2019年3月1日金曜日

矯正治療の時期は


 先日まで、アメリカから来たお客さんといろんなことを話し合った。私が矯正歯科医だと知ると、一人のアメリカ人は子供四人いてみんな矯正治療を受け、ご主人はインビザラインによる治療を今、受けていると言っていた。矯正治療がかなり一般的なことがわかる。同じシンシナティに住む高校の日本人の後輩から以前、東日本震災の応援をする小学校の映像を送ってくれたことがある。三学年くらいの生徒が登場したが、半分くらいがメタルのブラケットをつけていた。中学、高校になって矯正治療することもあるので、感覚的には2/3以上は矯正治療を行っているのだろう。これは民間保険で半分くらい治療費をカバーしてくれることもあるし、アメリカ人は基本的にはケチであるが、将来的に子供の選択を狭くしないように努める。例えば、歯並びが悪いと日本でもアナウンサーにはなれず、子供がそうした夢を持っても諦めなくて済むようにする。おそらくアメリカ人の矯正人口を見れば、ひどい歯並びで矯正治療をしていない人の不利益は日本をはるかに超えるであろう。就職でも歯並びが悪くて断られることもあるだろうし、結婚などにも影響するだろう。そうした意味では2/3以上の人が矯正治療をするということは、もはや矯正治療はワクチンなどと同じように必ずしておかなくてはいけない義務のようにもなっているのかもしれない。

 先々週のことだが、ロータリークラブの中には高校生が入るインターアクトクラブ、大学生、社会人のローターアクトクラブとの合同例会があった。隣に高校生が四人ほどいて、どんなことは話しているか聞いていると、歯並びのことを話しており、一人が矯正治療をしたようで、他の子供達もしたいようだが、費用が高くて親に言えないようだった。私のところにも、親に矯正費用を出させるのを遠慮して、高校、大学を卒業して、就職してお金を貯めて治療をする患者さんが多い。以前、来た患者さんは中学の頃から歯並びが気になり、高校3年間一生懸命バイトして当院の基本治療費40万円を貯めた生徒がいた。高校三年生の冬に当院に来たが、卒業後は東京の専門学校に行くというので東京での治療を勧めた。東京では基本治療費が80万円くらいかかるので、またバイトすることになろう。かわいそうである。

 私が思うのだが、子供は矯正治療費を心配してなかなか親に切り出せないが、思い切って話してみれば親は何とかするのではと思っている。うちの場合、基本治療費は分割も可能で、半年ごとに10万円ずつでいいので、成人式に振袖はいらない、レンタルしないと約束すれば、何とかなるように思える。さらに言うと、親は子供ができれば毎月3000円ずつ、年間36000年を10年貯めれば矯正費用が賄える。アメリカ人の場合、医療保険を使うと言ったが、こうした矯正貯金をしている家庭も多い。矯正治療をするベストな時期は、骨格正反対咬合や上顎前突では早い時期の方が良いが、でこぼこなどでは、永久歯が全て生えた13歳以降で、本人がしたい時期が良い。具体的に言えば中学2年生から高校1年生頃が良い。高校二、三年生は卒業までに治療が終了せず、転医になるため、私のところでは断り、卒業後の治療を勧めている。つまり高校生では1年生のみ受け付けている。同様に大学生についても大学1、2年生なら受け入れるが、34年生も卒業して県外に出ることが多いため、受け付けていない。

 矯正歯科の場合、お金のことも大事であるが、いつから始めるかも大事である。できれば高校卒業までには矯正治療終了するのが望ましく、子供は案外、親の懐具合も気にしているもので、親からいい時期になったら、子供に治療を勧めた方がいいのかもしれない。子供にとって、大学生でいい歯並びであることのメリットは大きい。
矯正をしたいと思うなら、地方では高校卒業後に県外に就職、進学するためにできるだけ高校一年生までに治療を始めることを勧める。

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