2025年1月26日日曜日

毛沢東とスターリン

 


私の102歳の母が最近コロナウイルスに感染し、心配したが、なんとか回復した。新型コロナウイルスもようやく従来のインフルエンザ並みのものになってきたようだ。それでもこの新型コロナウイルスによる感染者は、全世界で32千万人、死者数もWHOの報告では550万人、実際は1500万人ほどが亡くなったという。

 

第二次世界大戦後、何らかの事件でこれほど多くの死者数が出たのは、まず一位は1957年から中国で行われた大躍進運動に伴う餓死者で、犠牲者数には諸説あるが少なくとも1600万人から3000万人と言われる。第二位は1966年から始まった中国の文化大革命のよる犠牲者で、これも数値がいろいろあるが、間接的な死亡も含めると1000万から2000万人くらいが亡くなったようである。そして第三位が新型コロナウイルスによる死者数で500-1500万人くらいとなる。第四位は1930年代のスターリンによる大粛清、強制移送で800-1000万人、ウクライナ飢饉も含めればもっと多いかもしれない。五位はベトナム戦争で、北ベトナム、南ベトナムの兵士、民間人の犠牲者数は合わせて800万人、六位は朝鮮戦争で南北朝鮮、アメリカ軍、中国軍、民間人の犠牲者を合わせて640万人、その後はカンボジアのポルポト虐殺で180万人、ルワンダ大虐殺の80万人などとなる。

 

これら第二次世界大戦以降の自然、災害死以外の大量の犠牲者は、多くは社会主義、共産主義が関係している。まず一位の中国の大躍進による死者は、全て中国の毛沢東と硬直した官僚主義による。その経過を知ると、自由主義国では絶対にあり得ない事件である。さらに第二位の文化大革命も、毛沢東が起こした政権抗争に起因するもので、今から見ると全く無駄なことであった。ナチスおよびヒットラーの場合は戦争による犠牲者が大半なので、戦争以外の史上最大の犠牲者を産んだ人物は毛沢東だといえよう。さらに第三位の新型コロナウイルスは、ほぼ中国の武漢研究所で人工的に作られたものが流出したと言われており、トランプ大統領がいうように中国が原因であることは間違いない。三位までは全て中国由来のものである。さらに四位はスターリンの狂気が成し得たもので、五位のベトナム戦争は、米露冷戦によるもので、ソ連、中国が北ベトナムを支援し、アメリカが南ベトナムを支援して戦った。ソ連は武器、資金援助を、中国は武器、資金援助のほか、10万人以上の兵士を出兵させた。六位の朝鮮戦争も同様な構図で、中国人民志願兵が出兵し、その死者だけでも17万から100万人という。朝鮮戦争について言えば、中国人民義勇兵が出兵しなければ、朝鮮半島の分裂は起こらず、その後の北朝鮮の餓死者などもなかったはずである。この出兵もほぼ毛沢東の独断による。

 

ここまで書いてきて、第一の大躍進、第二位の文化大革命、第六位の朝鮮戦争は、全て毛沢東が関係している。さらに歴史にもしということがあれば、もし毛沢東がいなければ、中国は蒋介石の国民党が統一したはずで、社会主義国の中国は誕生しなかったはずである。そうすると第三位の新型コロナウイルスも発生しなかった可能性もあるし、第四位のベトナム戦争もソ連一国の支援では戦争することができなかった可能性もある。中国は、始皇帝以来、基本的には絶対君主制で、専制君主の帝王が緻密な官僚制度の上に君臨した。共産主義、社会主義は、もともとソ連のレーニン、スターリンに見られるような巨大な官僚主義による一党独裁を原理にしていたため、中国古来からのシステムにマッチした。その頂点が中国共産党の毛沢東で、彼は古代中国でいうなら、秦の始皇帝、漢の劉邦、明の朱元璋、清のヌルハチの匹敵する帝国の創始者であり、絶対であった。死ぬまで誰も文句を言えない存在で、そんな巨大な存在のよりおそらく中国国内で8000万人以上の人々が死んだ。

 

私自身、高校生の頃は毛沢東語録を読み、毛沢東を礼賛したし、朝日新聞、はじめ多くのマスコミ、京都大学教授の竹内好や作家高橋和巳はことあるごとに毛沢東とその文化大革命を絶賛した。よく考えれば、8000万人以上の犠牲者を出した人を褒めていたことであり、ひどい話である。おそらく千年後の歴史では、毛沢東は中華人民共和国の創始者であるが、人類史上最大の犠牲者を産んだ指導者として記憶されるであろう。二番目の1500万人の犠牲者を出したスターリンも流石にレーニン廟からは改葬されたが、ヒトラーほど忌み嫌われているわけではない。毛沢東、スターリンとも、個人的な資質だけでなく、それと共産党、社会主義が結びついて、これだけの犠牲者を産んだことは間違いない。


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