2008年2月21日木曜日
a-dec 500 5
歯科用ユニットについては歯科関係者以外あまり興味はないと思いますので、これで終わりにします。
1週間使ってみての感想ですが、小学校低学年までの子供にはこのユニットは怖いと言います。モリタのスペースラインの方が歯科治療に関連する機械が何もついてなくて、慣れているせいか、前の方がよいとのことです。中学生以降になると。やはり圧倒的に座り心地がよくて、こちらの方がよいとのことです。矯正歯科の場合、エンジンやタービンはあまり使わないので、小さな子供の多いところは椅子だけのスタイルの方がよいのかもしれません。ただ年をとるとライトもないとさすがにきびしく、術者からすればこういった一般歯科のユニットの方が使いやすいのは事実です。またA-decのシリンジは金属製で重量感があり、ぐっと押さないと水がでないことも、慣れないせいか気になります。一方、本体やチップすべて簡単に取り外せて滅菌できるのはいいことだと思います。
障害者、とくに車椅子の患者さんに対しては、チェアー本体が30度くらいは回転できますので、車椅子からチェアーへの患者さんの移し替えは容易にできます(写真上)。またこれは裏技ですが、ヘッドの部分を裏表逆にしてさし直すと、あら不思議、車椅子のまま治療が可能になります(写真中)。ユニットが載っているアームも300度くらいは回転しますので、十分に車椅子の患者さんにもアクセスできますし、ライトも同様です。さすがにうがい台は90度くらいしか回転しませんので、患者の横にはつけられませんが、助手用のアームは十分にアクセスできます。バキュームに付属のじょうごを付ければうがいも可能でしょう。ただし術者は3時、助手は9時とポジションは逆になり、多少は不便があるでしょう。もちろん私の診療所にはエレベータもないので車椅子の患者さんには全く対応できません。わざわざ車椅子用のユニットを購入しなくても、このユニットではある程度対応できると思います。実際、車椅子の患者さんでも車椅子のまましか治療できないことはそう多くありませんし、頻度も少ないことでしょう。一般歯科では、通常の診療に使えて、なおかつ障害者の治療にも使える方が望ましいと思われます。
未来の歯科用チェアーがHPに載っていました(写真下)。卵形をしており、できるだけ歯科の機械を患者さんに見えないようにして、恐怖心を減らすというコンセプトのようです。一般診療で言えば、個室ですべての機械を壁面に隠すアメリカ式が、恐怖心を和らげるという点ではいいのかもしれません。ただ日本の場合、数台のユニットを歯医者が掛け持ちして治療するというスタイルがとられているため、自費専門の歯科医院以外、こういったスタイルはなかなかとりにくと思います。アメリカ人からみれば、歯科医ひとりが何台ものユニットを掛け持ちするというのは信じられないようですが、日本の保険制度ではある程度数をこなさないと経営できないというジレンマがあります。日本の医療は元々の診療費自体がアメリカの数分の一しかない上、実際の窓口支払いはその3割と患者さんの負担はさらに低くなっています。いや日本でも医療費は高いという人も多いと思いますが、アメリカの自己破産の多くは医療費によるという事実と比較すると、日本の保険制度は高度な治療内容の割にはかなり恵まれています。昨日のNHKの番組でも、アメリカで子供の盲腸の手術のために5000万円の借金を背負ったというケースが紹介されていました。金がなければ治療をしてもらえません。歯科にいたっては民間の保険のカバーされていないこともあり、はっきりいってある程度金がなければ、おいそれと治療を受けることはできません。このような患者サービスと同様なものを保険治療に求めるのは、実際には難しいと思えます。ただ最近では、歯科医も過剰気味で、競争を勝ち抜くためかなり設備投資やサービスの向上を図っているところもあり、待ち時間も減り、患者さんにとってはいい時代になってきたのかもしれません。
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