2023年9月5日火曜日

『弘前歴史街歩き』 完売しました。




7月に「弘前歴史街歩き」、ようやく完売しました。昨年の3月の発刊ですので、完売まで14ヶ月かかったことになります。発行部数は500部で、自分用の100部を除く400部を売りました。販売当初はよく売れて、中三にあるジュンク堂では二度ほどベストセラーになり、また週間ランキングにも5週くらいは出ていましたが、その後の売り上げは本当にゆっくりでした。

 

これは本を出版した人はよくわかると思うのですが、どれだけ売れたか気になるもので、本屋に行くたびに積まれている本の数をチェックします。今回の本は、タイトル通り弘前を中心とした内容ですので、確認した限り、弘前以外では青森の成田書店に数冊あるだけでした。弘前で言えば、中三のジュンク堂、さくら野弘前店の宮脇書店、イトーヨーカドーのくまざわ書店、ヒロロのツタヤ、高田のツタヤ、そして懇意にしているかくみ小路のまわりみち文庫にも置いてもらいました。おそらく最も売れたのはジュンク堂で、販売した半分以上はここで売れたと思います。またくまざわ書店もかなり売っていただき、30冊くらいは捌けたと思います。古書店のまわりみち文庫には個人的に卸したのですが、20-30冊は売れたと思います。アマゾンあるいは発行所への直接注文でどれだけ売れたか知りませんが、県外の書店の店頭には置かれていなかったと思います。新宿の紀伊國屋本店の店頭で売られるのは夢のような話ですが、地方の自費出版がこうしたところに並ぶことは難しいと思います。それでも昔、「明治に年弘前絵図」を発刊したとき、帰省で帰っていた時に神戸、三宮のジュンク堂にこの本があったのには驚きました。

 

最初に出版した「明治二年弘前絵図」は500部、発刊し、問屋を通さずに近くにあった紀伊国屋書店に自分で持っていって、半年くらいで完売しました。その次に出した「新編明治二年弘前絵図」はさすがに問屋に販売を任せましたが、最初の500部を2ヶ月くらいで完売し、すぐに2版500部を追加印刷し、これも半年くらいで全て完売しました。ところが次に出した「弘前人物グラフィティー」は自分用の100部を除く400部を販売してもらいましたが、5年経っても完売できず、書店にもあまり置かれなくなったので、回収しました。回収したのが50部くらいだったので、350部くらいが売れたことになります。さらにその次に出版した「須藤かく 日系アメリカ人最初の女医」も500部印刷し、400部を販売しましたが、半年くらいでどこの本屋にも置かれなくなり、3年経った頃にこれも回収しました。200部以上が返ってきたので、実際に売れたのは200部以下となります。

 

自費出版の場合、まず黒字になることはなく、いかに赤字幅を少なくすることに尽きます。例えば、出版費に50万円かかり、完売して40万円入ればいい方です。これが半分の20万円しか売れなければ赤字が30万円となります。本を売るというのはものすごく難しいことで、お金がかかるだけでなく、読者の時間を奪うことになります。どんな本でも読むのに時間がかかり、つまらない本であれば、全くの時間の無駄となります。何十万部も売る作家はそうした意味では天才であり、本の著作料で食べているプロの作家は本当にすごい人です。天賦の才能なのでしょう。私のように400部を売るのに苦労している人から見ると、その100倍、1000倍売るのは想像もできません。

 

ただ最近の読書離れで、本の売れ行きは以前に比べてかなり減っています。おそらく学術書であれば、1000冊以下の出版でしょうが、実際に完売するのは難しいようです。全国の図書館で買ってもらっての数量で、5000円以上の学術書を一般読者はあまり買わないでしょう。昔、多くのノンフィクション本を書いている作家とお話したことがあります。1800円の本が5000冊売れて、900万円、印税は20%として180万円、取材で世界各国を数年間まわっての報酬としてはかなり少なく、とても生活できないと言っていました。雑誌などの掲載文で収入を得ているようです。5000部といえば、ノンフィクションではまあまあの数値です。

 

今回の「弘前歴史街歩き」は、これまで出版した本に比べて年配の方からの反応は大きく、懐かしかった、知らなかったという声を聞くことが多かったと思います。これまであまりない読者の反応で、嬉しく、少し自己満足しています。おそらく買ってくれたのは弘前を中心とした地域で、せいぜい20万人の人口規模となります。20万人で400部売れたなら、日本全国では20万部となり、大ベストセーラとなります。というのは全くのこじつけですが。

 

おそらくこうした街の紹介本は、ムック形式の写真を中心をしたものの方が良いかもしれません。ただフルカラーの雑誌となると、個人の自費出版ではかなり難しく、どこかの出版社が企画してくれれば、全面的に協力したいと思います。50年もしたら、本書で紹介した建物もほとんどなくなっており、貴重な本になるかもしれません。

 


 

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