2021年5月3日月曜日

Kavo アルクスディグマII 故障

ゼブリス(Zebris)の新しい顎運動測定器 軽いて、ソフトも見やすい

 顎変形症患者の検査には筋電計測と顎運動計測が必要である。このうち顎運動計については、当院では25年前から機械的な測定器(アキシオグラフ)、次はシロナソ、そしてサフォンビジトレーナー、そして今は操作が簡単で利用者も多いカボのアルクスディグマIIという機種を2年前から使っている。超音波によって顎の位置とその軌跡を測定する装置で、測定の失敗が少なく、測定時間も少ない。

 

 個人的にはカボという会社には少し不信感があったので、購入には躊躇した。ただ値引きも可能であったので、設定にムラがあったサフォンビジトレーナーから切り替えた。年間、顎変形症の患者数は15名ほどで、この2年間で約30名の測定を行なった。先日、測定をしようとすると捜査途中で止まるため、修理に出し、代替え品を送ってもらった。ところがこの代替え品も動かず、コンピュータごと装置一式みてもらったところ、コンピュータが勝手のアップデートをして、それが終了していなかったことが原因であった。さらに装置の一部が故障していて、それを交換しなくてはいけないということだった。その見積もりがきて驚いたのは金額で交換費用などを含めて20万円以上する。かなり高いが、メーカーに言わせると使用頻度による故障という。2年間で30名、つまり30回の使用で、壊れたのである。衛生士も私にそんなひどい取り扱いはしていないと憤慨していた。

 

 このメーカーに不信感があるのは、歯科用ユニット(機器)故障修理のために、保守契約を勧めている点である。通常の電気製品やアップルケアーのような故障修理保証制度の中には高いと思うものがあるが、このカボの保守契約は年間、10-20万円くらいで、べらぼうに高い(故障交換部品代は別)。20年使うとなると総計で200-400万円、ほぼユニット代に相当する。ちなみに私が愛用するアメリカのA-decの歯科用ユニット500300という機種は、それぞれ20年、10年使っているが、これまでの点検料や修理部品代、全てを足しても20-30万円くらいである。さらにカボの小型製品、今回の顎運動測定器についても保守契約があり、交換部品代を除いて年間10万円の保守料がかる。それでも医療機器であるので、常に安全な状態で提供するのに費用はかかるのはある意味理解できる。ただ二つの点で問題を有する。

 

1.     エコの観点から

 このメーカーも含めて海外メーカー(主にドイツ)は、機器の修理をするより新品に交換を勧める。修理のために海外の送るのは手間と郵送費がかかるために、その機器を廃棄して新しいものに交換する。この方法は日本支店に本格的な修理部門を設ける必要がなく、経営の効率化ができる。アルクスディグマIIは、ドイツのZebris社が開発販売している装置のOEMであり、それも新型のデジタルJAWシステムではなく、旧型をカボで販売している。もちろんZebris自体には修理部門があるが、私のようなケースでは、地域の歯科商店から東京のカボジャパンに、そしてドイツのカボ、さらにZebris社への修理のための転送を嫌ったこともあるかもしれない。またOEM製品についてはOEM先での修理となるのかもしれない。単純な配線切れであればそれを繋ぐだけで、あるいは部品の一部を交換できる製品を、ユニットごと交換することはエコ的にも大きな問題を呈し、こうした使い捨ての考えは今やそぐわなくなっている。日本で製品を売るなら、それを国内でも確実に修理できるような体制をとるべきであろう。

 

2.     企業の姿勢

 環境問題から、できるだけ故障の少ない製品を企業は目指すべきであり、

30回の使用で故障するような製品に堂々と修理費、交換費を請求する会社には製品に対する信頼は少ない。私の診療所では乾熱滅菌機としてアメリカのDentoronixDDS5000という機種を20年以上使っているが、一度故障して動かなかったことがある。もちろんアメリカまで発送することはできないため、購入先で問い合わせると、ある工場に修理を依頼しているとのことで、そこに送ると安価で修理して送られてきた。日本の歯科機器の会社の多くは自社に修理担当部門を持ち、送れば大抵修理できるようなシステムになっているが、海外のメーカーはどうだろうか。A-dec場合は、ユニットについては故障するところは長年の経験からわかっており、故障の症状を電話で伝えると修理部品が送られてくる。A-decの六角レンチセットを使ってその部品を外して交換する。部品代は驚くほど安い。ほとんどの箇所が容易に分解修理できるような構造となっているし、詳しい説明書もついている。これがこのメーカーの信頼の高い点である。長期の使用を目指すなら、まず故障しても簡単に直せるような設計にするのも大事であろう。

 

ポストコロナは、これまでの消費拡大型の社会ではなく、愛着のあるものを大事に修理し、長く使っていく社会であり、特に医療関係の会社では、短期の利益を追うのではなく、長期の会社継続を基本とした信頼される経営が大事である。カボという会社は、信頼のドイツを代表するような企業であり、昔は車でいうとベンツのような存在で、その製品は故障の少ない安心のものであったが、こうした信頼より経営を重視する会社になったことが悲しい。


 

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