2020年6月11日木曜日

弘前レンガ倉庫美術館 行ってきました

白い部屋は事務所です。

倉庫だった頃の窓からの風景

美術館の窓風景、黄金色の屋根が美しい




 6/1から弘前市民限定で弘前レンガ倉庫美術館がオープンしたので早速、行ってきた。ネット予約開始の日、9時からの予約に合わせて、15分前からコンピュータ前に陣取って、準備した。さあ9時だ、予約しようとしても、画面が動かない、30分くらい頑張ったが、全く予約画面まで行かないので、そのまま諦め、2時間後にもう一度、トライした。今度は問題なく予約できた。それほど予約者はおらず、どうもプログラム上の問題があったのだろう。30分間隔で二十名に制限した入場で、新型コロナウイルス対策である。


 最近の美術館でおしゃれであり、作品もいわゆる額縁に入った絵を眺めるものではなく、空間を生かした造形的な作品がほとんどであった。これは十和田現代美術館や金沢二十一世紀美術館同様で現代美術館の流れである。今回は、弘前をテーマとして新作の展示物が主体であったが、すでに来館した数人の知人に聞いても、あまり面白くないという感想が多かった。正直言って私も最後の潘逸舟の作品以外は期待はずれであった。潘は幼少期から弘前で育ったため、その作品に強いノスタルジーを感じさせた。暑い夏の日の気だるい感覚や漠然と焦る青春の一コマをそこに見た。潘が若い頃に弘前で感じた感覚を表現したのだろう。

 弘前の現代美術館と言えば、まず奈良美智の作品を期待するが、今回のオープンには“弘前犬”と奈良の写真のみが展示されていた。数年前のA to Zなど奈良の一連の展覧会を見たものにとって、今回の展示は少し期待はずれであった。主として奈良が数年前にサハリンで撮った写真が展示されていたが、確かに彼の感性によって切り取られた原風景なのだろうが、“Thank You Memory”、弘前の記憶をテーマとした展示物としてはわかりにくい。むしろ潘の作品の方が、直接弘前に関係するものはないにもかかわらず、テーマに沿い、いろんなことを思い出せる。うがって考えると、もともと奈良自身、この美術館のオープニングに出品するつもりはなく、急な要請で仕方なく写真を展示したのかもしれない。母方の祖父が樺太(サハリン)にいたという。2階ライブラリーの窓からの移り変わる景色の方がよほど面白く、弘前生まれの奈良としては新作を発表できなかったことは残念だったろう。

 美術館オープンにあたり、弘前市、運営者と奈良の間に何かあったのかもしれないが、館長も決まったこともあり、いずれ彼の大掛かりな展示会を開いてほしい。今回は新型コロナウイルス騒ぎで、大々的なオープニングができなかったが、完全収束した暁には、歴史的な”A to Z “などの展覧会を超えるユニークな奈良の作品展をしてほしい。コロナウイルスのよる世界の混乱、そしてポストコロナの世界、これに対するアーティストとしての答えを是非、作品として表現し、人々に問うてほしい。

 美術館の隣にはおしゃれなレストランができて、自家製アップルシードルを注文した。昼間からお酒は少し抵抗があるものの、美味しく、量もあり、美術館に行った折は是非、トライしていただきたい。

PS:今年のねぷた運行は中止となったが、疫病払いのねぷた運行はするべきだと提案した。陸奥新報によると市内で手持ちねぷたを飾ろうとする動きがある。扇灯籠、角灯籠、金魚ねぷたの3種類のねぷたをねぷた師に依頼して運行コースに重ねて展示するという。素晴らしい考えであり、是非とも実行してほしい。さらにいうなら、ねぷた師に依頼するのは、ねぷた師を経済的に支える点で大事だが、市民も自分でねぷたを作って家の前にもっと展示すればどうだろうが。金魚ねぷたなどは、竹ひごや和紙などの入ったキットがあれば、何とか素人でも作れそうであり、中に小さなLEDを入れて家々ごとに飾れば、それは美しい光景となる。また今までにない独自の灯篭や金魚ねぷたを作ってもらい、例年通りに各賞を与えるのもいいかもしれない。



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