アメリカの友人から、日系二世のサンタ・オノ(Santa Ono)さんがシンシナティー大学の学長となったとのメールがありました。全米の主要大学の学長に日系の方が選ばれることは珍しいことです。うれしいことです。
「学長の就任式で珍しく感極まったと告白し、その理由としては自分がここまでこられたのは親のせいでその苦労を思うとやっとお返しが出来たかとの思いがこみ上げたからと言っていました。日本人の勤勉さとかのおかげでそれはとても誇りに思い、大事にしたい。会場にいる多くの日本人・日系人に対し、みなさんをがっかりさせたくない。「奉仕する指導者」を目指したいと言っていました。」
シンシナティー日米協会25周年記念パーティーでのことです。オノさんはシカゴ大学、McGill大学、ハーバード大学で医学生物学を学び、ジョーンズホプキンズ大学、ロンドン大学、エモリー大学で勤務しています。研究はよくわかりませんが、眼科系の遺伝子生化学の仕事です。その後、大学運営能力をかわれ、シンシナティー大学の副学長を経て、昨年10月に学長となりました。現在、51歳でバリバリです。お父さん、小野孝さんも著名な数学者で、西宮生まれの海外頭脳流出組の一人で、現在、ジョンホプキンズ大学におられます。弟のken Onoも、また数学者で、分割数の研究において極めて偉大な業績を挙げ、現在、エモリー大学の教授をしています。非常に優秀な家系で、うらやましい限りです。
今はどうか知りませんが、私が大学にいた当時、医局とカナダのトロント大学と交流があり、3年ほど、医局から1年間ずつ、3名の医局員が留学しました。骨細胞の培養の研究でした。基礎分野ですが、日本人の研究者は勤勉で、中国、韓国の研究者に比べて自己主張があまりなく、協調性に富み、歓迎されていました。ひとつには大学からの派遣研究者ですので、帰国後もポストが保証されていたためでしょう。中国人、韓国人の研究者は、あわよくばアメリカの大学でポストを得て、帰国せず、アメリカ国籍をとろうと、がんばります。それだけ競争心が旺盛です。
理科系の学科では、すでに日本語の論文は評価されず、研究も英文で、それもインパクトファクターの高い雑誌に投稿するのが、一般的になっています。というのは英語がすでにこの分野では標準語になっており、英語で論文を書かないと、いくら研究をしても認められないからです。私の友人で、物性関係の研究をしているのがいますが、きわめて限られた分野の研究で、同じような研究をしているのは、イスラエル、ロシア、フランス、アメリカなどの30人ほどで、学会でもこのメンバーでずっと討議していると言っていました。各国から集まる研究者の標準語が当然、英語ということになります。こういった風に、理学部、工学部、医学部では、研究者の国際的な交流は日常的になっています。
2 件のコメント:
同業者で可知と申します。
きれいなブログですね。
実はジョンズホプキンス大の小野先生とは、愚息がお世話になりまして、ずいぶん昔のことですが、東京で私どもと小野先生ご夫妻と会食をしたことなど、思い出しました。小野先生は大学を御勇退されたと伺っています。お二人の息子さんとは面識がないのですが、愚息は数学者のケンさんと同業で、アメリカで世話になりました。
確か全米の総合大学の学長は、WASPが大半を占め、アジア系は数人で、インド人と日系人はONO学長ともう一人います。シンセキ陸軍参謀総長(退役軍人長官)もそうですが、日本人の真面目で仕事をきちんとやる国民性が評価されているのでしょう。今後ともよろしくお願いします。
コメントを投稿