2020年10月18日日曜日

外国の方との不思議な体験

 




 昨年の日本矯正歯科学会は長崎で行われ、もっぱら観光に費やした。その折、不思議な体験をしたので話してみたい。

 

 折角長崎に行ったのだから、世界遺産となった軍艦島を訪れようと思った。上陸できないが、軍艦島を周遊できる1時間くらいのツアーがあり、前夜にネットで予約し、出航するターミナルに着いたのが朝の9時頃。すでに何人かの観光客が待っていた。その中に、一人の外国の中年女性が一人でニコニコして立っていた。十年前から週に一回、英語を学んでいるため、外国人と見ればすぐに声をかけるクセがあり、この時も家内と一緒に、どこから来たかと聞いてみた。茶髪の笑顔の美しい、50歳くらいの女性で、ドイツのディセルドルフから来たという。仲間はミュージアムに行っているため、ここで同行するという。何でも2週間くらい日本に滞在し、これまで京都、広島、そして長崎に来て、明日、東京を見てから帰国するという。日本の印象など、別に大した話をしたわけではない。10分くらい話していると向こうから仲間五人ほどがやってきて、そのまま船に乗り、そしてツアーが終わって、バイバイして別れた。それだけの話である。

 

 不思議な体験というのは、この10分くらいの会話はもちろん英語であったが、全く外国語で話している感じがしなかったことである。ドイツ女性であるが、そうしたことは全く意識せず、多分30年前に彼女に会っていれば、好きになってそのまま結婚したかもしれないとまで思った。決して美人ではないが、何となく気持ちが通じる感じがしたのである。“新婚さんいらっしゃ”などの番組で、旦那さんが外国人、奥さんが日本人、奥さんがあまり英語を喋れないというカップルが登場する。普通に考えれば、言葉はコミュニケーションの最も重要なツールで夫婦の間で十分な会話をできないなんてありえないと思っていた。ただ今回の体験から、言葉が違っても何とかなる場合もあると思った。

 

 もちろんこのドイツの女性に恋心を抱いたわけではなく、何となく男女にかかわらず、気の合う人がいるが、これが日本人だけではなく、外国人にもいるという当たり前のことに気づかされたのである。まあ外国に暮らした人であれば、現地で多くの友人ができたであろうし、中には日本人より仲良くなった人もいて、それほど不思議なことではないだろう。


 まだまだ英語能力は中学生並みであるが、それでも少し英語が喋れて、いろんな外国人の方と喋るのは楽しい。昨年も家の近所を散歩していると、前方に外国人旅行者の中年のカップルがいた。雨が降っていたので、せめて奥さんにでもと思い、傘を貸してあげ、どこまで行くのかというと親方町の小堀旅館という。少しわかりにくい場所なので、そこまで傘を貸しながら案内した。イタリアのトリノから来て、明後日北海道に行くという。弘前のおすすめ観光地や食べ物を紹介して旅館までの20分の楽しい会話となった。大変喜ばれた。またある時は、弘前の繁華街、土手町のメガネ屋で、道を尋ねている40歳代の外国人女性がいた。あまりいい返事がなく、困っているようなので、声をかけてみた。何でもイタリアのベローナから旅行に来ていて、日本のグッズが好きだという。弘前のインテリア、小物グッズの店を調べてきて、それを探しているという。探している店が幸い自宅近くの店だったので、そこまで案内して、いろんなことを喋った。さすがに若い女性に声をかける勇気はないが、それでも弘前に来ている観光客がいれば、写真を撮ってあげたり、おすすめのところを紹介したりしている。旅行が好きで、全国あちこちを巡っているが、逆にこうした地元民とのおしゃべりが風景以上に記憶に残ることがあるからだ。

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