2010年12月9日木曜日
NTTタウンページ
この時期になると、NTTからファックスにて電話帳広告申込書が送られてくる。それに署名、捺印してファックスで送り返せという何とも味気ない契約である。本当にこれで契約になるのかとも思ってしまう。以前は担当者が診療所まで来て、カラー広告にすればとか、色々とセールスをした上で契約したものだが、ここ数年はファックスだけの契約である。
あまりに顧客をばかにしたやり方なので、今年度は申込書の余白に、「一声 毎年23万円の契約に対してファックスのみで済ませようとする企業体制には以前から不思議に思っています。無料の宣伝媒体(インターネット)がある状況下で、こういった高姿勢の企業態度に対して、経営者は何とも思わないのでしょうか」と書き込んだ。しばらくすると担当者の女の人から電話が来て、その旨は上司に伝えましたとのことであった。当然、上司からの電話は一切ない。
私のところでも、常に患者からどういったことでこの医院のことを知ったか、聞いている。知人紹介などの口コミと最近ではインターネットを媒介としたものが多い。一方、タウンページを見てという患者さんは開業以来、数名しかいないので、一刻も早く広告は止めたいと考えていたが、同業者の大きな広告を目にすると、中々止められず今日に至っている。毎月18900円、年額で226800円、安い広告費ではない。HPによる広告費は実質的には無料であることを考えるとなおさらである(東京の友人に聞くと、こんなものでなく、べろぼうに高いらしい)。
ちなみにテレビ、ラジオ、新聞、インターネットなどの広告媒体の費用をまとめたものがある(http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20100222/1266830020)。それによれば、電話帳の広告費は2007年度が1014億円、2008年度が892億円、2009年度が764億円とここ3年間で24.7%の減少している。さらに2001年度と比べると1652億円であったものが764億円と53.4%の減少である。インターネット広告が735億円から7069億円の964.8%増に比べると、電話帳による広告自体がすでに消滅傾向にあると言ってもよさそうだ。毎年100億ずつ減っているようで、あと8年で消滅する計算になる。
NTT東北電話帳の創立20周年を期して、5年後のイメージを平成17年に宣言している。それによれば「電話帳への愛、お客様への愛、社員への愛の三つの愛を形にすることを経営理念として掲げ、信頼され、愛される会社を目指そう」となっている。実際は全国10社ある電話帳会社の大方の社長は、NTT本体からの天下りで、顧客大事、売上げ確保など自分たちが経験したこともないようなことを声高に叫ぶが、実際は単に経費削減のみが先攻し、その挙げ句がファックスによる契約申込書である。顧客に対して、一度も訪れることなく、唯一の伝達手段がファックスと電話だけというやり方は、サービス業ではあり得ない。郵送することもなく、ファックスだけよこしていいと考える発想は、経営者として相当感覚がずれている。ましては今時電話帳に載せるような顧客はアナログ派で、こういった顧客こそドライなやり方が向いていない。
一方、これとは逆の経験をした。私のコレステロール値が高いため、家内がサンスターから「緑でサラナ」というジュースを購入している。ところが生産に何か問題があったのか、サンスターからしばらく供給できない旨の手紙が速達で配達された。その後、しばらくすると今度は供給が可能になった旨が再び速達で配達され、お詫びの品として歯みが剤や歯ブラシなどの詰め合わせが送られてきた。非常に丁寧な対応である。おそらく購入者の多くは、メタボに悩む中高年の人々であり、これだけ丁寧な対応をされると、仮に一時発送が遅れても、今後とも継続することであろうし、何よりも企業イメージがアップした。昔、パナソニックで石油ファンストーブが事故を起こすとのことで、それこそ飽きるほど,何度も、長期間回収のCMを流していたが、途中からこれはパナソニックの戦略と気づいた。実際、あれだけ宣伝しているから、仮に事故があっても、パナソニックの責任になることはないが、それ以上のパナソニックのブランド、絶対の信頼を守った意味が大きい。
こうしてみると、最近のNTTはイメージ戦略が最低であり、よく夕飯時にNTTの子会社と思われるNTT何とかという会社から電話接続を変えませんかとか、光通信にしませんかといった電話が来る。夕飯時に寛いでいる時に誠に腹立たしい。夕飯時は遠慮するのが普通であるが、デリカシーが足りない。家にいるのを狙って電話しているようだが、最近ではNTT何とかと聞くだけで、押し売り電話と勘違いする。よほどイメージをダウンさせている。こういった子会社のやり方に対して、NTT本体は一切関知していないかもしれないが、NTT 何とかと社名につける限りは責任がある。
ちなみに手元に2010年版のデイリータウンページ(青森県津軽版)があるが、掲載広告で目立つのは、医者と歯医者だけで、これでほぼ半分くらいになる(全部で670件くらい)。旅館、ホテル、レストランなども広告が多そうだが、実際旅館、ホテルで7件、グルメ(レストラン、食堂)で8件だけである。それに対して歯科は48件、医科は175件で、掲載広告の大きさもどれもかなり大きい。いかにも歯科医、医師がだまされやすいかがわかるとともに、世間の会社では無駄なものにはコストをかけないという姿勢が急速に広がっている。
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