2019年2月1日金曜日

小児歯科



 青森県の矯正歯科の認定医は10名、口腔外科の専門医は16名、歯周病専門医は3名、補綴専門医は9名、小児歯科専門医は2名となっている。医学部でみると整形外科専門医は青森県だけでも158名、日本消化器内視鏡学会専門医が124名、リューマチ専門医は21名、さすがにマイナーとなる日本婦人科腫瘍専門医は3名しかいない。全国の専門医数で見ると一番多いのは外科専門医で21275名、続いて整形外科専門医が17280名、小児科専門医14940名となる。一番少ないのは肝胆膵外科高度技能専門医が61名である。概して医科では、専門医の種類も多く、また専門医の数も多いのに対して、歯科はそれ自体が医科の専門と見做すことができ、専門医の種類の少ないし、専門医の数も少ない。一つは、医科、歯科とも大学は六年であるが、研修医は歯科が一年、医科は二年となる。その後、大学に残る場合は外科や内科の大学院に進むことになる。最近は医科では博士号より専門医の取得を目指す学生が多いため、大学院に進まずに臨床研修機関で臨床を学ぶことも多い。その後、4年間の大学院あるいは五年の専門教育で博士あるいは専門医の資格を得て、大学の助教などを経て、病院勤務あるいは開業となる。早くて開業するのは40歳以降となる。それに対して、歯科では大学の医局に残る学生は少なく、開業医での勤務を経て30歳頃には開業することが多い。そのため最初に見たように医局に残らないために専門医の数が非常に少ない。

 例えば、小児歯科の専門医は青森県では2名、一人は青森市、もう一人は三沢市で、弘前、五所川原市などには1名もいない。一般の方からすれば、一般歯科と小児歯科専門医の区別はつかないと思うが、私は、今は小児歯科をしてないが、小児歯科の医局に三年いた経験からすれば、まず治療の内容が違う。虫歯があって、治療する場合も小児歯科では必ず、麻酔、ラバーダム防湿をして例えレジン充填でもまず二次カリエスになることはない。なぜなら充填も確実にやるだけでなく、その後も定期的に歯磨きの指導、フッ素塗布などをしていくのからである。さらに虫歯が神経までいった場合では、その後、予後が悪く、歯根に膿を持つ場合があるが、それでも一般歯科医より予後は良いという自負はすべての小児歯科専門医が持つであろう。さらにいうと子供治療に特化しているため、治療スピードも早く、これは障害児の治療では重要である。東北大学の小児歯科にいた時も何度か全身麻酔下での治療を経験したが、1時間くらいで8本の生活歯髄切断と乳歯冠を行う。これはかなり慣れが必要となる。最近、青森県でも障害児に対する歯科治療をする施設ができ、そこには大学から口腔外科の先生が出向するようだが、おそらくは若手の先生が派遣され、抜歯はできるかもしれないが、他の小児歯科治療ができるとは思えない。むしろ岩手医科大学か東北大学から小児歯科の先生を派遣してもらった方が良いだろう。

 ただ小児歯科専門医もなかなか大変で、専門開業をしている友人によれば、ほとんど子供の虫歯がなくなり、来院する患者の7割は虫歯がないし、虫歯のある子供にしても虫歯の軽度である。歯髄処置、乳歯冠などの処置は年に数度くらいしかないと言っていた。昔は来る患者、来る患者、ほとんどの歯が虫歯だった。東北大学では、乳前歯はレジン充填、臼歯部はインレーか乳歯冠だったが、鹿児島大学では、ほぼすべての症例でラバーダムを乳犬歯、第一、第二乳臼歯のかけ、麻酔をして1/4ブロックで治療していた。どんな症例も4回で直すようなシステムで、レジン充填か乳歯冠で処置し、乳前歯はサフォランド塗布で終了だった。もはやこうした大掛かりな治療をする症例はほとんどなくなったのだろう。

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