2022年6月1日水曜日

Gifted child 、 Himari Yoshimura 吉村妃鞠

 


Gifted childとは、恵まれた才能を産まれながら与えられている天才少年少女を指す。絵画、音楽、運動など、各分野で並外れた才能が早い段階から開花し、注目された子供たちである。おそらく人間の能力はほとんど正規分布を示すと考えられ、50m走のタイムは、小学6年生男子の平均で 8.79秒、偏差値は0.77秒となるが、日本記録は5.75秒で、3秒も違う。学校の同級生と一緒に走ると20m近くの差があいてしまい。もし小学6年生で50m5秒を切ったら、どうであろうか。超超天才ということになろう。

 

最近、注目を集めているのが、ヴァイオリン界の超超天才の吉村妃鞠ちゃんで、その演奏技術、表現力、集中力は、多くの指揮者からは数十年に一人の天才と言われている。ロシアで行われたコンテストでは、審査員の三人が、審査を忘れ、演奏終了後はブラボーと叫び、拍手が続いた。審査員の一人、ロシアの著名なヴァイオリニスト、指導者のザハール・ブロンは、その演奏を聴いて「天使か神かが舞い降りた」と称するほど感動した。ブロンは日本人では庄司紗矢香や川久保賜紀の指導者であり、世界で最も優れたヴァイオリニストであるヴァデム・レーピンの指導者でもあり、多くの天才を見てきた指導者である。この指導者がこれほど驚く才能はどんなものであろうか。

 

私自身、クラシックましてやヴァイオリンなど全く知らないが、Himariちゃんの演奏姿がまずカッコ良い。まるでリカちゃん人形のように可愛いく、両足を少し外側に向けてガッチリと地面を踏みしめ演奏する。時折、右足で拍子をとることもあり、またヴァイオリンを見つめる眼光は子供とは思えないほど鋭い。演奏テクニックは完璧で、その上の表現力を追求している。あるインタビューでは、チゴイネルワイゼンなどの悲しい曲を弾くときは、シマウマの赤ちゃんがライオンに食べられ、それも見ているシマウマの母親の気持ちで弾くという。優れた想像力であるし、これほどの悲しみはない。特に2年前、9歳の時に日本フィル、小林研一郎指揮のチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はすごい。小林によれば、将棋界の藤井聡太に匹敵する才能であると激賞している。

 

こうした天才的な子供は、演奏は上手くても、精神性、表現力では到底、年配の演奏者に負けるとされてきた。ただ彼女の演奏を聴くと、この年齢でこれほどの表現力があるのかと驚かされるし、演奏自体の質は高く、ロシアの著名なバイオリニスト、指揮者であるウラディミール・スポヴァコフも指揮をしながらの2度、溢れる涙を拭いていた。おそらく1/2分数バイオリン(子供用バイオリン)での最高の演奏を始めて聴いたからであろう。大人用のバイオリンより容量が小さいので音量とともに低音、重厚感が出にくく、全体的に高い音となる。これがまた違った表現となっている。ピカソの若い頃の作品、青の時代の作品が一つの独立した領域であるように、Himariちゃんの演奏も、思春期前の天才的演奏家の作品として大きな価値を持つものと思う。

 

今年からアメリカ、フィラデルフィアの名門カーティス音楽院で習うことになっているが、できればアメリカで長く演奏活動をしている五嶋みどりに住み込みで短期間でもいいので習ってほしい。天才少女と騒がれた五嶋みどりも今年で50歳、そろそろ自分の後継者候補のこの少女を育ててほしい。2歳でヴァイオリンを始め、短期間でここまで伸びたHimariちゃんであれば、吸収も早いはずだ。

 

Himariちゃんのお母さんもプロのヴァイオリン演奏家で、有名であり、コンサーツやCDで活躍しているが、おそらく自分の子供ながら、その才能には驚いているだろう。画家ピカソの父親も画家であったが、13歳の息子、ピカソの才能に驚き、以後、絵を描くのをやめたという。Himariちゃんもどこまで伸びるかわからないが、すごい才能である。


ps:五嶋みどりさんは、カーティス音楽院でも教鞭についており、Himariちゃんも彼女の指導を受けるでしょう。




これが最高のチゴイネルワイゼン


 

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