最近はネットフリックスのドラマを見ることが多い。その中でも最近、一番気に入っているのは台湾ドラマ「一千回のおやすみを」という番組で、エピソード20回のうち、まだ半分くらいしか見てないが、続きが待ち遠しい。
私は昔から台湾が好きで、コロナ禍が終了すれば真っ先に行きたい国である。友人も多く、鹿児島大学歯学部矯正歯科講座にいた時の同級生が苗栗市におり、大学院生で当時親しかった先生は台北市に、そしてアメリカ、シンシナティー美術館の友人も、今はアメリカ国籍だが、元は台北市出身で、故宮博物館に勤めていた。また現在、土曜日に研修に来てもらっている先生は台中市の出身である。
最初、候孝賢監督の「非情城市」から台湾映画のとりこになり、彼の監督作品を全て見たし、そのほかにもDVDされ、日本でレンタルできるほとんどの台湾映画は見た。一昨年に、青森から台湾へ直行ツアーがあったので、家内と一緒に参加し、台北市に住む先生に案内されいろんなところに行ったが、どこもいい思い出になった。ただ残念なことに、苗栗市に住む友人はちょうど娘さんがアメリカの歯科大学を留学し、その卒業式のために渡米していて、会えなかった。今度は是非とも会いたい友人である。
こうした少し台湾フリークの私の目にとまったのが「一千回のおやすみを」である。まず映像が本当に綺麗で、画質のあまり良くない回線で見ているが、それでも風景画像は息をのむほど美しい。4k画像で見れば、すごい映像であろう。番組は台湾各地の隠れた名所を電車で訪れ、亡くなった駅長が叶えたかった望みを娘が叶えるというものであるが、その合間に綺麗な風景がドローンなどを使って映される。
内容について、あまり詳しくは言えないが、韓国ドラマのようなドロドロしたものではなく、悪い人間は登場しない。父と子、夫婦、友人、姉妹、兄弟の葛藤を丁寧に描き、それを美しい言葉で解決していき、ドラマの流れとしては日本の小説家、宮本輝の小説を彷彿させる。亡父の手帳と地図を手掛かりに、彼の望みを推測して、叶えていく過程で、娘は成長し、旅行を通じてある男性に次第に惹かれていく、このへんの感じは、なかなか宮本輝の作品でもうまく描かれないが、こうしたドラマの方が向いている。ネットフリックのドラマはテレビと異なり、かなり映画に近いもので、内容、画像を2時間の枠に囚われすに撮影したもので、カットカットが長く、テレビ、映画的には無駄なシーンも多いが、本作品ではこうした自然描写の長いシーンが美しく、画像の悪くても立体的に見えるのがすごい。
ただ設定として、主人公の父は十分—幸福駅の間の小さな駅の駅長をしているが、それにしては一家はおしゃれな家に住んでおり、近くに日本料理店や音楽大学などもあり、一家はどうも台北市に住んでいるようである。そうなると毎日、ここまで通勤しているのかという疑問を生む。ただ家から駅舎に歩いて行くようなシーンもあり、どうも設定が理解できない。
それほど、アップダウンのある内容でなく、面白さを期待する向きには少し退屈なドラマかもしれないが、是非とも台湾好きの人には見て欲しい内容である。これを見れば台湾は日本以上に山国だということがよくわかる。
ps:「自転車泥棒」(呉明益、文春文庫)という台湾作家の小説を読んだ、。古い商業用の自転車が主役の面白い小説で、日本ではほとんど見かけなくなった荷台に30kg以上のものを積み、ブレーキワイヤーも鉄製のものを使ったマニアックな自転車が登場する、そう言えば、「一千回のおやすみを」にもそうした古い商業用自転車が登場する。日本でもロードバイクを中心に、イタリア、フランスのビンテージ自転車マニアがいるが、少数で、さらに日本の商業用自転車を収集し、整備している人はもっと少ないだろう。
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