私が研究している“須藤かく”について質問すると非常に丁寧は応対をしていただき、さらに資料室は閉鎖中であったが、わざわざ担当者と交渉して、会えるように手配してくれた。
たぶん70歳以上の方だと思われるが、こちらが恐縮するほど丁寧に対応いただき本当にありがとうございました。これからの日本は高齢化がさらに進み、いかに年配の方をうまく使うかが重要となってくる。一つには図書館、博物館など公共設備へのボランティアの活用である。図書館はすでに高齢者の溜まり場となっていて、朝から晩まで弁当持参で毎日通っている人もいる。そこまで行かなくても本屋で本を買うことなく、すべて図書館で本を借りる人は結構多い。少し本格的になり、何かを研究するようになると、弘前市立図書館で言うと、二階の資料室に来て、あの本をもってこい、これに関係する本はないのかと図書館員をこき使う御仁もいる。
これは全国的な流れであり、会社を辞めて年金生活者になると、パチンコ、麻雀、将棋、釣り、映画などに行くようになるが、金がかかる趣味は嫁から批判的に見られるため、最終的には図書館に行くのが、もっと誰からも何も言われない暇つぶしとなる。また図書館主催の無料の講演会や古文書教室などがあり、これらに参加する老人も多い。これからの図書館の活用を考える場合、こうした老人をどう取り扱うか、あるいは活用するのかが大きなテーマとなる。
一つは、老人を図書館サービスに活用することである。本の貸し出し、整理などの受付業務に活用する方法で、これについては実際に行なっているところも多い。ただ蔵書のデジタル化などはコンピューターの知識が必要なため、もう少し若い方をパートで雇って従事しているようだが、これも適性をよく見れば老人であろうが十分にできる。さらに学校の先生や郷土史の専門家であれば、県外からの研究者や先祖を調べる方への対応も十分にできるであろう。さらに進めば、“津軽の冬”といった大きなテーマについて、数十人のボランティアで分担して研究することもできるであろう。研究会のようなものを作って各自持ち寄った資料を吟味して最終的には本とするのもいいだろう。弘前市では弘前城を案内する無料ボランティアガイドが、もう十年くらいになるのか、積極的に活動している。いい見本である。こうした活動はもっと多くの公共機関で実施して欲しいところである。図書館だけではなく、弘前博物館でも横浜の海外移住資料館のようなボランティアガイドがいても良い。2年後にはレンガ倉庫に新しい美術館ができるが、こうした施設にもボランティアガイドが欲しいところである。
女の方は、年配になっても、友人と出かけたり、サークルに入ったり、運動をしたりして中々忙しい。それに較べて男性、とりわけ仕事一筋だった方は、定年後、何をして良いか分からず、暇をもてあそぶ。ロータリークラブの一種に、退職者やセミ退職者によるプロバスクラブがある。青森県にも青森市、六ヶ所、五所川原にあるが、残念なことに弘前にはない。ロータリークラブに較べて会費が安く、例会にも参加しやすくなっている。ロータリークラブは会社が定年などで辞めると退会することになるが、弘前ロータリークラブでも退会者を中心にプロバスクラブを作ろうとする試みがあったが、いつの間にか、立ち消えになった。こうしたボランティアクラブも年配の男性が入るにはいいのかもしれない。週一回、必ず皆に会うというのがいのだろう。自分自身もすでに年金をもらっている年齢になっており、そろそろ老後の生活を考えなくてはいけない。先生は郷土史などをしていて、老後は大丈夫と言われるが、本格的な研究となると大量の資料を読まなくてはいけないため、いくら暇があっても体力がなければできるものではない。
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