BS朝日で毎週火曜日の夜10時から放送されている“サウナを愛でたい”は面白い。ヒャダインと濡れ頭巾ちゃんという二人が全国各地のサウナを訪れ、そこで“ととのう”を体験するだけの番組で、以前は特番扱いであったが、今年の4月頃からレギュラー化して、毎回、だいたい2件のサウナを訪れ、そこのサウナ、水風呂、そして食堂を紹介する流れとなっている。
私自身、銭湯や温泉でサウナがあれば入るが、それほど好きでもなく、ましてやサウナ後の水風呂などとんでもない、“ととのう”と言った経験もない。第一、100度を越すサウナ室から20度以下の水風呂に入れば、血管は急激に収縮して、血圧は上がると考えてしまう。血圧が140以上になり、半年前から降圧剤を飲んでいる私にとっては見るだけの経験となる。ましてサウナ後の水風呂は多分、ヒートショックで死んでしまうだろう。
それでもこの番組が面白いのは、サウナというもはやレトロな文化を新たに紹介している点である。ここ10年ほど新しいタイプのサウナ、フインランドサウナ、組み立て式のテントサウナを屋外に持ち出し、そこでサウナと自然を楽しむ若者が増えている。アウトドア、キャンプと掛け合わせた流れで、みんなで車にキャンプ用設備、食事とともに、小型の持ち運びできるサウナを持ち込み、自然の中で裸でゆったり過ごす、こうした息抜きに人気がある。
サウナで汗をかき、水風呂に入り、ととのい、そしてビールを飲む、至高のくつろぎであろう。もともとサウナは記憶によれば、昭和30年頃には各地にスチームバスとマッサージが流行った。箱型のスチームバスで汗をかき、その後、若い女の子がマッサージをしてくれというシステムである。ただこれは次第に少しHな方向に進み、トルコ風呂と言われるようになり、尼崎のうちの近所にあった“尼崎サウナ”もそんなところであった。その後、銭湯が客呼びのためにサウナを付属するところが増え、また愛好者が増えるにつれて飲んだ後にサウナに入る人が多いことから飲み屋街にもビジネスホテルとサウナが一緒になった施設が1970年代頃から出てきた。さらには1990年代からは大型のスーパ銭湯が出現し、これまでの高温サウナが苦手な人でも大丈夫な低温サウナ、ミストサウナなどが出てきた。さらには最近の流れは女性用のサウナが充実してきて、女性のサウナファンが増えている。
番組を見ていると、古いサウナ施設は、ものすごく昭和が残っている空間で、昭和がそのままそこでストップしている。私のような昭和生まれの人には別に珍しくもないが、若い人にとって、これほど昭和が色濃く残っている施設は少なく、番組で紹介されているサウナ施設は隠れた穴場として面白い。流石に若い女子が行くには勇気が言えると思うが、それでも二、三人で、こうした古いサウナ施設を回るのは楽しそうである。コロナ騒ぎで、壊滅的な被害を受けたのはこうした昭和にできた古いサウナ施設であり、2020.10.13に紹介された横須賀の“サウナトーホー”も9月の閉店とのことだし、同じく千葉県木更津の“サウナきさらず つぼや”も経営は厳しそうであった。番組を通じて、宣伝してもらい、何とかお客さん、それも若い人に是非とも行って欲しい。もう少し頑張ってもらえば、サウナのリバイバルは起こるように思う。新型ウイルスは80度の高温で死んでしまうので、サウナで体ごと殺菌し、その後も人と喋らなければ、感染リスクは案外低いようにと思う。
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